ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書11冊目】マンガでわかる バフェットの投資術 濱本明 ちゃぼ

【長期投資は雪玉にたとえられる】
バフェットは「ちょうどよい具合の雪があれば雪の玉はすぐに大きくなる。しかし、そのためには時間をかけなければならないし、雪がたくさんくっつくにはそれなりの人物にならなければならない」ともいっている。雪の玉を大きくするには、長い時間をかけて試行錯誤し、多くの経験を積んで成長しなければならない。若いうちに雪の玉を転がし始め、やがて成功を収めたバフェットだからこその言葉である。(P.11)
 
【バフェット株式投資3つの教訓】
バフェットが投資で得た3つの教訓
①買ったときの株価にこだわらない
購入時の株価にこだわると、少し値下がりした時点で売りたくなってしまう
②目先の小さな利益にとらわれない
利益を出そうとして少し値上がりした時点で売ると、大きな利益を逃すことになる
③極力他人のお金では運用しない
他人のお金で運用するのは自分のお金で運用するよりはるかに難しいので極力やらない
(P.36)
→③バフェットは姉にも資金を出してもらって株式を買ったが、一時株価が下落して青ざめたことがあった。
 
【多くの本を読んで選り分ける】
バフェットは次のように助言している。
「できるかぎり多くの本を読み、時間をかけて本当に価値のあるものを選り分けることです」
バフェット自身も若いとき、故郷オマハの図書館で多くの知識を得た。なかでも19歳のときに出会った本は、投資について考えるための枠組みを与えてくれたという。その本とは、ベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」である。
同書は、グレアムの投資観や彼が重視した「定量分析」の手法を初心者にもわかりやすく示した理論書であり、刊行後たちまちベストセラーとなった。投資家のバイブルともうたわれる一冊である。(P.40~41)
→「賢明なる投資家」に掲載されている公式は、現在では当てはまらないようなので注意。「安全マージン」などあくまで投資における考え方を学ぶ「古典」として見るべきだろう。
 
【グレアムの定量分析】
バフェットが恩師グレアムに学んだ投資法は「バリュー投資」の名前で知られる。バリュー投資を一言でいうと、株を安く買って高く売る方法である。多くの商売がこの原則で成り立っているが、投資についても同じことがいえる。
しかし、たとえ割安で買えたとしても、そもそもの業績が悪ければ、値下がりしてしまう可能性もある。それを避けるためにも、グレアムは、割安かどうかの判断も含めて詳細に財務分析を行い、「企業の本質的価値」を見極めることの重要性を説いた。
グレアムによれば、企業の本質的価値はその「収益性」「安定性」「収益成長率」「財務状況」「配当金」「過去のチャート」の6つを分析する「定量分析」で判断できる。(P.60~61)
→こうしたバリュー投資の手法を、落ちているシケモク(吸い殻)で一服することにたとえて、「シケモク理論」と呼ぶ。
 
【バリュー投資の7つの基準】
①適切な事業規模か
小型株は避ける
②財務状況は健全か
流動資産が流動負債の2倍以上かつ長期負債が純流動資産以下
③収益は安定しているか
最低10年間は赤字がない
④配当はあるか
20年連続で配当を出している
⑤収益の伸びはどうか
過去10年間のうち直近3年間の1株当たり純利益が最初の3年間より33%以上上昇
⑥株価収益率は妥当か
PERが15倍以下
⑦株価純資産倍率は妥当か
PBRが1.5倍以下
(P.60)
 
【財務諸表とは】
財務諸表とは、企業が作成して公表する財務内容に関する書類のことで、大きく分けて「損益計算書」「賃借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」の3つがある。
上場企業の場合、決算発表時や事業年度ごとに作成される「決算短信」や「有価証券報告書」(いずれも企業のウェブサイトで入手可能)に掲載されており、それらをじっくり読むのが望ましい。
しかし、あまり時間をかけたくない人には、投資に必要な情報を抜粋した「Yahoo!ファイナンス」や「みんなの株式」が便利だ。(P.66)
 
