【投資信託の分配金】
投資信託には「分配金」というものが支払われます。支払われる時期や回数は商品によって異なります(分配金がないものもある)。
これはおもに、運用実績に基づいて得られた利益(運用成果)を、投資した口数に応じて投資家に配分するものです。
ただし、分配金は純資産総額から支払われるため、支払い後の純資産総額は減ってしまいます。よって通常、分配後は基準価額も下がってしまいます。
定期的に分配金を受け取りながら投資を続けることになりますが、運用実績のよい投資信託であれば、分配後も基準価額は上がるので、高収益を狙えます。
また、受け取った分配金を再投資することもできます。(P.28)
【トータルリターンを確認しよう】
投資信託を購入するときにも購入したあとにも重要なのが「トータルリターン」です。
これは投資信託の一定期間内での利益率です。基準価額の増減に分配金を足したものを購入価格で割ったもので、%で表します。
たとえば1月に基準価額10000円で買った投資信託が6月に10500円になっていて、その間に分配金を200円受け取った場合、6ヶ月間のトータルリターンは7%です[(500+200)÷10000=0.07]。
投資信託の情報欄にあるトータルリターンは通常、対象期間内の値上がり額(値下がり額)に、分配金(税引前)をすべて再投資したと仮定して計算されています。ただし、分配金を再投資しないという条件での表示もあるので、確認してください。(P.34)
【基準価額と口数】
投資信託の価格は「基準価額」という値段で表し、「口数」という単位で取引します。
公表されている基準価額は、通常1万口あたりの価格となっています。これは多くの投資信託が最初に1万口あたり10000円で設定(発売)されるからです。
仮に基準価額8000円の投資信託を買うとしましょう。1口あたりで0.8円となります(8000円÷1万口=0.8円)。
それに100万円を投資する場合、単純に100万円÷0.8円=125万口が購入口数となります(投資額÷1口あたりの基準価額=購入口数)。
(中略)
(P.50)
【定性評価】
ファンドなどの運用哲学や運用体制など、数値として現れる前のバックグラウンドや運用者の資質などを分析し、評価する方法です。
実際に運用責任者や経営者などにインタビューをするなどして、評価することもあります。(P.62)
【定量評価】
ファンドなどの過去の変動幅など、数値で捉えられるものを統計的手法に基づいて数量的に分析し、評価する方法をいいます。
具体的には、株価をマーケットの平均と比較評価する「ベンチマーク比較」などがあります。(P.62)
【ユニバース」
【エマージング】
先進国に比べて経済成長率や成長余地が高い反面、政治や経済の基盤が不安定なため、何が起こるかわからないといったリスクがあります。(P.64)
【プレミアム】
カバードコール戦略をとるファンドでは、このプレミアムを受け取り、ファンドの収益に組み入れます。(P.64)
【デリバティブ】
【カバードコール戦略】
ある資産を保有しつつ、その資産のコールオプション(あらかじめ定めた価格で買う権利)を売却する戦略。その結果、保有資産の一定水準以上の値上がり益を放棄します。その対価としてプレミアムを受け取り、保有資産の配当収入等に加えることで、保有資産の配当収入以上の収益を狙います。
→外国の取引市場で行われている。
【「指数に連動」の意味】
インデックス型ファンドは、このような指数に連動するように運用方針が定められています。
たとえば「日経225インデックスファンド」は、日経225に組み入れられているいくつかの株式に投資し、指数(日経225)に連動した運用を目指します。
インデックス型には比較的コストが安いファンドが多いのも特徴です。別名パッシブ(消極的)型とも呼ばれます。(P.66)
→人工知能(AI)で運用することも。
【債券の変動リスク】
【ファンドラップ】
「ファンドラップ」(以下ラップ)とは、銀行、証券会社などが募集・販売する投資一任運用サービスのこと。ラップ(wrap)とは包むという意味で、いくつかのファンドを組み合わせて運用するしくみです。
投資家は自身のリスク許容度や投資目的などにあわせて、金融機関の専門家のアドバイスを受けながら、リスクや利率など、タイプの違う複数のファンドを組み合わせた運用を任せることになります。(P.88)
【ETFのメリット】
ETFのメリットは、リアルタイムで売買できることです。投資信託は、基準価額が取引終了後に計算されるため、取引価格がわからないまま売買することになります。反対に、ETFは市場で常時売買されているので、取引価格を見ながら取引できます。
