【成長株と割安株】
●成長株(グロース株)…売上や利益を年々増やしている企業の株
●割安株(バリュー株)…企業価値に比べて実際の株価が過小になっている企業の株
(P.13)
【債務超過】
債務超過とは、資産より負債のほうが多い状態を言います。つまり、資産をすべて売却、換金しても負債を全額返済することができないという危険な状態です。債務超過は、倒産リスクの観点から見て非常にリスクの高い状況と言えます。
安全面の観点からは、債務超過の企業は避けるべきでしょう。(P.46)
【成長株の多くはオーナー企業】
会社四季報の大株主一覧には、上位10人の大株主が掲載されています。この大株主の顔ぶれを見ると、「オーナー企業」と「他の上場企業の子会社」を見つけることができます。
「オーナー企業」とは、経営者が大株主である企業のことです。オーナー企業の大株主一覧を見ると、オーナーとその親族(大体は同じ名字なのですぐわかります)、そして資産管理会社が名を連ねています。資産管理会社とは、相続税対策などのためにオーナーの保有株の一部を持たせている会社のことです。
業績が毎年伸びていて、株価が大きく上昇する「成長株」の多くはオーナー企業です。オーナー企業は、他の株主の意向をそれほど気にすることなく会社経営ができます。そのため、経営者は素早く思いきった判断・決断が可能となり、それが業績の伸びにつながることが多いのです。
ですから、株価が将来大きく上昇する可能性のある企業を見つける際、オーナー企業であるかどうかは1つのポイントとなります。
(P.47~48)
【TOB(株式公開買い付け)】
実は、オーナー企業や他の上場企業の子会社は、他の企業にはない特有のリスクがあります。それが株式強制買い取りリスクです。
オーナー企業や他の上場企業の子会社では、大株主であるオーナーや親会社が、TOB(株式公開買い付け)により投資家から株式を買い取り、非上場化することがよくあります。
TOBが実施されると、TOB後も上場が維持されるケースを除き、既存株主は持ち株を売却しなければなりません。売却しないでいると後日強制的に買い取られます。買い付け価格はTOB実施時の近辺の株価を参考に決められるため、過去に高い株価で買ったまま塩漬け状態で放置してある持ち株については、含み損が損失として強制的に実現させられてしまうのです。(P.48~50)
「ベネッセHDがMBO、1株2600円でTOB 非公開化へ」
【外国人持ち株率が低い企業が狙い目】
筆者が好むのは、外国人持ち株比率や投信持ち株比率が数%程度の企業です。
こうした企業は、外国人や投資信託にようやく評価され始めた段階です。外国人も投資信託もまだ買い始めたばかりですから、ここから彼らのさらなる買いにより株価が大きく上昇する可能性が大いにあります。こうした企業に個人投資家が乗ってみるのも1つの戦略です。(P.52)
【決算短信は決算日から45日以内の提出が義務】
上場企業は、証券取引所が定めるルールに基づいて決算短信を作成しますが、もう1つの決算開示書類である有価証券報告書と比べると、決算日から提出までの期間が短く、原則として決算日から45日以内の提出が要請されています。そのため、速報性が高い代わりに有価証券報告書より記載内容が簡略化されているのが特徴です。(P.60)
【継続企業の前提に関する重要事象】
継続企業の前提に関する重要事象が存在
↓
企業努力により経営破綻のリスクを解消することが十分に可能?
はい→リスク情報として記載
いいえ→財務諸表への注記(こちらのほうが事態はより深刻)
(P.97)
→決算短信のサマリー情報だけでなく、添付資料も確認しよう。
【PBR=PER×ROE】
PBR=株価/1株当たり純資産
PER=株価/1株当たり当期純利益
よって、
(P.118)
【実質PER】
実質PER=株価÷(経常利益×65%÷発行済株式数)
(P.127)
【配当利回りの留意点】
●配当利回りを重視して銘柄を選ぶ場合は、ガス株など「業績が安定している」「毎年の配当金も変動が少なく安定している」銘柄が、そこそこ高い配当利回りで、預金や債券の利益と比べても十分に高い水準であるならば買ってもよい。
●業績が安定していないが配当利回りが高い銘柄へ投資するときは、業績も配当金も安定している銘柄にはない追加的なリスク(将来業績悪化や配当減額となる可能性が高い、流動性が低いなど)を抱えている可能性が高い点をよく理解した上で投資すべき。
(P.151)
【損切りがマストの場合】
成長株の成長スピードが鈍化したり、成長が止まったりした場合は、その後の株価の大きな下落に十分注意が必要です。くれぐれも、株価が急落した銘柄を何も対処せずに持ち続けたりしないようにしましょう。すでに成長が鈍化した銘柄の株価が、再び高値を更新して上昇するのは非常に困難ですし、高値更新となるにしても非常に長い時間を要するからです。(P.168)
→このような場合には損切りも必要。
【レバレッジ経営の判断指標】
→ROAは当期純利益÷総資産×100で求めることができる。総資産は貸借対照表の左側。こちらには負債が含まれないので、負債によって大きな利益を狙うレバレッジ経営(ROEが大きくなっている)をしているかどうか見抜く指標となる。
【株価チャートから投資家心理を読み取る】
実は、株価の動きを見ていれば、実際の業績が予想より悪化するということを、その事実を企業側が公表する前に知ることができるケースが多いのです。
個人投資家が業績の変化を知ることができるのは、原則として3ヵ月に1回の決算発表のときです。しかし、プロの投資家は企業訪問や様々な情報収集・分析により、企業の業績の変化をいち早く察知することができます。
そのため、例えば5月の決算発表時に企業から公表された今期の業績予想が11月の第2四半期決算発表時に下方修正されたとすると、業績の悪化を個人投資家が知るのはその11月の業績予想下方修正時です。一方、プロの投資家は企業が業績予想下方修正の発表をするより前にすでに業績悪化を察知し、新規買いを停止したり持ち株の処分を進めます。
(P.219~220)
【大損を避ける考え方】
業績と株価の動きが相反する典型的な例は、業績予想が絶好調なのに株価が逆に下落を続けているという場合です。こんなときは、とりあえずは「株価の動きが正しく、業績予想が間違っている」として行動することが大失敗を避けるためのポイントです。
もし、株価の動きが間違っていて業績予想が正しいとして行動した場合、その判断が正しければやがて株価は上昇に転じることになるでしょう。
しかし、その判断が誤っていた、つまり株価の動きのほうが正しかったならばどうでしょうか。下手をすると、持ち続けるほど株価は下落し、多額の含み損を抱えてしまうことになりかねません。企業側から正式に業績予想の下方修正の発表があった頃には、すでに株価はかなり下落している可能性が大です。
(P.237)
→決算発表の数値、PER、PBR、ROEなどが好数値を示していても、株価が下落していたら何かがある。
【買いは底打ちの後】
「落ちてくるナイフはつかむな」という有名な格言があります。たとえ業績や企業価値から見て明らかに割安であったとしても、株価が下落を続けている途中で買えば、さらに大きく下落して大けがをすることがある、という戒めの言葉です。
落ちてくるナイフをつかむという危険をおかすよりは、ナイフが床に突き刺さった後、つまり株価が底打ちした後で買い始めたほうがはるかに安全ですし、結果的に安く買えることも多いものです。(P.244)
→移動平均線や売買高を見て、底打ちしたかどうかを見極める