ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書59冊目】図解いちばんやさしく丁寧に書いた青色申告の本 今村正監修

【確定申告とは】
どんな内容であれ、一定の所得を得た人は、それに見合った税金(主に所得税)を納めなければなりません。この税金の額を決めるために行うのが確定申告です。税金の額は、その人の1年間の収入や売上(得たお金の総額)から、その収入や売上を得るためにかかったお金(必要経費など)を引いた、所得によって決まります。(P.12)
個人事業主の場合、年間の所得が48万円以下であれば確定申告の必要はない。
ただし確定申告をしなくていい所得額だったとしても、所得控除があったり源泉徴収の対象であったりする場合には確定申告をすることで、納めすぎた税金が還付される可能性もある。
 
【2種類の確定申告】
確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。会社をつくらず、個人で仕事をする人(個人事業主)は、どちらかを選択できます。2つの大きな違いは、事業にかかわるお金の出入りを記録する「帳簿」をつける義務があるかどうかでしたが、現在は白色申告の場合もすべて記帳が義務づけられています。ただし、青色申告の帳簿つけは「複式簿記」などややハードルが高いものです。
その代わりに、青色申告ではさまざまな「税金が安くなる特典」を受けられます。その分、使えるお金が増えるのです。「個人事業主青色申告をするべき」といわれるのはこのためです。(P.12)
 
青色申告は正確な帳簿の記帳が義務】
青色申告は、国が認めた、税金を軽くできる制度です。税務署は、個々の収入や取引内容を把握するのが難しいため、個人が正しくお金の出入りを記録し、正しい申告と納税をすれば、税金が安くなるようにしているのです。青色申告では、正しく税金を計算しているか確認できるよう、「帳簿」の記帳が義務づけられます。帳簿とは、その事業にかかわるお金のやりとりを「簿記」という一定のルールにしたがって記録するものです。帳簿は、お金のやりとりの内容に応じて、数種類が必要になります(事業内容によって必要になる帳簿は異なる)。また、当然ながら、帳簿には正確さが求められます。
以前は簿記の知識を身につけたうえで、手書きで帳簿をつけていました。複数の帳簿があれば、それだけ書き写したり、計算したりする手間がかかったのです。そのため、青色申告は難しい、面倒くさいと敬遠する人も多くいました。しかし、現代はパソコン時代。専用の会計ソフトを使えば、簿記の知識が必要な部分や面倒な計算は、自動的にソフトがしてくれます。帳簿が複数あっても、それぞれに自動転記されるため、手間はかかりません。
また、白色申告でも所得金額にかかわらず、原則として帳簿が必要です。青色申告より簡便なものでよいのですが、会計ソフトを使うなら、そう手間は変わりません。どのみち帳簿が必要なら、節税効果の高い青色申告を選ぶべきでしょう。(P.18)
 
【帳簿のつけ方で控除額が変わる】
青色申告特別控除」は、青色申告をしているだけで、所得金額から無条件で10万円または55万円(65万円)を引けるというものです。例えば、年間700万円の所得がある場合、白色申告で700万円を基礎として所得税を計算しますが、55万円の青色申告特別控除を受けられる人なら、700万円−55万円=645万円により税金の計算が行われます。それだけ 税金が安くなる、つまり 残るお金が増えることになります。
青色申告特別控除の金額の違いは 帳簿の付け方によります。家計簿程度の簡単な帳簿「簡易簿記」「現金式簡易簿記」なら10万円の控除額。取引やお金の動きを 「勘定科目」 や「仕訳」により詳細に記帳する「複式簿記」なら 55万円の控除額が認められます。もっとも会計ソフトを利用すれば、複式簿記も恐れる必要はありません。(P.26)
 
【白色申告では推計課税が行われるケースも】
青色申告がいくら節税できると言っても、帳簿をつけるのは面倒 」、そう考えて、白色申告で済ませている人もいるでしょう。白色申告の人にも 帳簿付けの義務ありますが、白色申告の帳簿は 簡便なもので済みます。一方、青色申告では届け出により必要な帳簿が決められており、より詳細な記帳が求められます。申告内容におかしな点がある場合、白色申告では税務署の判断で「推計課税」が行われることがあります。同業の事業者などと 比較して、適切と思われる税額を課すのです。青色申告をしていれば、帳簿を調査してからでなければ、税額を修正されることはありません。申告内容自体も、白色申告より青色申告の方が疑われることは少ないでしょう。(P.36)
 
青色申告には届出が必要】
メリットがたくさんあるから今日から青色申告にしようと思っても、勝手に青色申告にはできません。まずは 税務署に届け出が必要になります。まず、個人事業を始める時には、通常 「個人事業の開業・廃業等届 出書」を提出します。青色申告を始める場合は 「所得税青色申告承認申請書」が必要です。開業時 に、この2つの書類を合わせて提出することが多いようです。また、家族を青色事業専従者にして給与を支払う場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。初めて 従業員に給与を払うなら「給与支払い事務所等の開設届出書」なども必要です。(P.42)
 
青色申告の申請期限】
「今年から青色申告します!」と税務署に伝える「所得税青色申告承認申請書」で重要なのは 提出期限です。1日でも送れると1年待たなければならなくなります。提出期限は、新規に事業を始めた場合「開業日から2ヶ月以内」、開業日が1月1日から15日か、白色申告から切り替える人は「青色申告をしたい年の3月15日」までです。「令和6年分の確定申告は 白色から青色申告へ」と 考える人は、令和6年3月15日が締め切りです。申請書は自宅の住所を管轄する税務署に提出します。自宅と事業所で管轄の事業所が異なり、事業所を管轄する税務署を選ぶ場合は、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」 を、自宅と事業所を管轄する税務署 双方に提出します。申請内容に問題がなければ、税務署から連絡はありません。
(P.44)
 
