ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書45冊目】改訂版 株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 足立武志

【成長株と割安株】
●成長株(グロース株)…売上や利益を年々増やしている企業の株
●割安株(バリュー株)…企業価値に比べて実際の株価が過小になっている企業の株
(P.13)
 
債務超過とは、資産より負債のほうが多い状態を言います。つまり、資産をすべて売却、換金しても負債を全額返済することができないという危険な状態です。債務超過は、倒産リスクの観点から見て非常にリスクの高い状況と言えます。
また、債務超過が1年以内に解消できなかったときは、上場廃止になってしまいます。上場廃止は倒産ではないものの、株式を証券取引所で自由に売買することができなくなり、株価にも悪影響を及ぼします。
安全面の観点からは、債務超過の企業は避けるべきでしょう。(P.46)
 
【成長株の多くはオーナー企業】
会社四季報の大株主一覧には、上位10人の大株主が掲載されています。この大株主の顔ぶれを見ると、「オーナー企業」と「他の上場企業の子会社」を見つけることができます。
「オーナー企業」とは、経営者が大株主である企業のことです。オーナー企業の大株主一覧を見ると、オーナーとその親族(大体は同じ名字なのですぐわかります)、そして資産管理会社が名を連ねています。資産管理会社とは、相続税対策などのためにオーナーの保有株の一部を持たせている会社のことです。
業績が毎年伸びていて、株価が大きく上昇する「成長株」の多くはオーナー企業です。オーナー企業は、他の株主の意向をそれほど気にすることなく会社経営ができます。そのため、経営者は素早く思いきった判断・決断が可能となり、それが業績の伸びにつながることが多いのです。
ですから、株価が将来大きく上昇する可能性のある企業を見つける際、オーナー企業であるかどうかは1つのポイントとなります。
(P.47~48)
 
TOB(株式公開買い付け)】
実は、オーナー企業や他の上場企業の子会社は、他の企業にはない特有のリスクがあります。それが株式強制買い取りリスクです。
オーナー企業や他の上場企業の子会社では、大株主であるオーナーや親会社が、TOB(株式公開買い付け)により投資家から株式を買い取り、非上場化することがよくあります。
TOBは株価が低迷しているときに実施されやすくなります。なぜなら、株価が低いほうがTOBの買い取り価格を安く抑えることができるからです。
TOBが実施されると、TOB後も上場が維持されるケースを除き、既存株主は持ち株を売却しなければなりません。売却しないでいると後日強制的に買い取られます。買い付け価格はTOB実施時の近辺の株価を参考に決められるため、過去に高い株価で買ったまま塩漬け状態で放置してある持ち株については、含み損が損失として強制的に実現させられてしまうのです。(P.48~50)
→最近ベネッセがMBO(経営陣が参加する株式買い付け)を行うと発表し、TOBを予定している。
「ベネッセHDがMBO、1株2600円でTOB 非公開化へ」
 
【外国人持ち株率が低い企業が狙い目】
筆者が好むのは、外国人持ち株比率や投信持ち株比率が数%程度の企業です。
こうした企業は、外国人や投資信託にようやく評価され始めた段階です。外国人も投資信託もまだ買い始めたばかりですから、ここから彼らのさらなる買いにより株価が大きく上昇する可能性が大いにあります。こうした企業に個人投資家が乗ってみるのも1つの戦略です。(P.52)
 
決算短信は決算日から45日以内の提出が義務】
上場企業は、証券取引所が定めるルールに基づいて決算短信を作成しますが、もう1つの決算開示書類である有価証券報告書と比べると、決算日から提出までの期間が短く、原則として決算日から45日以内の提出が要請されています。そのため、速報性が高い代わりに有価証券報告書より記載内容が簡略化されているのが特徴です。(P.60)
決算短信には、年1回の本決算の際に開示される「決算短信」と、年3回、四半期決算ごとに開示される「四半期決算短信」がある。
 
【継続企業の前提に関する重要事象】
継続企業の前提に関する重要事象が存在
企業努力により経営破綻のリスクを解消することが十分に可能?
はい→リスク情報として記載
いいえ→財務諸表への注記(こちらのほうが事態はより深刻)
(P.97)
決算短信のサマリー情報だけでなく、添付資料も確認しよう。
 
