ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書10冊目】年率10%を達成する!プロの「株」勉強法 栫井駿介

株式投資は学問と実利を結びつける】
新型コロナウイルスとは何なのか、どのくらい危険性があるのか、それが社会に及ぼす影響は…。様々なことを考え、恐怖に怯えるだけでなく、将来性のありそうな企業を選別し、市場がうろたえている時に買い込みました。その結果、政府の金融緩和政策にも支えられて、株価は平成バブル崩壊後の高値を更新しました。世の中の不安とは裏腹に、投資家たちは着実に利益を増やしているのです。
これを「けしからん!」と思う人もいるでしょう。しかし、少なくとも有望な企業はないかと調べて、リスクをとって投資できたのは投資家の努力の結晶です。投資のリターンは、まさに「自分ごと」として株を勉強した成果の表れなのです。
株式投資は学問と現実を結びつけ、その結果、投資成績という「実利」をもたらしてくれます。勉強家であるあなたがこれをやらない手はありません。(P.11)
 
【世界全体の株価は過去30年で年率8.7%】
革新的なアイデアを提供したのがインデックスへの積立投資です。ここで言うインデックスとは、日本のものではなく、米国や世界全体に投資するものです。
これらの指標は、リーマン・ショック等の波乱を経ながらも、長期的に成長を続けてきました。日経平均株価がまったく上がらなかった30年間に、世界全体の株価(MSCIコクサイ・インデックス)は12倍になっているのです。
実は、12倍になったといっても、年率のリターンはわずか8.7%にすぎません。それこそバブルで大儲けした人にとっては物足りない数値でしょう。しかし、これを30年続けることで、当時の100万円が1200万円になった計算になります。そう考えると、ここに投資する意義は大きいのです。(P.20)
 
【老後2000万円問題の真相】
2019年、金融庁が公表した報告書に端を発した「老後2000万円問題」は人々に衝撃を与えました。
報告書に書かれていたのは、「平均的な」夫婦が、年金収入だけで生活していこうと思ったら、年金からの不足分は30年間で2000万円になるということでした。
本来の趣旨は、これくらい足りなくなる可能性があるから、若い人はこれから貯蓄や投資に励みましょうと言うことだったはずですが、急に出てきた「2000万円」という数字ばかりがクローズアップされ、大混乱をもたらしました。
「急に言われてもそんなに用意できるはずがない」「年金制度は100年安心じゃなかったのか」といった怒りの声が沸き起こり、麻生財務大臣兼金融担当大臣は報告書を「受け取らない」という異例の行動に出ました。
「世間に著しい不安や誤解を与えており、これまでの政府の政策のスタンスとも異なる」(麻生大臣)ーこれが報告書を受け取らなかった理由です。
しかし、このことが余計に火に油を注ぎ、人々をより不安な状況にさせたことは間違いありません。
逆に言えば、人々を行動に駆り立てるには十分すぎる力がありました。私の周りでも、この騒動を受けて将来の資金計画について本気で考えはじめたようです。(P.22~23)
→そもそも、年金で生活するという考え自体が普及したのはここ数十年の話。生涯現役が当たり前の時代もあったのだ。
 
【貯金ではインフレから資産を守れない】
金融緩和と財政出動とは、すなわちお金を大量に刷ることを意味します。この「紙幣の大量発行」は、将来必ず大きな変化をもたらすことになるでしょう。なぜなら、お金の総量が増えたところで、実際の経済のパイは大きくならないからです。
すなわち、お金の価値が「薄まる」ことを意味します。これこそがインフレーション(インフレ)です。
お金の価値が下がるということは、持っている現金が日に日に価値を失ってしまうということです。こんな時に資産を「貯金だけ」で持っていたら、あっという間に資産がなくなってしまいます。つまり、貯金が最大の「負け組」になるのです。
実際に1929年の世界恐慌では、現在と同じように各国が大量の国債発行を行いました。その後インフレに苦しみ、やがて第二次世界大戦に突入する遠因となったのです。今回も似たような状況になる可能性は否定できません。
そこで考えておくべきなのが「投資」です。株や不動産は、実態のある「実物資産」です。これは、インフレになればそれと肩を並べて名目価格が上昇するものです。これらを持っておけばインフレから資産を守ることができます。(P.35)
 
