ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書62冊目】フルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資 長期株式投資

【経済的な堀】
「千年投資の公理」という本がありますが、そこでは「経済的な堀」について以下のように記載されています。
・ブランド 、特許、行政の認可などの無形固定資産を持つ企業は、ライバル企業がかなわない製品やサービスを販売できる
・販売している製品やサービスが顧客にとって手放しがたいものであれば、乗り換えコストが少しでも余計にかかることによって顧客離れを防ぎ、価格決定力を企業の方に与える
・ネットワーク経済の恩恵を受ける一部の幸運な企業には、長期間ライバルを閉め出すことができる強力な経済的な堀がある
・最後に生産過程や場所、規模、独自のアクセスなどによって製品やサービスをライバルよりも安い価格で提供できる企業にはコスト上の優位性がある
「千年投資の公理」(パット・ドーシー/ パンローリング)より(P.39)
 
【PER・PBR レンジの確認方法】
PER・PBR レンジは、様々な投資情報媒体で情報提供がなされています。ちなみにですが、私はSBI 証券の株アプリで確認しています。その場合、各銘柄の表示画面右上にあるタブから、「その他」→「銘柄分析」→「株価指標」と済み、チャート画面をタップすると、レンジの最大値、平均値、最小値を確認することができます。
(P.41)
 
製品やサービスが市場に投入されてから撤退するまでのプロセスを体系的にまとめた理論があり、マーケティング(顧客の課題を把握し、価値を提供する企業活動のこと)の世界では、プロダクトライフサイクル(PLC:Product Life Cycle)と呼ばれています。一般的に、サイクルには 次の4つの段階があると言われています。
①導入期:製品やサービスを 市場に投入した直後の段階です。需要や売上が小さく、消費者の認知を高め、市場拡大させることが最優先課題となります。広告宣伝費もかかるため、利益はほとんど出ません。
②成長期:市場規模が成長し、売上と利益が急拡大する段階です。次第に競合他社が市場に参入して競争が激しくなります。消費者のニーズも多様化するため、差別化により自社製品のブランド力を高め、市場に浸透させることが重要となります。
③成熟期:製品やサービスが広く顧客に行き渡ることで 市場の成長が鈍化し、売り上げが頭打ちになる段階です 。その一方で、この段階では、導入期や成長期のように広告コスト等もかからないため、利益は最大化されます。
④衰退期:市場規模が縮小し、売上や利益や減少していく段階です。競合他社は、新たな市場を探し撤退していきます
パイロットは「ドクターグリップ」や「フリクションボール」などのヒット作だけでなく、数多くの新商品を市場に投入しています。プロダクトライフサイクルの観点から、常に新しい商品を開発し続けていく必要があるためです。このたゆまぬ努力が多くの商品カテゴリーでの事業展開を可能とし、世界中で販売することで 業界トップクラスの安定した経営基盤を築くに至っています。
(P.48〜49)
 
コア・コンピタンスの概念は、ゲイリー・ハメルとC・K・プラハラードが1990年に共同で発表した論文「The Core Competance of the Corporati」において、「顧客に対して、他社には真似のできない 自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」とされています。具体的には、以下の3つの条件を満たす能力となります。
1.その能力は競合他社に模倣されにくい
2.その能力を活かして他の事業へも展開できる
3.その能力は顧客価値を創出できる
カニシは、ダントツの超高速回転技術という模倣されにくい技術を中核に、新たな医療領域・新たなニーズに対応すべくチャレンジし、スピーディーな開発と最高品質を実現、全世界へのサービスネットワークを構築することで顧客価値の創出を試みています。
業界首位級の企業は、競争力を維持するためのコア・コンピタンスを有していることがほとんどです。投資を検討する際には、その企業における中核的な能力(強み)とは何かを考えてみることは、有意義であると言えるでしょう。(P.53)
 