【PBR=PER×ROE
PBR=株価/1株当たり純資産
PER=株価/1株当たり当期純利益
ROE当期純利益/自己資本=1株当たり当期純利益/1株当たり自己資本=1株当たり当期純利益/1株当たり純資産(≒自己資本)
よって、
PER×ROE=株価/1株当たり当期純利益×1株当たり当期純利益/1株当たり純資産=PBRとなる。
(P.118)
→高ROE、低PER、低PBRの銘柄は「お宝銘柄」。PERやPBRだけでなく、ROEにも注目することで、真の割安株を見つけることができる。
 
【実質PER】
実質PER=株価÷(経常利益×65%÷発行済株式数)
(P.127)
→企業の法人税35%を引いて65%。特別損益の影響に排除するなら、経常利益を使って計算する。
 
配当利回りの留意点】
配当利回りを重視して銘柄を選ぶ場合は、ガス株など「業績が安定している」「毎年の配当金も変動が少なく安定している」銘柄が、そこそこ高い配当利回りで、預金や債券の利益と比べても十分に高い水準であるならば買ってもよい。
●業績が安定していないが配当利回りが高い銘柄へ投資するときは、業績も配当金も安定している銘柄にはない追加的なリスク(将来業績悪化や配当減額となる可能性が高い、流動性が低いなど)を抱えている可能性が高い点をよく理解した上で投資すべき。
(P.151)
 
損切りがマストの場合】
成長株の成長スピードが鈍化したり、成長が止まったりした場合は、その後の株価の大きな下落に十分注意が必要です。くれぐれも、株価が急落した銘柄を何も対処せずに持ち続けたりしないようにしましょう。すでに成長が鈍化した銘柄の株価が、再び高値を更新して上昇するのは非常に困難ですし、高値更新となるにしても非常に長い時間を要するからです。(P.168)
→このような場合には損切りも必要。
 
レバレッジ経営の判断指標】
レバレッジ経営をしているかどうかを判断するために有効なのが、「ROE」と「ROA」の差を見ることです。
極端なレバレッジ経営をしていなければ、ROEROAにそれほど大きな違いはありません。せいぜい2~3倍程度です。(P.189)
ROA当期純利益÷総資産×100で求めることができる。総資産は貸借対照表の左側。こちらには負債が含まれないので、負債によって大きな利益を狙うレバレッジ経営(ROEが大きくなっている)をしているかどうか見抜く指標となる。
 
【株価チャートから投資家心理を読み取る】
実は、株価の動きを見ていれば、実際の業績が予想より悪化するということを、その事実を企業側が公表する前に知ることができるケースが多いのです。
個人投資家が業績の変化を知ることができるのは、原則として3ヵ月に1回の決算発表のときです。しかし、プロの投資家は企業訪問や様々な情報収集・分析により、企業の業績の変化をいち早く察知することができます。
そのため、例えば5月の決算発表時に企業から公表された今期の業績予想が11月の第2四半期決算発表時に下方修正されたとすると、業績の悪化を個人投資家が知るのはその11月の業績予想下方修正時です。一方、プロの投資家は企業が業績予想下方修正の発表をするより前にすでに業績悪化を察知し、新規買いを停止したり持ち株の処分を進めます。
(P.219~220)
→株価はこうした投資家心理の反映。これを読み解くテクニカル分析のスキルは、やはり株式投資をするなら、短期売買でなくともある程度必要になってくるのだろう。
 
【大損を避ける考え方】
業績と株価の動きが相反する典型的な例は、業績予想が絶好調なのに株価が逆に下落を続けているという場合です。こんなときは、とりあえずは「株価の動きが正しく、業績予想が間違っている」として行動することが大失敗を避けるためのポイントです。
もし、株価の動きが間違っていて業績予想が正しいとして行動した場合、その判断が正しければやがて株価は上昇に転じることになるでしょう。
しかし、その判断が誤っていた、つまり株価の動きのほうが正しかったならばどうでしょうか。下手をすると、持ち続けるほど株価は下落し、多額の含み損を抱えてしまうことになりかねません。企業側から正式に業績予想の下方修正の発表があった頃には、すでに株価はかなり下落している可能性が大です。
(P.237)
→決算発表の数値、PER、PBR、ROEなどが好数値を示していても、株価が下落していたら何かがある。
 