【数珠繋ぎ読書は投資でも通用する】
儲けるために何をしたらよいか。そのひとつの答えは「成功者の真似をする」ことです。実は私も、世界最高の投資家と言われるウォーレン・バフェットを真似た投資を行っています。
もっとも彼だけではなく、その師であるベンジャミン・グレアムやバリュー投資家のお手本であるジョン・テンプルトン、個人投資家から人気の高いピーター・リンチも私が真似する対象です。外国人に限らずとも、例えば個人投資家の奥山月仁(エナフン)さんは理論派で立派な投資成績を出していて、学ぶことがたくさんあります。
私と彼らとの出会いは、すべて本を通じてです。彼らの誰にも直接会ったことはありませんし、誰かに勧められたわけでもありません。それでも数ある本を読む中で彼らと出会うことができました。それができた理由は、投資に関する本を読みまくったからです。書店で売られている本には当たり外れが大きいと言いましたが、多く読むほどにその中には当たりも含まれています。そしてその「当たり」が自分の性格と合っているならば、それはやってみる価値が大きいということです。
私がバフェットの何を気に入っているかと言えば、そのブレない姿勢です。彼の手法は企業が持つ「本質的な価値」よりも安く取引されている企業を買うことです。それ以外の、目先の株価の動きにはまるで関心がないのです。
要するに、自分が納得する手法を見つけ、あらゆる本を読みまくることが大切なのです。この本も納得できる本の1冊になれば幸いですし、そうでなくても肥やしくらいにはなるでしょう。
私がやっている方法は、少し自分の考えに近いかなと思う本があったら、そこで引用されている別の本を読むことです。このように辿っていけば、やがて本当にやりたい投資に行き着きますし、自分の中でも考え方が整理されます。この「数珠繋ぎ」をやってはじめて、投資本を「読んだ」と言えるのです。
(P.40~41)
→これまで実践してきた読書法は、どうやら投資の世界でも通用するようだ。
バフェットも本をたくさん読んで、良いものとそうでないものを選り分けるよう助言している。
 
【資産額の計算式】
資産額=(収入-支出)×投資リターン(利回り%)×時間
すなわち、資産を増やすために必要なのは、何も「大化け株」を掴むことばかりではありません。それよりも、リターンは現実的な数字を想定し、一方で他の「コントロール」できる部分で勝負した方がより確実性が上がるのです。
難しいことをしなくても、少しの「節約」から元手を貯めて、それを少しでも「早く」はじめて「長い期間」運用すれば、将来の資産を大きく増やせることはほとんど約束されたようなものなのです。
その中で、気をつけなければならないことがあります。それは、この公式の中で「リターン」を間違えると資産を減らすことにもなってしまいかねないことです。15年かかって2倍に増やせても、慣れないものに手を出してマイナス50%のリターンを出してしまったら、15年間の努力が水の泡になってしまいます。欲を出せば出すほど、その危険性は高まるのです。
そのようなことが起きないように、私たちには「勉強」が必要なのです。勉強し、資産を失わないようにする。そうすれば、あとは時間さえかければあなたの資産は間違いなく大きく増えるのです。
バフェットが投資の第一法則として語っているのがまさにそのことです。これを頭に入れて、今すぐにでも投資の勉強と実践をはじめてみましょう。
ルール1:絶対にお金を失わないこと。
ルール2:絶対に1を忘れないこと。
(P.51~52)
→これまで「頭脳資産」への投資がメインだった。これも大きな複利(人的繋がり、人前に立つ機会、文化財から引き出す愉しさの最大化等)をもたらしてくれたが、今度の勉強は「金融資産」の増大をもたらす。
 
【各ネット証券の特徴】
SBI証券:ネット証券最大手。最近は口座数で対面型証券も凌駕する勢い。最大手の安心感があるが、サイトはやや分かりづらい。
マネックス証券:外国株取引や企業分析ツール(銘柄スカウター)に強み。サイトは使いやすい。メイン口座でなくても、ツールだけでも使う価値あり。
楽天証券:口座開設や取引で楽天ポイントがもらえることが強み。積立投資で楽天クレジットカードも使える。楽天ポイントを貯めている人にはお得感が強い。
(P.62)
 
【単元未満株を取引する精度】
多くのネット証券では「ミニ株」などと呼ばれる単元未満株を取引できる制度を設けています。SBI証券なら東証(一部・二部・マザーズ・ジャズダック)に上場するすべての銘柄を1株から取引することができます。(P.69)
SBI証券ならTポイントを使った運用も可能。
 
指値注文のメリット】
私は指値注文しか使いません。というのも、私が非常に慎重な投資家であると同時に、デイトレーダーとは真逆の長期投資家だからです。
指値注文には、当日中の発注以外に、期間を指定して発注する方法があります。例えば、SBI証券なら、発注日を含めて15営業日まで、実質的に約3週間後までの発注が可能です。その間に指値にかかれば約定することになります。このようにして約定することを「指値が刺さる」と言ったりします。
私がこの方法をはじめてから、思わぬ効果を発揮しました。株式の取引というと、日々証券口座にログインしてチャートを見つめているイメージがあるかと思います。しかし、期間指定した指値注文を行えば、指値にかかれば自動的に約定されるだけなので、日中の株価を見る必要がまったくないのです。そして、約定すれば自動的に証券会社からメールが飛んできます。現に、私は投資をアドバイスする仕事をしながら、日中の株価はほとんど見ていません。決して怠けているわけではなく、この方が精神的な動きに左右されなくて済むのです。(P.73~74)
 