ひとつ目は損益計算書である。損益計算書は、売上から費用を引いた、最終的な利益を表したものだ。「売上高」からさまざまな収益と費用を差し引いた結果、「親会社の株主に帰属する当期純利益」が最終的な利益を表している。
(中略)
ここで確認したいのが、「当期利益」と「1株あたり純利益(EPS)」、「営業利益率」の3つだ。
当期利益は会社が1年間で得た儲けを表す。つまり、売上高がいくら高くても、当期利益が低ければ意味がない。この当期利益は増加傾向であるのが望ましく、減少傾向であると要注意だ。過去数年間と比較して、右肩上がりに増加、あるいは安定している企業がよい。逆に避けるべきは年度によって大きく上下していたり、右肩下がりであったりする企業だ。前者は激しい競争にさらされているコモディティ企業に多く、後者は衰退産業に多い。
同様に1株あたり純利益も、その推移から企業の成長性がわかる。過去数年間と比較し増加傾向、または安定している企業を選ぼう。
営業利益率は、競合他社と比較して高い企業を選ぶのがよい。営業利益率は営業利益/売上高×100%で計算でき、競争優位性を示す重要な指標だ。(P.67)
→バフェットは損益計算書を重視している。
 
【賃借対照表】
2つ目は賃借対照表である。賃借対照表は、その企業の貯金や借金がどれくらいあるかを表したもので、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3つに分かれている。資産は会社がもつ財産のことで、負債は銀行などから借りたお金、純資産は株主からの出資や事業で得た利益のことである。
(中略)
ここで確認したいのが「自己資本」と「有利子負債」の2つだ。企業にとって資本とは、事業を行うのに必要なお金のことである。これらをまとめた「総資本」のうち、返済不要で調達したお金のことを自己資本というが、これがマイナスの企業は借金だらけであることを意味するので、真っ先に投資対象から外すべきである。
有利子負債とは、利子の支払いを伴う借金のことで、基本的にはこれが多い企業には注意すべきだ。
しかし、大きなチャンスを逃すまいと企業があえて借金をしている可能性もあるため、あくまで利益との兼ね合いで判断したい。
(P.68~69)
→有利子負債/当期利益が小さい企業は、成長のために効果的な投資をできている企業である可能性が高い。
 
3つ目はキャッシュ・フロー(CF)計算書である。CF計算書は、その名の通り資金(キャッシュ)の流れを「営業」「投資」「財務」の活動別に表したものである。
(中略)
ここで確認したいのは、「営業CF」「投資CF」の2つである。
営業CFは通常の業務でのお金の出入りを表しており、これが赤字である企業は除外すべきだ。
投資CFは事業拡大のための再投資による資金の増減を表し、企業は生き残りをかけて再投資するため、赤字であることが多い。しかし、バフェット流の長期投資では、現在も保有しているコカ・コーラなど、競争の必要がなく、永続的に利益を上げられる、つまり永続的競争優位性をもつ企業が投資対象のなるため、ここが継続的に赤字である企業は排除すべきである。(P.69~70)
 
最後に紹介するのが、主要財務指標の見方である。財務指標とは、財務諸表中の項目同士の割合や比率を表したもので、企業の業績や財務状況を判断するのに非常に重要だ。
(中略)
ここで確認したいのが「自己資本比率」と「ROE(自己資本利益率)」「ROA(総資産利益率)」の3つである。
自己資本に対し、利子の有無に関係なく、負債による資本を「他人資本」と呼ぶ。これと自己資本を足したものを総資本というが、この総資本における自己資本の割合が自己資本比率である。一般的には40%以上であれば倒産する可能性も低いが、高すぎる数値には要注意だ。企業に信用がなく、銀行から借り入れができない場合、他人資本がなく自己資本比率が高くなっている可能性があるからだ。
ROEは、株主からの出資をいかに効率的に運用しているかを表し、これも高ければ高いほどよい。
バフェットも、1株あたり純利益(EPS)よりもROEを重視すべきだと説き、米国企業の平均である15%以上をすすめている。というのも、それより低い企業はコモディティ企業の可能性が高いからである。ちなみに、日本企業の場合は10%前後が平均であることから、それ以上であれば優良といえる。
ROAは、企業の資産を効率的に運用しているかを表すもので、最低でも6%以上、高ければ高いほどよい。しかし、ROAが低いからといって必ずしも除外しなくてよい。多額の設備を必要とする業種はROAが低くなりがちだが、それだけ他社の参入が困難で、長期にわたって好業績が期待できる可能性もあるからだ。(P.70)
 