【買いは底打ちの後】
「落ちてくるナイフはつかむな」という有名な格言があります。たとえ業績や企業価値から見て明らかに割安であったとしても、株価が下落を続けている途中で買えば、さらに大きく下落して大けがをすることがある、という戒めの言葉です。
落ちてくるナイフをつかむという危険をおかすよりは、ナイフが床に突き刺さった後、つまり株価が底打ちした後で買い始めたほうがはるかに安全ですし、結果的に安く買えることも多いものです。(P.244)
移動平均線や売買高を見て、底打ちしたかどうかを見極める

【読書44冊目】はじめてのほったらかし投資入門 ぜんぶわかる!投資信託 竹内弘樹

【騰落率】
騰落率とは、過去の一定期間の基準価額の変動率のことです。
たとえば、基準価額が1万円のファンドが1年で1万1000円になれば、騰落率は1年で10%となります。騰落率がプラスだと運用実績が良いと考えられますが、あくまでも過去のある期間だけの成績であり、別の期間の騰落率はマイナスだったという可能性もあります。その期間中の株価指数や経済指標の動き、同じタイプのほかのファンドの騰落率との比較などもあわせて確認する必要があります。(P.18)
 
【トータル・リターン】
トータル・リターンは、投資信託が全体でどれだけ利益を上げたかを表す総合収益です。騰落率は一定期間の基準価額の増減率ですが、トータル・リターンは基準価額の増減による損益だけはなく、分配金や手数料を含めた総合的なものとなります。分配金はすべて再投資したと仮定して計算されます。騰落率よりも運用成績を正確に表しているので、投資信託を評価するときには必ずチェックしましょう。数値が大きいほうが成績優秀と判断できます。(P.18)
→正確には『「現在の評価金額」、「累計受取分配金額(税引き後)」、「累計解約金額(信託財産留保額・信託報酬差引後)」の合計額から「累計買付金額(買付手数料・買付手数料に係る消費税含む)」を差し引いた金額であり、投資信託の新規買付け時から算出基準日までの全期間を通じたトータルの損益金額』。つまり、投資信託全体の運用益。金額で表されることもあれば、%で表示されることもある。
 
新NISAで積立設定した「eMAXIS Slim 全世界株式 オール・カントリー」のトータル・リターン(1年は)10.66%。
eMAXIS S&P500インデックス」は8.94%と、直近ではオール・カントリーの方がパフォーマンスが良くなっている。

【読書43冊目】JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則 ニック・マジューリ

【限界効用逓減の法則】
最下位のグループと比較すると、最上位のグループの税引後所得は14倍にもなるが、基本的生活費への支出額は3.3倍にすぎない。
なぜ、支出は収入に比例して増えないのだろう?
これは、経済学で「限界効用逓減の法則」と呼ばれる効果のためだ。難しそうな専門用語だが、中身はシンプル。「同じものに対する支出が増えるほど、それによって得られるメリットが減っていくこと」を意味している。(P.70)
→ライフスタイル・クリープ(=収入に合わせて生活レベルを上げようとする)も限界があるということだろう。だとすれば、支出を減らすことはもちろんのこと、収入を増やす努力が、資産形成に繋がりやすいといえる。
 
【収入アップの50%を貯蓄に回す】
収入アップに対する適切な貯蓄率の割合を細かく導くには、複雑な計算式が必要だ。
だが、ほとんどの人は50%を目安にすればいい。
世の中の大半の人が収入の10~25%を貯蓄しているとすると、収入アップのうち50%を貯蓄できれば、ほぼ計画どおりにリタイアできるからだ。
現在の貯蓄率が10%を下回っている人が、将来の昇給額の50%(またはそれ以上)を貯蓄すれば、リタイア資金を築くのに大いに役立つだろう。
なにより、「昇給額の50%を貯金する」というルールはシンプルで実行しやすい。(P.111)
→サイエンス関連のブログ記事をコツコツ続けていくことは、昇給のために専門性に磨きをかけることと、副収入の確保両方に繋がりそう。
 