【単元未満株を実質指値注文する方法】
ただし、ネックなのが単元未満株では指値注文ができないということです。これを解決するために、Yahoo!ファイナンスで株価アラートを設定しておけば、設定した株価になった時に通知してくれます。通知と同時に発注すればよいのです。
最近の議論では、東証でも1株単位で取引できるようにしようという話が進んでいます。これが整備されれば、指値注文も可能になることが期待されます。米国では1株数十ドル(数千円)から取引できるのが一般的であり、早く同様の状態になることを私としても心待ちにしているところです。(P.75~76)
 
iDeCoのメリットは所得控除】
iDeCoのメリットは、なんと言っても税制がかなり優遇されていることです。なぜなら、これらの拠出金は所得控除することができ、年末調整時に申告することにより税金が還付されます。それが案外馬鹿にできないのです。
例えば、年収600万円のサラリーマンが、確定拠出型年金に上限いっぱいの毎月2.3万円を拠出していたとしましょう。12ヶ月で27.6万円の拠出となり、これは将来の自分が受け取る年金の元手となる一方、そのぶんの所得が減少したとみなされます。その結果、年末調整では約5.5万円が返ってくるのです。
驚くべきなのが、確定拠出型年金の運用元には、定期預金などの元本保証型商品も含まれるということです。つまり、老後のために貯金しただけなのに、所得税が返ってくる、何ともおいしい制度となっているのです。給与所得のある人でiDeCoに加入しておらず、老後のために定期預金をしている人なら迷わず加入を検討するべきでしょう。(P.77~78)
→拠出した分が収入から控除されるので、その分、税金が安くなる。
 
積立投資は、毎月投資を行うので、確かに高い時にも投資することになるのですが、そこで一気に投資してしまわないので、割高なタイミング「だけ」で買うことは避けられるのです。しかも、同じ金額だけ投資するので、割安な時はよりたくさんの口数に投資することになります。
例えば、毎月1万円ずつ積立投資を行っていたとしましょう。インデックスが2000円だった場合、変えるのは5口です。翌月は、インデックスが半値の1000円になっていたとしましょう。すると、今度は10口買えることになります。翌月は再び2000円に戻ったとすると、また5口買うことになり、トータルでは20口、平均取得単価は1500円となり、この時点で利益が出ていることになります。
(平均1500×20=30000、最後の月単価2000×20=40000で、10000円の利益)
一方、同様の株価推移を辿ったとして、最初に3万円すべてを投資してしまったらどうでしょう。15口しか保有できず平均取得単価は2000円。損失こそ出ていないものの、利益はゼロ、保有資産も積立投資より少なくなることが分かります。(P.87~88)
 
【全世界株式のインデックス】
ポイントは「全世界型」の投資信託で、手数料ができるかぎり低いことです。全世界型のインデックスなら名前はほとんど変わりませんから、あとは手数料だけの世界です。証券会社によって買える商品が異なりますから、ここでは代表的ないくつかの商品を挙げることにします。
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・ニッセイ全世界株式ファンド(GDP型バスケット)
・たわらノーロード 全世界株式
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))
これらの投資信託の特徴は、いずれも購入時手数料がかからない「ノーロード投信」だということです。現在、世界中でインデックス・ファンド競争が加熱しており、かつて投資信託では通例だった購入時手数料がかからないのは今や常識となりつつあります。
手数料も競争によってどんどん引き下がっており、個人投資家が資産形成をするには素晴らしい時代になってきたと言えるでしょう。(P.94~95)
 
インデックス投資だけではお金持ちになれない】
インデックス投資のリターンというのは非常に限られた範囲にとどまり、結果は平凡なものになることはほぼ間違いありません。要はバランスで、たくさんリスクをとったのに、大して儲からないという事態を避けるというのが、このインデックスへの積立投資の基本的な考え方になります。
こんな投資を行っていると、決して楽しくはありません。投資のやり方については多少身につくのですが、それ以上の発展性はありません。したがって、ここに対して熱意が続くということは残念ながらほとんどありません。
私の知るかぎりでも、インデックス投資でお金持ちになったという人は見たことがありません。これは、リスク・リターンの関係で儲からないということにとどまらず、そこに熱意が続かないからだと思います。投資で大きく儲けている人は、ほぼ間違いなく投資に対する熱量を持っています。インデックス投資はその熱量を注ぐ場所がないのです。(P.97)
→リスク分散というメリットはあるが、リターンは限られている。
 
