ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書58冊目】金利を見れば投資はうまくいく 堀井正孝

政策金利とは】
政策金利とは、よく聞く「利上げ、利下げ」の「利」にあたるものです。
米国景気は2009年6月ころから成長を続けてきた一方、その景気拡大が長期化・成熟化した結果、企業の人手不足が深刻化し、輸送能力が限界に近づくなど、企業活動を阻害するリスク要因が現れ始めました。長期金利は、2018年11月ころから低下し始めます。これは、金利が景気の変化、ここでは景気減速の兆しを感じだった動きの1つです。
さらに、2019年3月には、11年ぶりに政策金利短期金利)が長期金利を上回りました。これは、長短金利差の逆転という現象で(詳細は第3章)、景気の減速が止まらず、近い将来景気後退局面が来るかもしれない、という重要なサインなのです。(P.24)
金利は炭鉱のカナリア
 
【景気の変化に最初に反応するのは金利
リーマンショック前後の米国の金利・株式・商品市場の推移を見てみましょう。シャドーは景気後退局面です。
・景気後退局面に突入する前、高値をつけて下落に転じた日
金利:2007年6月12日/株式:2007年10月9日/商品:2008年7月2日
・景気回復局面(景気後退局面の終了)を迎える時、安値をつけて上昇に転じた日
金利:2008年12月30日/株式:2009年3月2日/商品:2009年3月9日
どちらの局面でも真っ先に景気の変化に反応したのは「金利」です。
もし、この金利動向が何らかの「警報」かもしれないとわかっていれば、好景気まっただ中にいても、2006年頃からの住宅価格の陰りがもっと深刻な事態として目に映ったかもしれませんし、サブプライムローン問題が世界景気にもたらす影響の甚大さにもっと早く気づけたかもしれません。(P.34〜35)
 
【景気の気は気持ちの気】
景気の「気」は気持ちの「気」です。ようは、センチメント (市場心理)が契機に現れます。例えば、本屋の経済コーナーで 新刊 本のタイトルを見てみてください。「デフレ」「崩壊」等、経済にとってマイナスとなる言葉が目立つなら、景気が悪いはずです。 「FX 」「割安(大化け)株」等投資の本が並び、投資意欲の高まりを感じるなら、景気が回復し始めていると思われます。だんだんと、「日経平均4万円」等、景気を楽観視する言葉があふれ始めたら景気はピークです。そして「撤退」等で景気減速を感じ、いずれ 「デフレ」「崩壊」等のタイトルに戻ります。本のタイトルから景気を感じることができるのです。金利は、より正確にセンチメント を表します。金利動向から今の景気を把握すれば、きっと投資での大きな失敗を回避できるはずです。(P.42〜43)
 
【ISM製造景況指数】
ISM 製造業景況指数とは、 ISM (全米供給管理協会)が発表する 製造業の景況感を示す指標の1つで、米国の主要指標の中で最も発表が早く(当月分を翌月第1営業日に発表)、景気変換の先行き指標として注目されています。 ISM製造業景況指数の推移は、米国景気の良し悪しを表し、指数 50を基準として、50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を意味します。簡単に言えば、指数が50より上の場合は景気が良いと感じる人が多く、50より下の場合は景気が悪いと感じる人が多いということです。(P.58〜59)
 
【景気の3つのサイクル】
信用サイクル
景気と企業の信用力(財務面から見た健全性)の関係を表します。概ね10年のサイクルで、「調達金利の低下(景気上向き)→借入拡大=信用悪化→調達金利の上昇(景気下向き)→借入縮小=信用回復」を繰り返します。
金融政策サイクル
景気と金融政策の関係を表します。概ね5年のサイクルで、「景気回復→金融引き締め(利上げ)→景気減速→金融緩和(利下げ)」を繰り返します。景気が良い時には、株の配当金が増えた、ボーナスが増えた、ローン金利が上がったなどと感じるはずです。しかし、良い時期はずっとは続かず悪い時期が訪れるのが世の常です。私たちが一番身近に感じる景気の良し悪しやその移り変わりを表すのが金融政策サイクルと言えます。
在庫サイクル
景気と生産(出荷)・在庫の関係を表します。概ね2.5年のサイクルで、「売行き好調での在庫の減少(景気回復)→生産増による在庫の増加→売行き不振による在庫の増加(景気減速)→生産減による在庫の減少」を繰り返します。この在庫の増減は、食品や医療品など日常生活の買い物で多少は経験しているので、イメージが沸きやすいはずです。商品が人気で品薄になると、生産を拡大します。人気が恐れると売れ行き不振で在庫は残り、生産縮小やセールで在庫が減るという流れです。(P.62〜64)
→これらの景気サイクルは米国から始まる。米国の動向に敏感になっておくことは、これからの投資環境を読み解くことに繋がる。
 
