ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書50冊目】新版財務3表一体理解法 国貞克則

【財務3表一体理解法】
私の会計勉強法は、この 簿記・仕訳をすっ飛ばして、日々の伝票が PL・BS・CS のどこに記入されているかを追いかけていきます。例えば、資本金1000万円という取引は、 PL・BS・CS のどこに1000万円という数字が記入されるのか、現金売上の500万円はPL・BS・CS のどこに500万円という数字が記入されるのか、といった具合です。この PL・BS・CS の3つの表を一体にして勉強していくことが、私の会計 勉強法の最大の特徴です。後ほど詳しく説明しますが、 PL・BS・CSの3つの表はつながっています。この3表のつながりを意識しながら、それぞれの取引が3つの表の中でどのように動いていくかが分かれば、「目から鱗が落ちるように」会計の全体像と基本的な仕組みが理解できるようになります。(P.26)
→PLの変化はBSのどの項目とつながっているのか、CSはどうか。3表のつながりを辿って理解する方法。これまで見たどんな財務3表の説明より腑に落ちる。
 
【自分にかかる費用を売上高に換算する】
経営感覚を高める PL の見方を一つお教えしましょう。例えば、あなたが1日3万円の受講料の研修を受けたとします。あなたは会社のお金を3万円使っただけと思うかもしれませんが、この3万円の受講料をまかなうために、あなたの会社はいくらの売上高を上げなければならないでしょうか。もちろん、それは会社の収益構造によって違いますが、仮にあなたの会社の粗利率(=粗利÷売上高×100が10%)のビジネスを行っているとしたら、 3万円の受講料を賄うためには 30万円の売上高を稼ぎ出さなければなりません。つまり、あなたの3万円の研修費用は、実は30万円の売上高 に匹敵するのです。社長はそのように ビジネスを見ているはずです。このように、 PL の構造がわかっていれば、コスト感覚・経営感覚が磨かれます。
(P.42)
 
【株価が変動しても資本金は変化しない】
会計研修を行っていると、受講生から「会社の株価が2倍になったら、 BSの資本金も2倍になるのですか」という質問を受けたりします。読者の皆さんはもうお分かりですね。会社の株価が2倍になったからと言って資本金は何ら変化しません。株価が2倍になっているというのは、会社の外の株式市場で株式の価値が2倍になっているということにすぎないのです,資本金は基本的に返す必要のないお金ですし、株式市場で株価が上がる方が下がろうが BS の資本金の額は一切 変わらないのです。(P.48)
 
【BSの左右が一致する理由】
会計の本には「 BS の左右は常に一致する」と書いてあります。ところが、このように 事務用品を現金5万円で買うと、 BS の左側の現金は間違いなく 5万円 少なくなります。しかし、事務用品を買ったからと言って、借入金や資本金が減るはずはありません。こんな例を考えながら、新入社員の頃「どうして BS は 常に左右が一致するんだろう」と疑問に思っていました。
事務用品を現金で購入すると、 BS の左側の現金が減った分だけ、 PL にしようとして計上されます。それが利益を押し下げ、その利益や BS の右側と繋がっているから、常に BS は左右が一致するのです。
(P.103〜104)
→事務用品を購入して現金が減ると、その費用がPLに計上され、税引前当期純利益が押し下げられ、それがBSの繰越利益剰余金と一致するので、BSの左右(資産合計と負債・純資産合計)が一致する。
 
【財務諸表に表れない価値】
複式簿記は、15世紀にベニスの商人たちがつけた 帳簿 から始まったと言われています。論理より 感性というイメージの国、イタリア が発祥の地というのは不思議な感じがしますが、ゲーテをして「これこそ人間精神の最も立派な発明の一つだ」と言わしめたほどですから、財務諸表の仕組みを知れば知るほど、論理の一貫性とその精緻さに驚かされます。
しかし、それほど 完成度の高い財務3表にも現れないものがあります。それは、「人間」と「知恵」の価値に他なりません。人間の価値に関して 財務諸表に現れるのは、給料や 退職金の金額だけです。人間の価値は給料の金額だけで決まるものではありません。日本の会社の場合、社員同士の給料が何十倍も差がつくことはありませんが、能力があってやる 決まる人が、そうでない人の何十倍もの アウトプットを出すことは珍しいことではありません。しかし、そんな人間の能力や 情熱に関する価値は、財務諸表のどこにも出てきません。
また、特許権などの知的財産、いわゆる 知恵の価値も企業にとっては大切ですが、財務諸表には、 BS の「無形固定資産」の項目に特許の取得費用が計上されるだけです。有力特許が高額で売買された場合は別ですが、社内の研究員が開発した特許などは、基本的に本当の価値が 財務諸表に正しく反映されているとは言えません。
さらに言えば、会社というものには、製造ノウハウ や 営業 ノウハウ など 動転 過去の先輩たちが えーと 築き上げてくれた ノウハウ や 知恵や信頼といったものがたくさん詰まっています。しかし、これまた同様に、財務諸表上には全く現れてきません。将来の成長力を診断する上で欠かせない 判断材料である社員の価値や 知的財産の価値は、財務諸表の数字に現れないことをよく理解しておいてください。
(P.169〜170)
 
【粉飾のしくみ】
読者の皆さんは 「粉飾」と言われると、利益を無理やり 減らして税金を減らすことだと思われるかもしれません。もちろんそういう 操作も粉飾ですが、世の中で大きな話題になっている粉飾は、赤字を黒字に見せかける粉飾です。赤字になると困ることがたくさん出てきます。赤字が続くと、金融機関はお金を貸してくれなくなりますし、公共工事を仕事にしている会社などは、赤字が続くと応礼さえできなくなることもあります。会社がこっそり利益を増やす場合に、架空の 在庫認識を行います。これまで勉強したように、100万円の在庫があると認識すれば、原価が100万円下がって、利益が100万円増えます。もし、300万円の在庫があると架空の認識をすれば、原価が300万円下がって、利益が 300万円増えるのです。(P.189〜190)
 
【財務3表を手を動かして理解する】
私の会社(ボナ・ヴィータ コーポレーション)のホームページのトップページ(http://www.migiude.com)から、この財務3表の空白シートのエクセル版が無料でダウンロードできます。利益計算や各欄の合計計算、さらには財務3表のつながり箇所が自動計算されるようにしていますので、さらに使い勝手がよいでしょう。
ただ、注意していただきたいのは、ダウンロードできるエクセル版の財務3表の空白シートは2種類あります。弊社のトップページにあるバナーをクリックすると、本書用のものと、2016年に出版した「増補改訂 財務3表一体理解法」用のものが出てきます。本書をお持ちの方は「新板 財務3表一体理解法」用のものをダウンロードしてください。(P.225〜226

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