【上級デイトレーダーは大きな失敗をしないから稼げている】
学術的には短期の株価の動きは「ランダムウォーク」と呼ばれます。これはすなわち、そこに明確な傾向があるわけではなく、乱数表で決めているのと大きな違いはないということです。実際に、ランダムに数値を発生させたチャートが、本物の株価推移と同じようになることも指摘されています。
それでも、チャートを見ながら上手に売買する人も少なからず存在します。彼らは、統計では表れにくい微妙な投資家心理の変化を読んでいるのかもしれません。しかし、それでも百発百中ということはなく、むしろダメだった時の撤退速度が速いからこそ大きな失敗をせずに成功を遂げているとも言えます。そしてうまくいくと確信した時に大きな金額をベットしているのです。彼らは株価の動きを読めるのではなく、リスクのとり方を知っているのです。(P.104~105)
 
【株価は先回りで上昇する】
単にプラスの決算だったからといって、いつも上がるとはかぎらないのが株価の難しいところです。実は、好決算が出る場合にはその予兆を察知した投資家が先回りして買っている場合があります。決算に向けて株価がじわじわ上がると、さらに期待が期待を呼んで株価を上昇させます。
その結果が、予想を上回るものでなかったりすると、投資家は手のひらを返したようにその株を売りに回ります。そして、プラスの決算が出ているにもかかわらず、株価が下がることがあるのです。これが決算にかぎらず、月次売上高やニュースなどの「材料」によって引き起こされているのです。(P.107)
→中期投資で成果をあげるには、「企業の業績」と「投資家の期待」のバランスを見ながらその両方を当てることが必要。
 
【仕事の内容を想像できる企業に投資する】
長期投資ということになると、私たちが見るべきはその企業の業績が成長するかどうかです。少なくとも、利益を出す力のない企業に価値はありませんし、逆に利益を伸ばし続ける企業だったら長期的に株価は上昇を続けます。長期投資とは、このように企業の成長を見守ることからはじまるのです。
そう考えると、自分が聞いたこともないような企業の株に投資するというのは、長期投資としてあまりふさわしいとは言えません。たまたまうまくいったとしても、なぜその投資がうまくいったのかというフィードバックを働かせることができないので、再現性のないものとなってしまいます。これが、企業の中身をほとんど見ずチャートだけを見て判断する短期投資との大きな違いです。
逆にあなたの身近にある企業なら、普段の生活の中で、そこがどのようなビジネスを行っているかなど最低限のことは理解できると思います。もっと言えば、いつの間にかあなたの身近にあるということですから、それだけ顧客を増やし、業績を伸ばしている可能性も高いのです。(P.116~117)
→バフェットの教えでもある。
 
もっとも、単に好きだから買ったというだけでは再現性のある投資にはなりません。その企業の特徴をよく理解し、株価水準とも絡めて考えることがうまくいく投資を繰り返す秘訣になります。
企業を理解するために、情報源としては四季報決算短信などがよく挙げられますが、私はもっぱら「有価証券報告書」を読むようにしています。
(中略)
有価証券報告書とは、金融商品取引法に定められたすべての上場企業に提出が義務付けられている書類です。株式を売買しようとする投資家のために、中立的な立場で必要な情報を開示すべきという理由からこのような書類がつくられています。
株式を上場しているなら、どんな企業でも無料で有価証券報告書を読むことができますし、またその中身もフォーマットにしたがっていて、よい情報ばかりではなく悪い情報も書かなければなりません。虚偽記載があれば刑事罰も定められている書類ですから、いい加減な情報を盛り込むこともできないのです。(P.120~121)
→企業のホームページや金融庁のサイト(EDINET)からダウンロードして読むことができる。
 
有価証券報告書の項目】
有価証券報告書は、以下のような項目で構成されます。
①企業の概況
②事業の状況
③設備の状況
④提出会社の状況
経理の状況
⑥提出会社の株式事務の概要
⑦提出会社の参考情報
このうち、私たちが主に読むべきは①、②、④、⑤です。(P.124)
 
【業績推移表で見るべきポイント】
表紙をめくると、直近5期分の業績推移表が現れます。実は、必要な情報の半分はここにあると言っても過言ではありません。
ここで見るのは、何よりも「業績が伸びているか」ということです。売上高や経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の推移を見れば、伸びているかどうかは一目瞭然です。
ニトリのようにどれも右肩上がりなら言うことはなく、ジグザグだったり売上と利益の推移が一致しなかったりした場合は、読み進めることでその原因を探ることになります。
ここで明らかな特殊要因もかく売上・利益ともに右肩上がりの企業は、そもそも長期投資の対象になりません。5年間ダメダメなのに何も手を打たないということは、これからも伸びる可能性は低いからです。この基準でスクリーニングするだけでも、余計な時間をとる必要がなくなります。(P.126)
 