マーケティングの世界では、ブランドエクイティ(Brand Equity:ブランドが持つ資産価値。ブランド資産として捉える)という考え方があります。一般に、ブランドエクイティの構成要素として、次の4つを上げることができます。
1.ブランド認知 ブランド認知とは、そのブランドがどの程度知られているか、どのようなイメージを持たれているかのこと。多くの人は普段から見慣れた商品を好み、信頼を置く傾向にあることから、ブランド認知の高い方が消費者から選択される可能性が高くなります。
2. 知覚品質 知覚品質とは、商品に対して消費者が認識している品質のことです。知覚品質には、単に商品の品質だけではなく、信頼性、サービス、雰囲気などの目に見えない価値も含まれています。商品やサービスを比較した時に、消費者は知覚品質の高い商品、サービスを選好する傾向にあります。
3.ブランド連想 ブランド連想とは、消費者が、そのブランドに関して連想できる、全てのものを指します。例えば、マクドナルドのブランド連想であれば、ハンバーガー、マックフライポテト、マックシェイク、マックカフェ朝マックハッピーセットなど。ブランド に良い印象を持ってもらうことで、差別化が難しい同業他社の類似商品・サービスに対して、優位性を確保できます。そのため、ブランドにどのような連想を持たせるか、また、いかにして連想をブランドと強く結びつけるかが重要です。
4.ブランド・ロイヤルティ ブランド・ロイヤルティとは、消費者がブランドに対してどの程度の忠誠心や愛着を持っているかを指します。ブランド・ロイヤルティは、一度獲得すると失われにくく、安定的な利益を確保しやすくなることから、極めて重要な要素となります。SHOEIは最高の製品を作り、顧客のニーズに応え続けることで自社ブランドの価値を高め続けています。数十年という長い時間をかけて積み上げてきた ブランドエクイティは、SHOEIの最も重要な資産であり、競争力の源泉と言えるでしょう。(P.57〜58)
SHOEIはオートバイ用ヘルメットの製造・販売を主たる事業とし、高品質で高付加価値のついたプレミアムヘルメットと呼ばれる市場において世界首位のメーカー。
 
【集中戦略】
特定の顧客・製品群・地域など、特定の分野へ企業の経営資源を集中し、その分野でナンバーワン、オンリーワンを目指す戦略を「集中戦略」と呼びます。競争戦略に関する研究の第一人者として知られているハーバード大学マイケル・ポーター教授は、その著書「競争の戦略」の中で、企業が長期的に防衛可能な地位をつくり競争相手に打ち勝つための3つの基本戦略(1.コストリーダーシップ戦略、2.差別化戦略、3.集中戦略)があるとしています。
1.コストリーダーシップ戦略 コスト・リーダーシップ戦略とは、コスト面において最も優位に立って立つことを目的とする戦略です。圧倒的な低コストにより高い市場 シェアを獲得できると、原材料の大量購入や、さらなる コストの引き下げも可能に。低コストが実現するとマージンは大きくなり、利益が蓄積されます。低コストのリーダー的地位を維持するためには、蓄積された利益を最新の設備や機械へ投資し続けることが必要不可欠です。
2.差別化戦略 差別化戦略とは、自社の製品やサービスの付加価値を高めて、業界の中でもユニークな地位の獲得を目的とする戦略です。差別化に成功すると、顧客のブランドに対する忠誠心や愛着が芽生えます。このことは、顧客が価格によって商品を選ぶのではなく、ブランドによって選択することになり、マージンを高めてくれることを意味します。
3.集中戦略 集中戦略とは、狭いターゲットに経営資源を注ぎ込み、特定の分野で圧倒的な地位を獲得することを目的とする戦略です。集中戦略が機能すると、その狙いを定めた戦略ターゲットにおいて、コストリーダーの地位を得られるか、差別化に成功するか、上手くいけば その両方が期待できます。
日本セラミックの会社規模は決して大きくないものの、特定の分野へ集中的に経営資源を注ぎ込むことで、世界トップシェアの座を獲得するに至っています。会社規模は大きくなくとも、局地的には競争優位を確保できているケースの一つです。(P.62〜63)
→日本セラミックは、鳥取県に本社を置く赤外線センサで世界トップシェアのメーカー。赤外線センサの他に、超音波センサにといてもセンサ業界では世界的な知名度を誇っている。
 
