ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書49冊目】景気 金利 株 物価 為替の関係がわかる マーケットの連想ゲーム 角川総一

【インフレでは10年国債の利回りから上がる】
米国のインフレ率は2020年に上がり始めたのですが、それに最初に反応したのが10年国債の利回りでした。通常どの国でも、金利の中ではイの一番に動くのが10年国債の利回りです。
(中略)
これは、多くの債券銘柄の中で10年国債が最も頻繁に、かつ大量に売買されるためです。(P.13)
→長期国債金利、短期国債金利が反応した後、政策金利が上昇するという流れ。「金利はより長いものから順次上がっていく」
 
【“金融商品収益の源泉は、すべてマーケットにあり”】
この点について、もう少し詳しく説明しておくことにします。
いささか乱暴にいうと、
「ほとんどすべての金融商品のリターン(収益)は、それがいかに複雑怪奇な仕組みからなっていようと、“株価”、“長期金利”、“短期金利”、“為替相場”、“商品市況”の相場で決まる」のです。(P.27)
→そこに景気と政策も関係する。
 
【需給バランスの原則】
キャベツが豊作で八百屋さんの店頭に山と積まれているにもかかわらず、キャベツを買い求める人が少なければ、キャベツの値段は下がります。なぜなら「値段を下げてでも売ろう」と売り手が考えるからです。
あるいは、閉店間際のスーパーマーケットの鮮魚売り場の刺し身の売れ残りは、大幅に値引きされています。
これに対して、東京中央三区(中央、港、千代田区)で大型オフィスビル建築がラッシュ状態を呈し、不動産購入が増えれば、地価は上昇します。つまり、買い手が多ければ値段は上がるのです。
以上が「需給バランスの原則」ですが、これを一言でいうと、「少数者側有利・多数者側不利の法則」となります。(P.31)
 
【物価→金利
物価が上がると、個人、法人も、消費に積極的になり、資金需要が高まる。そこで、貸出金利、債券利回りなどあらゆる金利が上がる(P.34)
→ただし近年は将来への見通しの不安から、消費を抑制する傾向が強いため物価が上がっても金利は上がりにくくなってきている。
 
【景気→金利
景気上昇=企業活動が活発になると、経済活動を支える資金が必要となり、資金需要が高まる。そのため、お金の価値である金利が上がる(P.36)
→ただし企業の多くは内部留保を抱えるようになっているため、資金調達のためにお金を借りる必要性が薄れ、景気と金利は連動しにくくなっている。
 
【景気→物価】
景気がよい時には、企業、個人とも、製品およびサービスに対する買いを増やすため、これらの価格が上昇するのが一般的。(P.38)
→近年は新興国の工業化が進み、低価格商品がラッシュ状態となっているため、物価は上がりにくい傾向にあった。(ここ1年ほどで急に上がってきている)
 
【景気→為替】
景気拡大は、輸出力(国際競争力)の強化、貿易黒字・直接資本輸入の拡大を伴い、その国の為替相場を引き上げる(P.40)
 
金利→景気】
金利が下がれば、企業の借入金コストが下がり、企業業績も上がる。住宅投資等個人消費も拡大し、企業の生産活動は活発に。景気は拡大(P.42)
→日銀の異次元緩和により景気は拡大したが、マイナス金利となる金融機関も出てくるなど、限界がきている。政府も最近は、金利上昇を検討している模様。
 
金利→為替】
金利変動は、内外の資本移動を変え、ひいては、為替相場に影響する。基本は、「金利高→資金吸収力増大→通貨価値増大」である(P.44)
→日本で金利が上がると、投資価値が増大するため円が買われ、円高になるということ。
 
金利→物価】
金利低下により、企業、個人の資金借入意欲は高まり、使えるお金は多くなる。消費が増え、受給バランスからモノの値段は上がる(P.46)
電子商取引の拡大でコスト削減が進んだことで、物価への影響が抑制されたという背景もある。
 
【為替→金利
円安が進むと予想されるときには円建ての金融商品(例:債券)への売りが増加するため、金利は上昇するというのが基本(P.52)
→債券の価格が下落するため、その分利回りが大きくなる。(株価の下落で配当利回りが大きくなるのと同じ)
 
【物価→為替】
「ある通貨の為替相場はその通貨の購買力の強さで決まる」という購買力平価説によると、物価上昇率が高い国の為替相場は下がるのが原則(P.54)
→物価上昇で通貨の価値が目減りすれば、価値が減った通貨は売られて安くなるのが当然ということ。
 
金利→株価】
金利が上昇すると、企業としてみれば借入超過部門である企業の資金コストは上がる。よって、企業業績は圧迫され、株価は下落する(P.56)
→特に金利に敏感な株を金利敏感株といい、不動産、大手商社、電力、鉄鋼、金融などの株が該当する。
 
【株価→金利
株が上がっているとき、債券は売られ株が買われる。「債券売り→債券価格下落→債券利回り上昇→金利一般が上昇」が基本(P.58)
金利を上げて債券の投資妙味を高めないと、債券を買ってもらえないため。
 
【変化は相対的に見る】
「日本の金利が下がったときには、円安になる」という基本メカニズムがあります。ところが、日本と米国の同じ1年物金利について、「日本の金利が2%から1.6%に下がった」、一方「米国の金利が5%から3.5%に下がった」ときには、相対的にみれば、日本の金利が高くなったとみるべきです。この場合は、「円高」に振れると考えられます。(P.65)
→特に為替相場が絡む場合は、彼我の経済ファクターの変化を相対的に見る必要がある。