有価証券報告書の財務諸表を見る】
次に見るのは「自己資本率」ですが、これは明確に何%以上ならよいというものではありません。業種やビジネスモデルによって異なりますし、低いから一概に悪いということもありません。利益が出ているならやがて改善していくものですから、極端に低く下落傾向でなければ問題ないと考えてよいでしょう。
業務や財務とあわせて重要なのが、「キャッシュ・フロー」です。キャッシュフローは「営業活動」「投資活動」「財務活動」に分けられます。理想的なのは、ニトリのように「営業活動」から「投資活動」を引いた「フリー・キャッシュ・フロー」がプラスを続けていることです。要するに、これは時間の経過とともに金庫のお金が増えているということですから、配当も増えやすく、今後の成長投資に振り向けることもできます。(P.126~127)
→フリー・キャッシュ・フローがマイナスでも、投資活動が大きい場合、今後の成長が期待できる。一方、営業活動がマイナスの企業は業績が落ちていると見なせる。
 
マネックス証券「銘柄スカウター」(無料)】
マネックス証券に口座を開設すると無料で「銘柄スカウター」を利用することができます。
ここで銘柄を検索すると、企業概要や過去10年分の業績推移等が一目で確認できるようになっています。簡単に言えば、有価証券報告書をよりコンパクトかつスマートにまとめたものです。企業のことを知りたいと思ったら、まずここで検索すれば間違いありません。
1つの銘柄を調べるだけではありません。類似企業を横並びで比較したり、「10年スクリーニング」というものを使えば、過去10年の業績にさかのぼったスクリーニングを行うことができます。これによって、成長を続けている企業等を一目で確認することができるのです。まさに長期投資にうってつけのツールということができます。(P.130)
 
【バフェット・コード(無料)】
有価証券報告書が一次情報源(ソース)なら、やはりそれを直接見るのが一番間違いありません。しかし、これはいちいちダウンロードして文字を読み解かなければならないことや、複数の会社を横断的に見ることが難しいという弱点があります。その弱点を克服してくれるのが「バフェット・コード」です。
本データは有価証券報告書から取得している一方、それをグラフにして視覚的に捉えやすくしています。銘柄スカウターからは有価証券報告書を直接見ることはできませんでしたが、バフェット・コードでは有価証券報告書の内容に直接リンクしているので、情報源にもすぐに当たることができます。有価証券報告書を読んでみたいけど、少しハードルが高いと感じている方にはお勧めのツールです。(P.132~133)
 
【株探(無料・有料)】
個人投資家の間で定番となっているのがこの「株探(かぶたん)」です。
特徴は、とにかく情報が早いことです。決算や相場関連ニュースがあれば、すぐにその銘柄のニュース一覧に表示されます。例えば、株価が大きく動いた時にどんなニュースが出たのかを確認したければ、株探のその銘柄をのページに飛べばよいのです。きっと欲しかった情報を見つけられるでしょう。
もうひとつ重宝しているのが、長期の業績推移です。業績の一覧で言えば、有価証券報告書だと最新のもので過去5年間、銘柄スカウターだと十数年まででしたが、株探の有料会員になれば、なんと最大25年分にまで業績をさかのぼることができます。過去の業績と、有価証券報告書にある「沿革」を一緒に見ることで、その会社に起きたことを歴史的な観点で深く知ることができるのです。先ほどのニュースと合わせると、まさに過去と現在、そして未来を見通すことができるサイトということができます。(P.133~135)
 
会社四季報は、昔ながらの株式投資家にとっては必需品とも言えるものです。しかし、近年は上記のようなツールの登場でその価値は少し落ちてきたように思います。
実は、四季報に書かれている内容は証券会社の取引サイトでも無料で読むことができてしまうので、それだけを見るためならお金を払ってまで分厚い本を買う必要はありません。
さらに言えば、最新の情報だけなら銘柄スカウター等の方がより充実しているので、もはや1銘柄半ページのこの資料だと情報量では勝つことができません。
一方で、私もいまだに四季報を手放すことができません。なぜなら、「一覧性」で言えばこれに勝るものはないからです。1冊に国内上場企業4000銘柄の情報すべてがまとめられ、簡潔な記者コメントも書かれています。ちょっと確認したいという時にはうってつけの資料ですし、何よりパラパラとめくりながら多くの企業情報に目を通すことができるのは他にはない強みと言えます。
(P.135~136)
→辞書のような使い方ができそう。チャートで右肩上がりの企業を探して、ピックアップしたものをバフェット・コードや有価証券報告書で調べる…など。
 
四季報を買う時期】
四季報は年に4回、その名の通り春夏秋冬号が出ますが、すべてを買う必要は必ずしもありません。一番重要なのは夏号です。日本の多くの企業の決算期は3月で、その開示が行われるのが4月から5月にかけてです。これらの最新情報がすべて掲載されるのが、7月に発行される夏号なのです。(P.136)
→夏号だけ買って、理科年表・天文年鑑のように座右に置いておこう。
 
