ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書30冊目】安心・安全・確実な投資の教科書 佐藤治彦

【5000万円の資産で実現する生活レベル】
5000万円の資産を持つと、どんな生活ができるのでしょうか?宇宙に行ったり、ロケット開発をすることはできないでしょう。
きっと私と同じようなことだと思うのです。それは、金のために働くのをやめることができるということです。
もう少し正確にいうと、仕事はするけれど、嫌な仕事はしない。無理は仕事の仕方もしない。所得は少し減っても自分の好きな仕事をマイペースでする。そのくらいだと思います。
この20年の私はそうやって仕事をしてきました。収入もありました。ただし、嫌な仕事はまったくしなくなった。やりたい仕事だけを選ぶ。そして、たとえ、この仕事は報酬が少ないなと思っても、やりたいことならやる。報酬が高いからと、無理して嫌な仕事はしない。そんな具合です。(P.30~31)
 
【リスクは勉強で減らせる】
金融市場には常にリスクがあります。リスクはあるのですが、リスクというものはすべての人に同じようにあるのではありません。例えば、金利が上がったら景気はどうなる、株式相場はどうなる、外国為替はどう動く。そんなことを瞬時に思い浮かべられる人と、そうでない人とでは、同じ市場であったとしても、背負うリスクは違います。なぜなら、今が勝負の時と他の人よりも早く気づき、失敗した時も知識のない人よりきちんと認識できるからです。だから、すぐに次の手が打てる。
少しのタイミングの差が大きな差となっていくものです。
さらに、市場を読み解く力、市場を見極める力をつけるとどうなるでしょう。それは、リスクのある投資でも、儲けるチャンスを高め、減らす金額を抑えることができることを意味します。
例えば、教科書的な原則論では金利上昇で株価は下がるというだけですが、すでに金利上昇を市場は織り込み済みだとか、市場では金利は0.5パーセント上がると予想していたものが、金利は上がったけれども0.25パーセントだったので、むしろ今回の利上げは株価上昇につながるなど、知識と経験次第で教科書的な原則論から、市場で使える分析力や先読みの力にまで深めることができるのです。
知識不足や経験不足の人と、豊富な知識と経験、それに基づく分析能力がある人では同じリスクのある市場でも背負うリスクは違うのです。(P.35)
→「金利」について、もっと深く学習したくなった。
まずはこの本から読んでみよう。
 
【投資はお手軽なものではない】
投資での勉強とは、投資に勝つことです。成功体験を積み重ねて投資の力をつけていくべきです。気軽に運で儲けるのではなく、調べ、考え、比較し、狙い、決断する。苦労して儲けていくものです。
少額投資に反対なのは、多くの人が、そういう苦労を吹っ飛ばしてパチンコにでもいくように気軽に行うという理由が一番大きいからです。(P.46)
→的を射た見解。少額投資から始めるにしても、その体験から学びを得ることなく、単に「もっと利益を得たいから額を大きくする」といった安易な動機から額を大きくするような行いは避けるべきだろう。
 
ドルコスト平均法は、一定金額を定期的に買い続けるという方法です。もう少し丁寧に説明しましょう。
例えば、Aという会社の株式が今月は1株1000円だとします。毎月10万円分を継続して買い続けるとすると、この時は100株買うことになります。翌月は1株2000円になったとします。すると、50株買うことになります。その次の月は再び1000円になったとします。100株です。次は500円に下がったとします。10万円で200株買えます。
4か月経ってみると、40万円投資して、全部で450株を手にしたことになります。
平均して1株889円で購入したことになる。このような買い方であれば、高い時に少なく買って、安い時に多く買うことになるから、平均すると安く買えることになる。こういう論法です。
しかし、このケースでは4か月目の株価が500円になっています。それを平均して889円で買ってるわけです。大損じゃないですか。
そして、株価が上昇トレンドの時にはこうなります。つまり、1か月目が500円、2か月目と3か月目は1000円、4か月目は2000円だとすると、平均して889円で買っているので相当、利益を出しているように見えます。
しかし、もしも上昇トレンドだとわかっているのであれば、1か月で40万円投資して、あとは何もしないほうが断然儲かるに決まっています。株を889円ではなく500円で買っているからです。(P.57~58)
→最初の例は4か月目の500円の時に売らなければいいだけの話。上昇トレンドに関しても底値で買うというケースを想定しているのかもしれないが、この短期間の数値だけで損得を説くのは恣意的な上に結果論。そもそもドルコスト平均法は、10年単位の「長期」で継続することが前提のはず。これは行き過ぎな論のように思う。
 
