ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書43冊目】JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則 ニック・マジューリ

【限界効用逓減の法則】
最下位のグループと比較すると、最上位のグループの税引後所得は14倍にもなるが、基本的生活費への支出額は3.3倍にすぎない。
なぜ、支出は収入に比例して増えないのだろう?
これは、経済学で「限界効用逓減の法則」と呼ばれる効果のためだ。難しそうな専門用語だが、中身はシンプル。「同じものに対する支出が増えるほど、それによって得られるメリットが減っていくこと」を意味している。(P.70)
→ライフスタイル・クリープ(=収入に合わせて生活レベルを上げようとする)も限界があるということだろう。だとすれば、支出を減らすことはもちろんのこと、収入を増やす努力が、資産形成に繋がりやすいといえる。
 
【収入アップの50%を貯蓄に回す】
収入アップに対する適切な貯蓄率の割合を細かく導くには、複雑な計算式が必要だ。
だが、ほとんどの人は50%を目安にすればいい。
世の中の大半の人が収入の10~25%を貯蓄しているとすると、収入アップのうち50%を貯蓄できれば、ほぼ計画どおりにリタイアできるからだ。
現在の貯蓄率が10%を下回っている人が、将来の昇給額の50%(またはそれ以上)を貯蓄すれば、リタイア資金を築くのに大いに役立つだろう。
なにより、「昇給額の50%を貯金する」というルールはシンプルで実行しやすい。(P.111)
→サイエンス関連のブログ記事をコツコツ続けていくことは、昇給のために専門性に磨きをかけることと、副収入の確保両方に繋がりそう。
 
【現金保有リスクは長期になるほど大きくなる】
期間が60か月になると、1、2か月余計に貯めるだけではインフレの影響を吸収できず、平均7か月分、余計に積み立てをしなければならなくなる。
現金を貯めるだけで、60か月で6万ドルに到達できるシナリオもあるが、可能性は低い。期間が長くなったことで、債券よりも現金保有のリスクのほうが大きくなるからだ。(P.156)
→現金は1~2年の短期間であれば債券よりもパフォーマンスが良いが、それ以上の期間になるとインフレの影響が大きくなる。
 
【クロスオーバー資産】
「いつリタイアできるか?」を判断するもう一つの方法がある。
毎月の投資収益が毎月の支出を上回る地点を見つけることだ。
ヴィッキー・ロビンとジョー・ドミンゲスは著書「お金か人生かー給料がなくても豊かになれる9ステップ」(岩本正明訳、ダイヤモンド社)の中で、これを「クロスオーバーポイント」と呼んでいる。
(中略)
月次投資収益=クロスオーバー資産×月次投資収益率
投資資産(クロスオーバー資産)に月次投資収益率を掛けたものが、月次投資収益になる。
また、クロスオーバーポイントでは、毎月の投資収益が毎月の支出と等しくなる。このため、右の式は次のように書き換えられる。
月次支出=クロスオーバー資産×月次投資収益率
月次支出を月次投資収益率で割ることで、クロスオーバー資産を算出できる。
クロスオーバー資産=月次支出÷月次投資収益率
(P.172~173)
→運用年利回りを4%、月次支出を24万円とすると、24万÷0.04/12=7200万円となる。
 
【一括投資vs分割投資】
分割投資が即一括投資を大幅に上回っているのは、大きな市場暴落(1929年、2008年等)が起こる前のピーク時だけで、それ以外は概して下回っている。
分割投資では下落する株に投資するので、暴落前に即一括投資したときより平均的に低い価格で株を購入でき、結果として暴落のダメージを減らせるからだ。
私たちは、常に暴落の危機に瀕しているような感覚を抱いている。だが、実際には、大規模な暴落は稀にしか起こらない。分割投資が歴史を通じてほぼ常に即一括投資を下回っているのはこのためである。(P.261)
→まとまった現金があって、かつ長期的に上がり相場の場合、一括投資のほうが積立投資よりパフォーマンスはよいことが歴史上明らかになっている。だが一方で底値を待って現金を貯めていると、運用益を出すチャンスを逃すことになる。
 
【ジャスト・キープ・バイイング】
できるだけ早く、頻繁に投資すべきー。
これがジャスト・キープ・バイイングの核心。これは、時間や場所を超える原則である。
たとえば、1926年以降任意の月から、幅広い米国株を対象に10年間投資を続けた場合、現金で保持していた場合に比べ98%の確率で資産が増え、83%の確率で5年物米国債の運用実績を上回る。
なにより、その間に平均で10.5%も資産を増やせる。1970年以降の世界各国の株式に対して同様に分析した場合、現金保有を85%の確率で上回り、約8%の運用益を生み出すことがわかった。
どちらの場合も、富を築く方法は同じであるーそう、ジャスト・キープ・バイイングだ。
(P.289~290)
→ジャスト・キープ・バイイング=ドルコスト平均法。結局、この方法が一番現実的だということ。
 
【日本の株価長期低迷はレアケース】
米国株でさえ、2000年から2010年にかけて"失われた10年"を体験した。
だが、数十年にわたって株式市場が損失を出す可能性はどの程度あるのだろう?
1841年から2019年まで(179年間)の先進39か国の株式市場のリターンを分析した研究によれば、投資期間を30年とすると、損失を被る確率(インフレ調整後)は12%であるとされている。
つまり、ある株式市場に投資して30年経過したとき、その価値が投資額よりも下がっている可能性は約8回に1回あることになる。日本の株式市場もその一例だ。
恐ろしいことだと思う人もいるかもしれない。
だが、私はむしろこの調査結果を見て、世界の株式市場に対する信頼を深めた。
なぜなら、株式市場に長期的に投資すれば、8回に7回はリターンが得られるからだ。
なにより、この研究は定期的な投資ではなく、一度の投資を前提に計算されている。
たとえば、日本市場が史上最高値を更新した1989年に全資金を投資したとすると、30年後にもプラスのリターンを得られないことになる。
だが、このように一度きりの投資をするケースはめったにない。ほとんどの人は、長い時間をかけて定期的に投資している。その場合、数十年後に損失を出す可能性は低くなる。たとえば、1980年から2020年までの41年間、日本の株式市場の全取引日に1ドルを投資した場合、最終的にはわずかにプラスのリターンが得られることになる。(P.336~337)
→日本の失われた30年は、かなりのレアケースと言ってよい。