【現金式簡易簿記】
帳簿付けは 青色申告する必須条件です。帳簿をつけるからこそ、青色申告特別控除などのメリットを得られるのです。青色申告に必要とされる帳簿の付け方には2種類、選べるコースは3種類あります。1つは 「簡易簿記」です。日々の取引(出金・入金・掛け売り・掛け買いなど)を、その都度、それぞれの帳簿に記入していくだけです。さらに「現金式簡易簿記」を選べば 、つけるのは現金の手入れは明らかにする 現金出納帳だけで済みます。ただし、事業所得が300万円以下の人に限られます。いずれも、青色申告特別控除額は10万円と低くなります。もう1つの帳簿の付け方は「複式簿記」です 。お金の流れを 借方・貸方という二方向から捉える 「仕訳」という作業してから 帳簿に記入します。 この仕訳により、決算時に財政状況が一目でわかる「貸借対照表」という書類が作成できます。簡易簿記 より大変そうですが、会計ソフトの登場により、実際の帳簿付けの手間は、どちらもそう 変わらなくなりました。(P.52)
 
【現金式簡易簿記は現金出納帳のみ】
どうしても複式簿記に踏み切れない人は、簡易簿記からトライしてみましょう。簡易簿記では仕分けの必要がないため、超越は家計簿や小遣い帳と同じ感覚でつけることができます。ただし、事業では現金の入出金だけでなく、掛け売り・掛け買いや 固定資産が生じるため、最低でも5種類の帳簿が必要になります。「現金出納帳 」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」です。その他必要に応じて 「預金出納帳」「手形記入帳」「債権債務記入帳」などを使います。青色申告特別控除は10万円と少ないですが、その他の青色申告のメリットは複式簿記と同じように受けられます。帳簿は 簡単に済ませたい、でも青色申告のメリットを得たいという人に向いています。現金式簡易簿記なら、帳簿は現金出納帳だけで済みます。売上などで現金が入ってきたら 記帳し、仕入れや 経費などでお金が出ていったら、そのつど記帳すれば良いのです。売掛金や買掛金も、入金、出金があるまでは 記帳 しません。ちなみに、現金が動いた時に記帳する方法 を「現金主義」と言います(通常の簿記では、取引が生じた時に記帳する「発生主義」。)ただし、300万円以下の事業所得の人が対象です。また、貸し倒れ引当金などが必要経費にならず、青色申告のメリットは少なくなります。(P.54)
→現金式簡易簿記を選択するには、「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」が必要。
 
【会計ソフトの例】
MJSかんたん!青色申告
やよいの青色申告
みんなの青色申告
青色申告らくだ
freee会計
クラウド確定申告
(P.65)
 
【プライベートの口座と分ける】
もし、プライベートのお金を使う口座と、事業用にお金を動かす 口座が同じなら、すぐに 事業用の口座を作り、仕事上のお金のやり取りは、全て その口座に集中させましょう。プライベートのお金が一緒になっていると、いちいち 振り分ける作業をしなければならず、とても 煩雑で間違いも 起こりやすくなります。日々の生活費は、月に一度 まとめて 事業用の口座から引き出し、プライベートの口座に移してから使うようにします。預金出納帳には、銀行口座を通したお金の入出金を記録します。事業専用の口座なら、預金出納帳の入力はその転記だけで、正しく行うことができます。(P.70)
 
【課税事業者】
消費税は当店 商品の売り上げなどにかかる税金です 。税率は10% (国税 8% + 地方税 2.2%)です。①酒類・外食を除く飲食料品、②週2回以上発行の新聞(定期購読契約)には8%の軽減税率(国税 6.24% + 地方税 1.76%)が適用されます。日々の取引では、この消費税を支払ったり 受け取ったりしています。原則として、受け取った 消費税と支払った消費税を相殺して、税務署に税額を申告、消費税を納めます。しかし、前々年(または前年1月から6月)の売上(消費税のかかる課税売上高)が1000万円以下の事業者は「免税事業者」として、消費税の申告納税を免除されます。申告 納税義務がある事業者を「課税事業者」と言います。ただし 売り上げによらず自らの希望で課税事業者になることもできます。(P.132)
 
【交通費も必要経費】
仕事のために、電車やバス、タクシー など、様々な交通機関を利用するでしょう。これらの交通費は必要経費です。「旅費交通費」という勘定科目でまとめます。短い移動の電車賃やバス代など、領収書のない交通費は、「仕事で使った」ことを証明するために、日付、利用区間、金額、訪問先をはっきり 記録しておきます。交通費は毎日のように発生するでしょうから、その都度帳簿に入力するのは面倒です。そこで交通費は一定期間(1週間、1ヶ月など)単位で交通費精算書につけておき、一定期間ごとに 事業のお金と精算することにすれば、帳簿入力の回数を減らせます。最近では、 SuicaPASMO といった 交通系 IC カードなどで、交通費を支払うことも多いでしょう。こうしたカードは、駅の売店などで、交通費以外に使える場合もあるため、交通費との区別が必要です。自動販売機で使用明細をプリントアウトして、振り分けるようにしましょう。(P.148)
 
e-Tax
これまでの確定申告書の提出方法は、税務署に出向くか 郵送でした。しかし、国税の電子申告 納税システム 「e-Tax」 を利用すれば、パソコンやスマホで申告を済ませられます。画面上で入力するため、修正も簡単です。計算が必要なところは、自動的に行われるため、計算間違いもありません。さらに 複式簿記とともに「e-Tax」を行うことで、青色申告特別控除が65万円となるメリットもあります。申告書はインターネットを通じて送信します。さらに、納税も、ネットバンキングなどにより パソコン上で行うことができます。(P.188)