【現金保有リスクは長期になるほど大きくなる】
期間が60か月になると、1、2か月余計に貯めるだけではインフレの影響を吸収できず、平均7か月分、余計に積み立てをしなければならなくなる。
現金を貯めるだけで、60か月で6万ドルに到達できるシナリオもあるが、可能性は低い。期間が長くなったことで、債券よりも現金保有のリスクのほうが大きくなるからだ。(P.156)
→現金は1~2年の短期間であれば債券よりもパフォーマンスが良いが、それ以上の期間になるとインフレの影響が大きくなる。
 
【クロスオーバー資産】
「いつリタイアできるか?」を判断するもう一つの方法がある。
毎月の投資収益が毎月の支出を上回る地点を見つけることだ。
ヴィッキー・ロビンとジョー・ドミンゲスは著書「お金か人生かー給料がなくても豊かになれる9ステップ」(岩本正明訳、ダイヤモンド社)の中で、これを「クロスオーバーポイント」と呼んでいる。
(中略)
月次投資収益=クロスオーバー資産×月次投資収益率
投資資産(クロスオーバー資産)に月次投資収益率を掛けたものが、月次投資収益になる。
また、クロスオーバーポイントでは、毎月の投資収益が毎月の支出と等しくなる。このため、右の式は次のように書き換えられる。
月次支出=クロスオーバー資産×月次投資収益率
月次支出を月次投資収益率で割ることで、クロスオーバー資産を算出できる。
クロスオーバー資産=月次支出÷月次投資収益率
(P.172~173)
→運用年利回りを4%、月次支出を24万円とすると、24万÷0.04/12=7200万円となる。
 
【一括投資vs分割投資】
分割投資が即一括投資を大幅に上回っているのは、大きな市場暴落(1929年、2008年等)が起こる前のピーク時だけで、それ以外は概して下回っている。
分割投資では下落する株に投資するので、暴落前に即一括投資したときより平均的に低い価格で株を購入でき、結果として暴落のダメージを減らせるからだ。
私たちは、常に暴落の危機に瀕しているような感覚を抱いている。だが、実際には、大規模な暴落は稀にしか起こらない。分割投資が歴史を通じてほぼ常に即一括投資を下回っているのはこのためである。(P.261)
→まとまった現金があって、かつ長期的に上がり相場の場合、一括投資のほうが積立投資よりパフォーマンスはよいことが歴史上明らかになっている。だが一方で底値を待って現金を貯めていると、運用益を出すチャンスを逃すことになる。
 
【ジャスト・キープ・バイイング】
できるだけ早く、頻繁に投資すべきー。
これがジャスト・キープ・バイイングの核心。これは、時間や場所を超える原則である。
たとえば、1926年以降任意の月から、幅広い米国株を対象に10年間投資を続けた場合、現金で保持していた場合に比べ98%の確率で資産が増え、83%の確率で5年物米国債の運用実績を上回る。
なにより、その間に平均で10.5%も資産を増やせる。1970年以降の世界各国の株式に対して同様に分析した場合、現金保有を85%の確率で上回り、約8%の運用益を生み出すことがわかった。
どちらの場合も、富を築く方法は同じであるーそう、ジャスト・キープ・バイイングだ。
(P.289~290)
→ジャスト・キープ・バイイング=ドルコスト平均法。結局、この方法が一番現実的だということ。
 