【業界地図】
四季報と同じように、年に1回必ず購入するのが「業界地図」です。企業を分析する上で大切なのが、市場やライバルの動向を見極めることです。しかし、有価証券報告書を見ただけでは、どこがライバルなのかは書かれてはいません。四季報には「比較会社」が2~3社書かれていますが、それらがどのくらい似た会社で、業界内の地位がどのくらいなのかを把握するのは難しいものです。そんな時に活躍するのが業界地図です。
各業界の売上高ランキングや資本関係、業界動向などが見開き1ページでまとめられています。自分が調べようと思う企業があったら、そのライバルも分析することでより理解が深まりますし、もしかしたらライバルの方がよい企業であることに気がつけるかもしれません。これを1冊手元に持っておくことで、間違いなく企業選定の視野を広げることができるでしょう。(P.137)
→業界の平均年収も見ることができる。
こうした企業・業界分析ができるようになったら、教室の営業戦略を立てることにも活かせそう。
 
【(番外編)転職サイト】
直接的な株式分析のサイトではないのですが、私が分析の中で一度は必ず見ることにしているのが「転職サイト」です。
企業の公式情報は、どうしても綺麗にまとめられ、内部の「本当のところ」までは描かれていません。一方で、転職サイトはまさにそこで働く人たちの「生の声」が掲載されています。匿名ですから、忖度のない意見が辛辣に述べられています。
中には自社のことを冷静に分析し、経営者に提言しているものまで見られます。それもそのはずで、転職は彼らにとって自分の人生がかかっているのです。ひと通り分析が終わったら、彼らの本音の声を聞くことで、自分の分析が合っているかどうか、そのリアルを確認することができるでしょう。(P.138)
→例)openworkhttps://onl.sc/8jisuGE
 
【PER(株価収益率)】
「株価/1株あたり純利益(EPS)」で計算される。株価が純利益の何倍になるかを示す数字で低いほど割安とされる。平均は15倍程度。一般的に成長性が高い企業ほど高く、成熟企業ほど低い。純利益はぶれやすいので、数字の中身を吟味する。(P.140)
 
【PBR(株価純資産倍率)】
「株価/1株あたり純資産(BPS)」で計算される、会計上の純資産き対して株価が何倍かを示す数字。一般的に1倍を下回ると簿価割れで「割安」とされる。しかし、低PBRは成長性の低さも意味するため、数値の低さにばかり目を奪われてはいけない。(P.140~141)
 
配当利回り(%)】
「1株あたり配当/株価」で計算される、投資金額に対してどれだけの配当がもらえるかを示す数字。平均は2%前後。配当を目的とする投資では重要な指標。配当は企業の方針によって簡単に変更できるため、その継続性をよく判断すること。(P.141)
 
「純利益/自己資本」で計算される、資本をいかに有効に活用しているかを示す指標。高いほど投下した資本を効率的に活用できていることを示す。平均は8%前後で、これを上回ると効率的な経営をしているとして評価が高まりやすい。(P.141)
 
【営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による現金の出入りを示す。主に会計上の利益から、現金の流出を伴わない減価償却費などを足し戻したもの。順調な経営をしている企業ならプラスになっていることが多く、ここがマイナスの場合は注意が必要。(P.141)
 
【投資活動によるキャッシュ・フロー
工場や機械への投資、企業買収(M&A)などに使用した現金の流れを示す。一般的にマイナスになることが多く、積極的な投資で成長を目指す企業ほどマイナスの数値が大きい。
(P.141~142)
 
【財務活動によるキャッシュ・フロー
借入金や配当の支払い、自己株式取得に利用した現金の流れを示す。プラスが続く企業は借入金が増え続けている可能性があり、将来的な財務状況に注意が必要。(P.142)
 
【フリー・キャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー-投資活動によるキャッシュ・フロー」で計算される。この数値がプラスであるほど保有する現金が増えていき、株主にとって望ましい状況になる。(P.142)
 
自己資本/総資産」で計算される、企業の財務的な安定性を示す指標。上場企業の平均は50%前後。高いほど安心だが、資本を有効に活用できていない可能性もある。一方、低すぎると将来的な債務超過の可能性があり注意が必要。(P.142)
 
【よい企業の条件】
①業績が伸びていること
成長を確認する上で最も大切なのは純利益の推移です。いくら売上高が伸びていても、利益率が下がり続けるのは「成長」ではなく、単なる「肥大化」の可能性があります。最終的に株主のものとなるのは純利益ですから、これを確認することが近道です。ただし、純利益が増えていても、増資によって1株あたりの価値が薄まっている可能性があるので、1株あたりの利益もあわせて見るのが望ましいといえます。(P.145)
→純利益だけでなく、PERも確認する。
 
②成長意欲があること
成長を続けるためには経営者の意欲を見極める必要があります。そのために有効なのが「経営計画」です。ここでは経営者が、今後数年、場合によっては数十年にわたる経営の方向性や会社のポリシーを示しています。有価証券報告書で言えば「2 事業の状況」における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載されています。
多くの企業が中期経営計画をパワーポイントの資料で作成していますが、私はどちらかといえば有価証券報告書の記述を参考にします。パワーポイントの資料では輝かしい未来を多くの図表を交えて語っていますが、よく見ると中身があまりないケースが珍しくありません。それに対し、有価証券報告書は基本的に文字情報のみなので、中身の濃さは一目瞭然です。中には、経営者が自ら書いたと思える魂の入った文章を目にすることがあり、そのような会社には強い信頼感を持てます。(P.146~147)
→動画で経営者のプレゼンを見る機会も容易になってきている。
 