【バフェットがグレアムから学んだ3つの原則】
バフェットはグレアムのもとで働くなかで、常に3つの原則を守っていた。
●企業の一部を所有するつもりで買う
●安全マージン(安全域)を利用する
●マーケットは主人ではなくしもべである
いずれも学生時代にグレアムから学んだものだが、なかでもバフェットが重要だと感じたのがは安全マージンの話である。安全マージンとは、一般的には「リスクをともなう状況で安全を確保するために設ける余裕」を指すが、投資においては、「損失を軽くするために意識する価格差」を意味する。(P.72~73)
 
【バフェット流安全マージンの計算方法】
投資には予測が必要だが、常に不確実性をともなう。できるだけリスクを回避するには、はじめから損をしないような取引を心がけるべきだ。そのために重要なのが安全マージンの利用である。
グレアムによれば、安全マージンとは、損失を軽くするために意識すべき価格差のことで、より具体的には「清算価値と時価総額の差」を意味する。
しかし、バフェットはこれを実践するにあたって「企業価値時価総額の差」と定義し直し、企業価値時価総額を上回っているほど安全だとした。
ちなみに、企業価値は次のように計算する。
企業価値=オーナー利益÷米30年債利回り
たとえば、企業価値が83億円で時価総額が80億円であれば、3億円が安全マージンである。この差が大きければ大きいほどリスクは小さくなる。なぜなら、そのような企業はPBR(株価純資産倍率)が1倍以下となり、もし今すぐに企業が倒産したとしても、すべての資産が株主に還元された際、株価以上の還元が受けられるからだ。グレアムに従えば、このような企業に投資すべきである。
(P.75~76)
 
【周辺情報を集める】
アメリカン・エキスプレスへの投資に先立って、バフェットはレストランや銀行などを調べ、同社の評判や商品の利用状況をチェックした。ここでもっとも評価すべきは、ほかの投資家たちが一斉に売りに走るなか、彼らの意見を鵜呑みにせず、自分で調査を始めた点だろう。
もし彼らに追従していたら、バフェットも大きな利益を逃していたはずだ。それだけに、何かがあった際には、実際に調べてから投資の判断を下すことが大事なのだ。
調査にあたってバフェットが重視したのが「周辺情報」である。周辺情報とは、直接関係はないが、そのものを理解するために有益な情報で、投資においては、株価や企業の業績以外に企業を評価する材料になる。たとえば、うわさや評判になるが、一般大衆の意見だけでなく、その企業のライバル企業や姉妹企業、大学や政府、業界団体の幹部や元社員など、出所は多岐にわたる。あらゆる人から得られた評価や意見などを総合し、企業を評価するのである。(P.98)
→市中の個人投資家だからこそ、触れられる一次情報もある。
 
【フィッシャーの定性分析】
1965年にバークシャー・ハサウェイの経営権を取得し、本格的に会社の再建に着手したバフェット。しかしながら、これまでの武器だったグレアムの「シケモク理論」では思うように利益を上げることが難しくなっていた。割安で株を買っても、そもそもの業績が悪ければ株価も上がらないからだ。そんな悩みがあるなか、友人の紹介で「フィッシャー理論」に出会うことになる。その理論は、グレアムの理論の弱点を補える可能性を秘めていた。
(中略)
フィッシャーはまた、企業の成長性に投資する「グロース投資」を行ったことで知られる。グレアムが過去の株価や業績の推移などの数字で評価する「定量分析」を重視したのに対し、フィッシャーは事業内容や経営者の資質など数字に表れない部分で評価する「定性分析」を重視した。定性分析では、業績の安定のほか、さらなる売上拡大のための研究開発の努力や営業部門の充実、優れた労使関係なども評価の対象となった。(P.102~103)
 