【利上げ・利下げ】
金融政策とは、中央銀行が、景気を安定的に拡大させるため、政策金利を変更し、市中に出回るお金の量( 通貨供給量)を調節することです。中央銀行は、景気がいい時には、政策金利を上げて通貨供給量を減らし、景気が悪い時には、政策金利を下げて通貨供給量を増やします。言い換えれば、金利を高くして、お金を借りる人を減らしたり、金利を低くして、お金を借りる人を増やしたりするのです。この政策金利を引き上げることを「利上げ(金融引き締め)」、引き下げることを「利下げ(金融緩和)」と言います。つまり、政策金利は、金融政策の影響を大きく 受けます。(P.49)
→以前は公定歩合と言われていた。短期金利といえば、この政策金利を指す。
 
長期金利とは】
短期金利が、期間を1年未満とするのに対し、長期金利とは、一般的には期間が1年以上の金融資産の金利をいい、10年国債利回りは、長期金利の指標の1つです。債券とは、国や企業が、期間や利率を決めて、一般投資家から資金調達をするために発行するものです。そして、10年国債とは、国が期間10年で資金調達をするために支払う利率を決めて発行する債券のことです。(P.51)
 
長期金利短期金利に先行】
長期金利は景気の変化に敏感で、素直に反応します。春に景気が回復し始めると資金需要が高まるため、長期金利は上昇し、逆に秋に景気が減速し始めると資金需要は減退するため、長期金利は低下します。景気の変化と並走する長期金利は、景気の変化は 見極めるまで動かない 短期金利に対し、先行して動くことになります。経験的には、金融政策の様子見 期間は1年程度であることが多く、金利の動きにも1年程度のタイムラグが生じると考えられます。まさに 長期金利は、景気の今を表す「バロメーター」と言えるでしょう。(P.72)
 
長短金利差とは、文字通り2つの金利の差で、長期金利から短期金利をマイナスして求めます。通常、長期金利短期金利よりも高く、ほとんどの期間はプラスで推移します。(P.73)
長期金利短期金利に先行して動くため、長短金利差もそれに伴い変動する。差が大きいときは景気拡大、差が小さい、あるいはマイナスになると景気後退。
 
【長短金利差から読み取る景気後退】
長短金利差がボトム(最下値)をつけると、景気後退局面が訪れる、 ISM 製造業景況指数がボトムをつけています。さらに、過去のデータから、長短金利差と ISM製造業景況指数の関係には、注目すべき具体的数値が現れます。
見逃すな、1%と0%割れ
①長短金利差 の1%割れは、 ISM 製造業を提供 指数の50 割れを懸念すべき。
②長短金利差 の0%割れは、景気後退局面入りの可能性大、1年後に要注意。
景気後退局面を予測したいなら、長短金利差の動向を置くのが有効な手段の一つです。(P.87)
 
スタグフレーション(Stagflation)とは】
不況や景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Inflation)」を組み合わせた言葉で、景気停滞にもかかわらずん物価の上昇(インフレ)が続く現象を指します。通常は、景気が停滞すると、所得の減少や商品力の限界から、物の値段が下がるはずですが、原材料価格が上昇している時は、景気が停滞しても物の値段が上がることがあるのです。例えば、不況で給料や所得は上がらないのに、原材料価格の上昇を理由に、光熱費(電気代、ガス代)やガソリン代が上がり続ける状態です。
(P.178)