③ビジネスの強み(堀)があること
経済学の法則でも、誰でも真似できるビジネスはやがて収益性が下がってしまう傾向があるのです。
この点をとても重視しているのがウォーレン・バフェットです。彼はビジネスの優位性のことを、お城を守る「堀」に喩えました。堀を持つ企業なら、他社に真似される心配が少なくなります。(P.148)
→個人でもそう。堀(参入障壁)となるスキルやコンテンツを持っていれば、無理に気を張り続ける必要もない。余裕がある分、価値創造的な思考にエネルギーを振り向けて、更に優位性を高めることができる。
 
④財務的に無理がないこと
財務的な危険性を見極めることは決して簡単ではありませんが、初心者は以下のような項目をチェックするとよいでしょう。
営業(フリー)キャッシュ・フロー:マイナスでないか
借入金:売上の規模に対して増え続けていないか
のれん(企業を買収した時に生じるもの):自己資本より大きくないか
大切なのは「おかしい」と思った企業は避けることです。財務的に無理をしている企業は、なんの前触れもなく突然窮地に陥ることがあります。(P.150)
 
⑤割高すぎないこと
精いっぱい企業を分析して、やっとのことでよい銘柄を見つけたとしましょう。ここまでしたらすぐにでも株を買いたくなってしまいますが、最後にもう一度我に返って注目してほしいポイントがあります。それがPERなどの「バリュエーション」です。
どんなによい企業で、どんなに成長していても、高すぎるバリュエーションの株は上がり続けることはなく、むしろ下がる確率が圧倒的に高いものです。なぜなら、長期的な株価は最終的には業績の水準に収束するからです。割安に評価されている銘柄なら上がる余地がありますが、逆に割高すぎる銘柄もこの法則にしたがい、実力どおりの水準にまで戻ってくることになるからです。
例えば、2000年前後のITバブルでは、IT関連銘柄であればPERなど無視して上がり続けました。日本を代表するIT銘柄といえば当時もソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)でしたが、ピーク時の同社のPERは何と1000倍あったのです!
いくら成長するといっても、平均が15倍とされる中であまりに高い数字と言わざるを得ません。
その後、ITバブル崩壊によりソフトバンクの株価は一時100分の1にまで下がりました。多くの投資家が痛い目を見たはずですが、2021年の現在でも同じような水準で取引される銘柄は存在します。すなわち、歴史はいつも繰り返すのです。このような銘柄の特徴としては、経営者がカリスマ的で、時流に乗ったビジネスを行っていることなどが挙げられます。(P.151~152)
→属人的な手腕というよりも、利益を生み出す構造に投資することを心がけよう。
 
【イナゴ投資家になるな】
一番いけないのは「誰かがいいと言っているから」という理由で買うことです。現在ではSNSマネー雑誌などで「これから上がりそうな銘柄」が盛んに取り上げられます。
中には、相場を煽る劣悪なものもあったりします。もし発信者が本当に上がると思っていたとしても、その本当の理由までは分かりませんし、あなたが買った時にはすでに上がりきって、あとは利益確定を待つだけの状況かもしれません。結局のところ投資は「買う価格」と「売る価格」がすべてですから、それがはっきりしないものに単純に乗る投資はうまくいかないものです。
誰かが叫んだ銘柄に目を瞑って投資し、さらに株価を引き上げ、やがて株価の崩壊に巻き込まれる投資家を「イナゴ投資家」と言い、初心者が失敗する代表的な例でもあります。楽をしようとして、結果的にイナゴ投資家にならないように心がけましょう。(P.154~155)
→自分で買う理由を説明できないうちは、買ってはいけない
 
【長期投資家が損切りするとき】
巷でよく言われる「何%下がったら損切り」といった考え方にも同意できません。これは長期投資ではなく、短期トレードの考え方です。短期でトレードする上では、目先の利益を得ることが目的ですから、目先の損をかぎりなく小さくするのが当然なのですが、長期で見ればどんなによい企業でも目先の株価が下がることはあります。それを毎回売却していては、やがてくる大きな上昇も取り逃がしてしまうことになるからです。
すなわち、長期投資家が損切りを行うのは、必ずしも株価が下がった時ではなく「成長ストーリーが崩れた時」だと思ってください。その時点での投資損益は関係ないのです。買いにしろ損切りにしろ、常に「ストーリー」を意識することが長期投資で求められることです。それをチェックするために、年1回発行される有価証券報告書は大きな力を発揮するでしょう。(P.158)
 