【フィッシャーの15の質問】
売上拡大を続ける力を見るポイント
①現在の製品・サービスで収益増は望めるか
②新しい製品・サービスで収益増は望めるか
③研究開発はなされているか
④独自のノウハウはあるか
⑤優れた営業部門はあるか
⑥長期的展望はあるか
利益を生み出す力を見るポイント
⑧営業利益率を維持・改善しているか
⑨適切なコスト分析・財務分析がなされているか
経営者の質を見るポイント
⑩労使関係は良好か
⑪管理職の能力は引き出されているか
⑫優秀な管理職は豊富か
⑬経営者は悪いニュースも報告しているか
⑭経営者は投資家に対して誠実か
⑮増資のリスクはないか
(P.105)
 
【フィッシャー理論を踏まえたバフェットの指針】
バフェットは、シーズ・キャンディーズの買収にあたって「フィッシャー理論」を実践し、大きな投資成果を得た。この経験をもとに、安全性を重視するグレアムの理論を土台にしつつも、フィッシャーのように企業の中身を重視するものとして、独自に次のような指針を打ち出した。
①事業内容が単純明快であること
②安定した業績を誇っていること
③今後も成長が期待できること
このような企業に投資すべきだというのがバフェットの考えである。(P.110)
 
【バフェット流経営者評価の3指針】
ワシントン・ポストの当時の経営者キャサリン・グラハムに絶大な信頼を寄せていたバフェットだが、彼は経営者を評価するとき、次の3指針を重視している。
①合理的な資本配分を行う
②株主に対して誠実である
③横並びの強制力に負けない
この3指針はいずれも経営者が守るべき事柄だが、投資家の視点では、これらをわきまえている経営者が舵をとっている企業に投資すればよいということになる。(P.134)
→③は独自の経営方針を持っているか、ほかの経営者や企業のやり方の単なる模倣に陥っていないかを指している。
 
【年次報告書】
バフェットが確認していたのは年次報告書(アニュアルレポート)である。年次報告書とは、企業が投資家や金融機関などにあてて作成する報告書のことで、情報開示の観点から、事業年度ごとの活動内容や業績を掲載している。
同じく活動内容や業績をまとめた決算短信有価証券報告書に比べると形式が決まっていない分、内容の自由度が高いため、企業の個性が表れやすい。
また、長期投資にあたって重要な企業のビジョンや経営戦略、社員の状況など、見えない資産が把握しやすいことが利点といえる。
(P.141)
 
【年次報告書で確認すべき5つの項目】
①社長のメッセージ
トップはきちんと長期的な展望をもっているのか見極める
②会社概要
企業の沿革や構成から、その企業の規模や立ち位置を読み取る
③主要事業
自社の製品やサービスについて、具体的に述べられているかチェック
④資産や負債の推移
直近の売上やキャッシュ・フローの推移など、財務状況を総括的に把握することができる
⑤経営者の顔ぶれ
数字だけではわからない「経営陣の考え」という貴重な情報を知ることができる
(P.142)
 
【バフェット流銘柄選びの方法】
バフェットは投資先を探す際、紙と鉛筆を用意して、次の手順で書き出していた。
①自分が理解できる企業の名前を書きだす
②そのうち、株価が割高なものと、経営者や事業環境がよくないと思う企業を外す
③残っている企業について、自分が相続したつもりになって、長所や短所をつかむ
一見アナログで効率が悪そうだが、頭の中にあるイメージを文字に起こし、視覚化することで、よりはっきりと投資先の企業について認識することができる。
それによって、自分がその企業のビジネスモデルをきちんと理解しているのか、また、その企業の問題点や将来性について、客観的に考えられるようになるだろう。(P.161)