明治安田生命「じぶんの積立」】
毎月5000円という少額の積み立てです。これは、銀行預金でもらえる利息金と比べて1000倍お得で安全確実な預金のような保険商品です。それが明治安田生命の「じぶんの積立」。
お金が必要になったら、いつでも損せず引き出せます。
得するためにはいくつかの条件があります。
その1、収入のある人。多ければ多いほどいいです。できれば税引き前で毎月20万円くらい、手取りベースで16万円くらいは収入のある人がいいです。別に収入がなくてもいいのですが、得する金額がまったく違います。
その2、生命保険に入っていない人。生命保険に入っていてもいいのですが、得する部分が大きく減ってしまいます。
その3、契約時において65歳未満であること。この商品の加入条件の一つです。
では説明します。
掛け金は毎月5000円か1万円。毎月、5000円か1万円を、5年間払い続けて、さらにそこから5年間据え置きします。合わせて10年後にお金がちょっと増えて満期保険金として戻ってきます。
例えば、毎月5000円を5年間、かけ続ける(=積み立てる)と30万円積み立てたことになります。これが、掛け終わってから5年後には確実に30万9000円で戻ってきます。これがなぜ銀行預金の1000倍、得な商品なのでしょうか?
確かに10年かかっても戻ってくるお金は9000円しか増えません。
しかし、この商品は、明治安田生命の保険商品なのです。ですから、この商品に加入することは、生命保険料控除の対象になるのです。ここでも控除で税金を得できるんです。つまり、毎月働いたお金から差し引かれる所得税や住民税。その一部が、生命保険に入っていることで戻ってくる。その対象商品なのです。
正確に申し上げると、一般生命保険料控除の対象商品です。
この控除制度では年間8万円までの生命保険料(この場合は毎月の積立の合計金額)が対象となり、控除額は以下のように計算されます。
まずは、一番大きな所得税は、年間で4万円を超えて、8万円以下の場合は、年間正味払込保険料の25パーセント+2万円。8万円を超える場合は一律4万円。
毎月5000円コースを積み立てると年間で6万円ですから、その25パーセントは1万5000円。それに2万円で、毎年3万5000円の所得控除となります。
毎月1万円の場合は年間で12万円。8万円を超えているので4万円の所得控除となります。
さて、これでいったいいくら税金が戻ってくるのでしょうか?
それは、あなたが今年、いくらの所得があったのかで変わってきます。75ページの税率表を見てください。例えば、所得税の税率区分が20パーセントの範囲内の人が所得控除4万円となると、その20パーセントの8000円が戻ってきます。10パーセントなら4000円です。5パーセントなら2000円です。
次に、個人住民税も戻ってきます。個人住民税では、保険料の払い込みが年間で5万6000円以上の場合は控除額は一律2万8000円となります。ですから、毎月5000円積み立てる人も、1万円の人も同じです。控除額は2万8000円。個人住民税のうちの所得割が戻ってくるのですが、これは一律10パーセントですから、手続きをすれば、多くの人が2800円戻ってくることになります。
所得税と住民税で得する金額の合計金額がこの積み立てで得する税金です。(P.85~88)
他の生命保険でも同様の控除が受けられるようだ。どの程度得をするのか、加入の際に調べてみよう。
 
ふるさと納税を活用しよう】
ふるさと納税のテレビコマーシャルをよくみますね。
知らない人のために説明すると、これはルールに従って申し込めば、ほぼ負担のない無料の通販のようなものです。商品はもらえるけれど、お金を払う必要がないのです。
特に2017年からワンストップ特例制度(納税先が5か所までなら年度末の確定申告が不要になる場合がある)で手続きがよりシンプルになり、使う人が急激に増えました。この制度も寄附金控除という所得控除の一つを使って生まれた制度です。
ふるさとと言っても別に自分や家族が生まれた地域である必要はまったくありません。
この制度は、おおよそ住民税の所得割部分の20パーセントまでが税額控除されるという制度を利用するものです。その金額までを自分の居住する(住民税を納めている)自治体以外のところに寄付をすると、その分の住民税と所得税が戻ってくる。地方に寄付した分だけ、自分の税金が安くなるという制度です。
正確にいうと1人毎年2000円は税金が安くなる対象から除外されます。つまり、制度の枠内で30000円寄付すると、28000円税金が安くなるというわけです。(P.90~91)
→実質2000円でその自治体の返礼品が貰えるという制度。
 
【お米や肉はふるさと納税で】
ふるさと納税をされる方の中には、お金を払ってるわけではないのだから、いつもは使わないような高級品や贅沢品を頼んでいる方もおられるようですが、私の読者にはそんなことを考えずに、本当に必要なものを選んでいただきたいと思います。それによって普段の生活費を削減させ、手元に残るお金を増やしてほしいからです。
オススメの第一はお米です。今やお米はスーパーなどで購入するのが一般的になりました。ただ運ぶのは重たいです。1万円の寄付で10キロの自慢のお米をお礼の品として送ってくれる自治体は少なくありません。ふるさと納税をうまく使っている人の多くがもう何年もお米を買っていないはずです。
次のオススメが肉です。豚肉、牛肉、何キロも送ってくれてびっくりします。冷凍の肉ですから、送られてきたら冷蔵庫のフリーザーに小分けして保存しましょう。(P.92~93)
 