【バリュー株投資の考え方】
長期投資では、基本的に時間の経過に伴って株価が上昇することを期待します。したがって、その株を買うなら1円でも安い時に買った方がいいことは間違いありません。安く買うことによって、上昇した時にはより大きなリターンが期待できます。その基準となるのが「価値」という考え方です。企業には、その業績や財務状況から導き出される、あるべき価値というものが存在します。
この価値よりも安い株価で取引される株を買うのが、ウォーレン・バフェットのやり方であり、すなわち「バリュー株投資」の考え方なのです。具体的に言うならば、本来1000円の価値があるものを、500円という割安値で買う方法に他ならないのです。(P.160~161)
 
【安全域の大きい企業に投資する】
将来の利益が大切ということを考えると、現在の利益から計算されるPERが30倍の銘柄だとしても、将来の利益が大きく増えるならば、決して割高ではないということになります。
私たちが見るべきは、目先のPERではなく、将来にわたって継続する利益に対するバリュエーションということになるのです。これは、金融の世界でいうDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)に基づいた考え方になります。
(中略)
例えば、売上高は年率何%で伸びるのか。費用はその売上の伸びに対して、同じくらい伸びるのか、あるいはほとんど変わらないのかなど。売上の伸びを想定できれば、その他の費用などはビジネスの特性から、ある程度推測できるものです。こうやって推定した将来の業績から純利益まで導き出します。それに適当なPERをかけたものが企業のあるべき価値です。なお、PERは株価/1株あたりの利益ですが、同時に時価総額/純利益でも計算できます。企業の価値=時価総額は純利益にPERをかけたものです。
このように導き出される「価値」と現在の株価の差を、ウォーレン・バフェットは「安全域」と呼びます。安全域がある銘柄を買うことによって、私たちは長期的な損失を避け、利益を出す確率を向上させることができるのです。
例えば、ある会社の純利益が現在100億円で、3年後に150億円になるとしましょう。3年後の時価総額は、PER15倍をかけて2250億円(150億円×15)くらいなら十分に妥当といえます。
この会社が時価総額2000億円で売られているとしたら、250億円(2250億円-2000億円)の「安全域」があり、買ってもよい水準となります。これが1500億円ならさらにお得というわけです。(P.162~164)
時価総額は「株探」や「Yahoo!ファイナンス」ですぐに見ることができる。
 
【いつ買うか、下がった時】
いつ買えばいいのかという永遠の課題に対して、私が提案するのは、ズバリ、下がった時に買う方法です。
株価の波を見てみると、おおよそ年に2~3回は大きな下落がやってきます。その時に、目をつけた企業を買っていけば、買ってから大きく値下がりする可能性を減らすことができます。
この年2~3回というタイミングは多くの場合、テレビのトップニュースなどで株価の暴落が伝えられた時になります。このタイミングが訪れるまで、私たちは買うべき企業を見つけて、その瞬間にせっせと買い増せばいいのです。(P.165~166)
 
【もっとも大切な資質は忍耐】
バリュー株投資に最も大切なことは何かと聞かれれば、私は「忍耐」と答えます。
買いに関しても、下手に株価水準が高いところで慌てて買わないことが大切になりますし、一方で保有する銘柄が下がった時には慌てて売らず、じっと我慢して、その企業の将来性を見つめることが必要になります。
そしてやがて来る「稲妻が輝く瞬間」に居合わせようと思ったら、小さな利益で終わらせずに、大きな利益が出るまで持ち続ける覚悟が必要なのです。
長期投資でうまくいくために大切なのは、上がった/下がったの「勝率」ではありません。むしろ、大きく上がる少数の銘柄をどれだけ伸ばせるか?ということが、最終的な資産額に大きく影響します。
バリュー株投資とは、なるべく安く買うことでリスクを避け、そしてできるかぎり持ち続けることによってリスクをとり、その対価として資産を増やすものです。(P.187~188)
 
【お金と幸せ】
私が考える最適なお金と幸せの関係とは、最終的には「お金のことを気にしなくて済む状態」です。それは必ずしも有り余るお金を持つことではなく、必要なものを必要な時に買え、将来に対する不安がなく、ちょっとした大きな出費にも耐えられるだけの財産を持っていることです。逆に言えば、それ以上のものを望む必要はありません。いくら金持ちになったところで、幸せが無限に増えることはないのです。
幸福学の研究によると、年収が800万円を超えると、幸福度は上がらなくなるといいます。(P.216)
 
本多静六の名言】
「人生の最大幸福は職業の道楽化にある。富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない」(P.231)
→学生時代、本多静六の「私の財産告白」を読んで感銘を受けたことを思い出す。
そこで説かれていたのは「月収の1/4を貯金し続ける」というシンプルな方法で、銀行の利率が今よりずっと高かった時代の話ではあるが、財産を築くのに必要な心構えが「忍耐」であることは共通している。改めて、静六の本も読んでみたい。