ただし、ETFは10万円前後で運用しないと効果も少ないので、少額投資には向きません。(P.92)
→ETF=Exchange Traded Fund
【投資信託の名称が示すもの】
投資信託にはそれぞれ名称がついています。なかには正式名称だけではなく、愛称がついているものもたくさんあります。
正式名称には投資対象・運用方法などが含まれており、これを見ればある程度、そのファンドの特徴を推測できます。
投資信託には、愛称がついているものもあります。たとえば「三菱UFJ日本株アクティブオープン」の愛称は「ファーブル先生」です。これはボトムアップ・アプローチで、しっかり投資企業の株を選定する、ということから名づけられたようですが、一般受けを狙ったものだと思われます。(P.100)
【純資産総額でファンドの価値を測る】
純資産総額は、ファンドマネージャーによる運用差損益や分配金などによって変わります。そのほか、投資家がファンドを購入したり解約したりすることでも増減します。
当然、運用状況がよく、投資家の人気が高いファンドの純資産総額は増えていきます。
まさに純資産総額は投資信託の価値を表しているのです。
よって、投資信託を選ぶ際に純資産総額は要チェックです。規模が大きい(純資産総額が大きい)ファンドを選ぶのが前提ですが、たとえ純資産総額が大きくても、その額が何か月間にもわたって減少しているファンドは要注意です。(P.108)
→純資産総額が減っても口数が減ることで基準価額が上昇する場合があるので、基準価額だけでファンドの状況を判断するのは危険。目安としては純資産総額が30億円以上のファンドがよい。
【分配金は未来の利益の取り崩し】
投資信託でいう分配金は、預貯金につく利息とは異なります。したがって、利息と同じ感覚でとらえて「分配の回数が多いほうがトク」と考えるのは間違っています。
分配の回数が少ないファンドは、分配で出すお金を運用に回していることになります。
よって福利効果が期待でき、無分配もしくは年1回など分配回数が少ないほど投資効率がよいといえるのです。
また、分配金はファンド自体の純資産を取り崩して支払われることもあり、純資産総額の減少と基準価額の下落につながります。
とくに毎月分配型の場合、運用状況の良し悪しにかかわらず分配金が支払われます。毎月、普通分配ではなく「特別分配」も受け取っている場合には、自身の資産を削っているという事実を理解しなければいけません。(P.110)
【為替ヘッジ】
ヘッジを和訳すると「回避する」という意味になります。よって「為替ヘッジ」とは、為替変動による損失を回避することをいいます。
国際型投資信託には、為替の影響を回避する「為替ヘッジあり」と、回避しない「為替ヘッジなし」があります(目論見書を参照)。
「為替ヘッジなし」のファンドでは円安の場合、投資した株式や債権の価格が現地通貨ベースで変わらなかったとしても、為替差益が得られます。
逆に円高になったら、為替損益が生じ、基準価額の下落要因になります。(P.118)
【騰落率】
騰落率とは、投資信託の基準価額が一定期間内にどのくらい変動したかを%で表したものです。
騰落率を視る場合、6か月や1年などの短期間ではなく、少なくとも3年~5年の中・長期で見ていくことが重要です。
投資信託はあくまでも中・長期の運用が基本と考えれば、短期の騰落率よりも中・長期の騰落率のほうが重要になります。
たとえば、直近1年間の騰落率がプラス10%、5年間でマイナス20%のファンドでは、直近でプラスでも長期的にはマイナス運用となります。むしろ、直近1年間の騰落率がマイナス8%でも5年間の騰落率がプラス30%のファンドのほうがよいことになります。(P.126)
【シャープレシオ】
シャープレシオは、リスク1単位あたりに対しての超過リターンを測る数値です。要はこの数字が高いほど、とったリスクに対して得られたリターンが高い(効率よく収益が出た)ことになります。
違う投資対象を比べる際、リスクが同じならどちらが高リターンを得られるか判断するのに役立つ指標です。
(中略)
今までの運用に対する数値なので、将来を見通すものではありません。参考程度に考えるということも大切です。
シャープレシオだけでいえば、目安として0.5~0.9で普通、1.0~1.9で優秀、2.0以上なら大変優秀といったところ。同じ種類のファンドを比べる場合は、同時に標準偏差も比較してください。(P.128)
【ファンドの検索】
Wealth Advisorのサイトから、ファンドを探すことができる。
運用目標に応じて最適ポートフォリオを表示し、対応したファンドを表示することも可能。