ファンドオブファンズなどという複数の投資信託をまとめた投資信託が一時期もてはやされました。
投資信託はリスク分散だ。その投資信託をさらにいくつか持つことによってリスク分散のリスク分散を実現すると宣伝されましたが、どれだけ手数料やコストを払っているのかもう知りたくないくらいですね。
元々のファンドで手数料を払った上に、さらにまとめたファンドでも手数料を間接的に払うことになる。まずは毎年必要な信託報酬、売買手数料、自分が投資信託を購入するときの買い付け手数料など、あちらこちらから直接、間接に私たちの投資資金は手数料に吸い取られていってしまうのです。(P.126)
 
【買い物の常識は株の非常識】
バーゲンセールの時には買った方が得だと多くの人が買うものです。
しかし、投資の世界はまったく違うのです。
3か月前は100万円でも買いだと思ったものが、50万円になったら、なぜか買いたくなくなる。売りたくなる。そういうものなのです。
反対にどんどん株価が上がって高くなっていくと、誰も彼も買いたくなります。今度は株式投資をしている人は、上機嫌の自慢話ばかりになります。買った株が2倍になった、3倍になった、株式投資をしている人は得している人ばかりになります。それはその時の株価よりも安い時に買っているだけのことなのですが、「計算上」でも儲かっている時には強気で嬉しいものです。
周りがそうなって来ると、不思議と自分も買いたくなってしまいます。買って自分もニコニコ大儲け気分の仲間入りをしたいと思うのです。しかし、本当はそんな時こそ絶好の売り場なのかもしれません。
安い時に買いたくなくなり、高くなると買いたくなる。
高い時に売りたくなくなり、安くなると売りたくなる。
株式投資はそういう不思議な商品なのです。
(P.148~149)
 
【株の絶好の買い時】
とてつもない安さというのはどういう時でしょうか?
・それ以前の世界経済の中でまったく考慮されていなかった、市場に多大な影響を与える事象が起きていること。
・最高値から最低でも30パーセント、できれば半分以下まで下がっていること。
・相場の流れを変えた要因が解決はしていなくても材料としては出尽くし感がある。相場も大きく下がることはなくなってきた。
これらの3つの要素がある時こそ、大きく株価が下がっている時、つまり買い時なのです。(P.158)
→こうした異常事態ではPERもPBRも関係なく株価は下がる。逆に通常のブロック相場ではある程度これらの指標も効果を発揮するので、まったく無駄というわけではない。
 
【半分売って半分持つ】
もしも、上がるのも下がるのも、半々だと思っているのなら、半分売って、半分持てばいいのです。3対2で落ちると思っているのなら、6割売って、4割持てばいいのです。
半々にするということは、日経平均が1万円の時に100万円を投資して購入したことインデックスファンドは、2万円の時には200万円の評価額になっています。このうちの100万円分を売って、利益を確定させる。これで、半分は安く買って高く売るのセットが完結できたわけです。
300万円の投資資金のうち、100万円だけ投資して始めた運用ならば、手元に300万円の現金と100万円分のインデックスファンドを残すことになります。すごくわかりやすくいうと、100万円出して、100万円は回収したのですから、残したインデックスファンド分は無料で手に入れたようなものです。もう、上がろうが下がろうがあとは儲け分ということになります。(P.184)
→確かに攻めと守りの両立している感はあるが、この手法だと複利効果は得られにくそう。
 
【コロナで経済は最悪、でも株価は上昇?】
2020年の初めから世界中に広まった新型コロナウイルスが経済に与えた影響は計り知れないものがあります。日本だけでなくアメリカやヨーロッパも戦後最悪のマイナス成長になってしまいました。しかし、株価は世界中が新型コロナウイルスと向き合う前の2020年の3月くらいまでは大きく下げたのですが、そのあとは徐々に株価は上昇相場になりました。日経平均などは新型コロナウイルス感染症が日本中を覆っているその最中に3万円という高値をつけたのです。
経済は最悪だったのですが、株価だけは上がった。なぜでしょうか?
いろんな理由があるのですが、最大の理由は世界各国が未曾有の金融緩和政策を取ったからです。世界中にお金が溢れた。通常であれば、お金は消費にまわったり、投資に回る金融緩和です。企業は研究開発をし、工場を建設し、人を雇って新製品を送り出す。給料の上がった人は消費を謳歌する。こうして経済は回っていく。
しかし、新型コロナの時は違いました。お金は溢れかえったのですが、設備投資などの投資にはほとんど向かいませんでした。人々が手にする給料は減ったのでしたが、それ以上に節約してお金を使わず貯蓄に回したものですから、銀行などを通してお金がさらに溢れかえる要因にもなりました。
それらの溢れかえったお金が株式市場に流れ込んだのです。超低金利で、買いたいものもない。感染症で世界的にステイホームで消費も設備投資も消極的。しかし、一時は下がった株式相場は底堅いため、余ったお金が流れ込んでは株価は上がっていったのです。株価が上がるとますますお金は流れ込んでくる。そして、また株価は上がる。この繰り返しでした。
日本の株価は、新型コロナウイルスというとんでもない経済のマイナス要因の時に、日経平均は3万円台を回復した。その歪さは、異様な金融緩和にあったわけです。(P.197~198)
→「金融緩和バブル」ともいえる状況。破綻しないはずがない。その時に備えて、今は投資資金を蓄えていこう。