バリューチェーンとは、マイケル・ポーター教授がその著書「競争優位の戦略」(ダイヤモンド社)の中で提唱したフレームワークです。バリュー(Value)は価値、チェーン(Chain)は連鎖、という意味で、日本語では価値連鎖と訳されることもあります。このフレームワークを用いて事業活動を機能やプロセスごとに分解して、どの部分がどのような付加価値を生み出しているかを分析することにより、利益の源泉を確認することができるのです。
バリューチェーンでは、事業活動を5つの主活動と4つの支援活動に分類しています。
5つの主活動とは、製品を製造するために原材料の入手・ 貯蔵・配分などを行う「購買物流」、設備のメンテナンスなども含めた、原材料を加工する「製造」、梱包・保管・輸送・受注処理など、製造した製品を倉庫や 店舗に運ぶ「出荷物流」、製品の販売や広告・販促・営業活動などの「販売・マーケティング」、製品やサービスを提供した後の修理・メンテナンスなどのアフターサービス、問い合わせへの対応などの「サービス」のことを指します。
4つの支援活動とは、経営企画・財務・総務 など、企業活動が円滑に行われるための支援活動である「全般管理 (インフラストラクチャー)」、給与の支払いや社会保険の手続き、社員教育などの「人事・労務管理」、製品開発や品質向上、生産工程の効率化など技術に関する全般の活動である「技術開発」、社外から必要な原材料や物品・サービスなどを購入したり、契約したりする「調達活動」のことを言います。数多くの企業がバリューチェーンの考え方を活用して経営戦略を練っています。たとえば、総合商社では様々な企業へ出資して、協業しながらバリューチェーンを構築しています。(P.68)
伊藤忠商事はファミリマートを核としてバリューチェーンを構築している。
 
【売上を伸ばす戦略3大パターン】
売上を伸ばすための大きな戦略のパターンとして、以下の3つの視点を念頭に置いておくと、企業戦略の概要がつかみやすいと思います。
1.海外へ進出することで、これよりこれまでよりも大きな市場で事業を展開する
2.既存の国内市場でシェアを伸ばす
3.国内外を問わず全く新しいビジネスを展開して、新たな市場を創造する
つまるところ、企業は利益を増加させるために戦略を練るのです。そして、持続的に利益を増加させるためには、売上も伸ばし続ける必要があります。これはどんな企業にも当てはまる戦略の根幹です。国内市場を主戦場としていた企業が海外へ進出し、現地でも受け入れられれば大きなビジネスチャンスとなります。国内市場で着実にシェアを伸ばし続ける企業は、利益も売上に応じて増加します。企業が新たな製品を開発し、その製品が世の中のニーズにマッチしているものであれば、事業の拡大が期待できます。いずれも利益の拡大に直結するということ。
企業が将来的に生み出せるであろう利益水準に対して株価が安く推移しているなど、企業の本質的価値と株価に歪みが生じているようであれば、その価値に対して安く 投資することができます。株価は長期的には業績に連動していきますので、企業利益が増加すれば株価も上昇します。そのような将来想定される企業利益の増加を経営戦略から読み解くことで、投資リターンに結びつけられる機会は増えるでしょう。(P.93)
 
積水ハウスの戦略】
積水ハウスは、土建住宅、賃貸・事業用建物、建築・土木、賃貸住宅管理、リフォーム、仲介・不動産、マンション、都市再開発、国際事業を展開している日本でトップクラスのハウスメーカーです。人口減少などにより国内の住宅関連市場が縮小、成熟していく中で、大きな可能性が見込める海外市場へ事業を展開させています。海外展開を進めるにあたって2008年に国際事業部が発足しており、また、第1次計画(2010年度計画)において、海外事業戦略概要を公表していますので、ポイントとなる点を抽出し以下に紹介します。
・世界的な環境配慮に対する意識の向上を追い風に、当社の持つサスティナブルな街づくり思想や環境技術を、様々な国の文化と、習慣と融合させながら、環境に配慮した街づくり、環境に配慮した住宅づくりを目指します。
・リゾート開発といった方向の不動産投資ビジネスを行うのではなく、住環境創造企業として、国内事業の延長線上にある住宅事業に参入し、現地の住居環境に向上に寄与することを目指します。
・各国で積極的な事業の拡大を行うために、高品質なプラットホームを即座に築くことができる優良なデベロッパー、ホームビルダーのM&Aや提携協力関係の構築を行い、現地に目指した開発住宅の供給に努めます。
また、戦略的事業地域の基本条件として以下の3つを設定し、海外での事業展開を開始しました。
・人口が増加し、安定した住宅需要 やその拡大傾向が顕著である
・対象国、地域の今後の経済的発展が見込まれる
・環境、省エネに対する取り組みに積極的である
(P.94)
 
【NTTのIOWN構想】
NTTは国内首位、世界でも屈指の通信会社です。国内市場が飽和状態にある状況下において、海外での事業展開を進めている企業の一つですが、並行して 新しい市場を創造しようとしています。その根幹をなすものが「IOWN(アイオン)構想」です。IOWN構想とは、従来のインフラの限界を超えてあらゆる情報を活用していくため、ネットワークから端末まで あらゆる場所に光電融合デバイスなどのフォトニクス技術を活用し、「低消費電力」、「大容量・高品質」、「低遅延」を特徴したネットワーク情報処理基盤を実現しようとする構想のこと。 IT化が加速度的に進んでいる現代社会において、発生するデータ量が増加し続けていて、このような情報を処理するのに必要なのがデータセンターです。データセンターにはサーバーやネットワーク機器が設置されていて、その内部にはサーバーを収納するラック、インターネットなど外部と接続できる高速回線、大容量電源、冷却装置などが所狭しと並んでいます。データ量がこのまま増え続けると、データセンターも増設が必要となり、消費電力も増え続けていきます。脱炭素社会を目指し、化石燃料からの脱却を試みている現代社会にとって、これは大きな課題です。そんな現況でNTTが開発した光電融合技術は、コンピューター内の回路同士の処理を電気と光を融合させることで 省電力・低遅延を実現し、上記のデータセンターのような課題を解決してくれると期待されています。まさに世の中が求めている技術といえるでしょう。(P.100)
光電融合技術について、NTTのHPより
 
【高配当株の指数】
「日経連続増配株指数」の主な特徴
・国内証券取引所の全上場銘柄が対象
・実績ベースの増配を原則10年以上続ける銘柄のうち、連続増配の年数上位から70銘柄を上限に採用
・年1回定期見直しを実施、6月末に入れ替え
時価総額ウエート方式で算出(日次終値ベースで算出)、各銘柄のウエート上限は5%
・2010年6月末を起点(10000)として遡及算出
「日経累進株指数」(愛称:しっかりインカム)の主な特徴
・国内証券取引所の全上場銘柄が対象
・実績ベースで減配せず増配か配当維持(累進配当)を10年以上続ける銘柄のうち、日経の予測配当に基づく配当利回りが高い順に30銘柄で構成
・年1回定期見直しを実施、6月末に入れ替え
時価総額ウエート方式で算出(日次終値ベースで算出)、各銘柄のウエート上限は7%
・2010年6月末を起点(10000)として遡及算出
(P.111〜113)
日本経済新聞社が算出・公表している
 
【中期経営計画を読もう】
成長に着目した投資戦略の根底にあるのは「株式投資とは、投資先企業の一部を保有すること」という投資哲学です。投資先企業で働いている人たちが どのような仕事をしているかをイメージすることで、投資の精度を向上させていくことができます。また、多くの企業では、3〜5年程度の中期的な目標を定めた中期経営計画を策定しています。企業が考える成長戦略を確認できる資料ですので、今後の成長性を占う上で参考になります。
例えば、積水ハウスの「第6次中期経営計画2023−2025」では、2025年度の EPS 目標を331.20円としています。また、中期的な平均配当性向を40%以上としており、業績が計画通りに進捗すれば、 EPS 331.20円×40%(配当性向)=132円程度が、2025年度に想定される配当額となります。中期経営計画を見ることで、こういった確認が可能となるのです。(P.124)
積水ハウスの過去の中期経営計画の乖離率は10%未満で推移しており、精度の高さがうかがえる。
 
【現金は暴落時に価値が出る】
定期的に発生する株価の暴落に対処するためには、現金は極めて重要と言えるでしょう。精神安定剤という意味で、現金は株価暴落時において比類がないほど価値が出てくるのです。資産運用によりリターンを得るためには、その大前提として、投資を長く続けていくことが必要です。焦らずとも長く投資を続けていれば、リターンはついてきます。そして、長く続けるためには、現金の価値を過小評価しないことが大切なのです。(P.143)
→現金を確保しておけば、暴落時に優良株を買い出動できるというメリットもある。
 
株主優待が営業となるパターンもある】
食品株における自社製品の贈呈といった自社に関連した製品やサービスの提供は、新しい顧客の開拓(営業)という測面も併せ持っています。企業としても株主優待を実施することに対外的な説明がしやすく、そのような株主優待は廃止される可能性が相対的に低いのではないでしょうか。(P.170)
→PILOTのボールペン贈呈も続きそう