【日本の株価長期低迷はレアケース】
米国株でさえ、2000年から2010年にかけて"失われた10年"を体験した。
だが、数十年にわたって株式市場が損失を出す可能性はどの程度あるのだろう?
1841年から2019年まで(179年間)の先進39か国の株式市場のリターンを分析した研究によれば、投資期間を30年とすると、損失を被る確率(インフレ調整後)は12%であるとされている。
つまり、ある株式市場に投資して30年経過したとき、その価値が投資額よりも下がっている可能性は約8回に1回あることになる。日本の株式市場もその一例だ。
恐ろしいことだと思う人もいるかもしれない。
だが、私はむしろこの調査結果を見て、世界の株式市場に対する信頼を深めた。
なぜなら、株式市場に長期的に投資すれば、8回に7回はリターンが得られるからだ。
なにより、この研究は定期的な投資ではなく、一度の投資を前提に計算されている。
たとえば、日本市場が史上最高値を更新した1989年に全資金を投資したとすると、30年後にもプラスのリターンを得られないことになる。
だが、このように一度きりの投資をするケースはめったにない。ほとんどの人は、長い時間をかけて定期的に投資している。その場合、数十年後に損失を出す可能性は低くなる。たとえば、1980年から2020年までの41年間、日本の株式市場の全取引日に1ドルを投資した場合、最終的にはわずかにプラスのリターンが得られることになる。(P.336~337)
→日本の失われた30年は、かなりのレアケースと言ってよい。

【読書42冊目】伝説のファンドマネジャーが見た 日本株式投資100年史 山下裕士

【政府の市場への介入効果は限定的】
株価が高値圏にあったのは、企業業績が好調を続けているゆえであることはもちろんだが、日銀のETF買いが続いていることも大きな要因になっていた。
思い出すのは、岩戸景気を背景とした投信ブームで熱狂した強気相場が、金融引き締めをきっかけに反転した市場のことである。
1961年(昭和36年)7月の1829円高値から最終的に65年7月の1026円まで4年間、45%の下げ相場となったが、この下げ相場を食い止めるべく、64年1月に設立されたのが日本共同証券だったことはすでに述べた。
日本共同証券は2000億円の資金を使ってダウ平均1200円を1年間防衛したが、その資金を使い尽くした65年1月には、相場は防衛戦を破られて一段の下げ相場になってしまった。
当時の時価総額は11兆6500億円で、2000億円という資金はその1.7%にあたる。
この資金を使っても、相場の流れを一時的に止めることはできたが、流れの方向を変えることはできなかったのである。
日銀のETF買いは1年に12兆円、今の時価総額の2%強である。当時の日本共同証券に比べてインパクトは大きい。しかも、日本共同証券は1回限りであったのに対して、今回の日銀ETFはこの後、何年続くのだろうか?(P.52)
→政府の株価への介入の効果は、限定的になる場合もある。今回はコロナ禍を経てバブル並みの水準まで上がり続けているが、持続性はいかほどか見極めていきたい。
 
上杉鷹山の教え】
働き 一両
考え 五両
知恵借り 十両
コツ借り 五十両
ひらめき 百両
人知り 三百両
歴史に学ぶ 五百両
見切り 千両
無欲 万両
(P.68)
上杉鷹山天明の大飢饉の時代に米沢藩の藩財政を建て直し、殖産興業を図った名君。
「見切り千両」は彼の言葉だったのか。
 
【日本の株式取引所事始め】
日本で初めての株式取引所ができたのは、1878年(明治11年)である。この年の6月1日、渋沢栄一らによって東京株式取引所が設立された。日本の株取引の歴史はここから始まる。開業時の上場銘柄は旧公債・新公債・秩禄公債の3公債だけで、同年7月には東京株式取引所株式が上場されている。(P.86)
渋沢栄一徳川昭武随行してヨーロッパに航った際、株式取引を自ら経験したと言われている。そんな経験も背景にあったのかもしれない。
 
【戦前・戦後通して繰り返す10年サイクル】
日本が高度経済成長を続けていたときは、本当の意味での長期投資で充分な成果を得られた。しかし、当時の証券会社は個人投資家に短期の回転商いをすすめ、結果として個人投資家の裾野を広げることができなかった。
今は低成長時代である。89年のバブルのピークを経て高度経済成長は昔の話になった。もちろん低成長経済のもとでも、株価は10年ごとに上げ・下げを繰り返している。今後も10年サイクルが続くとは限らないが、安いときに買って高いときに売る、そして次の買い場まで休むという時代に戻ったのではないか。
先述の福沢桃介によれば、「真の相場師は、いわゆる大きな相場の波だけを注目している。何年かの間に一度しかやってこない好機を狙っているのだ。大相場を制約する景気変動についても人一倍の調査研究をする」とのこと。
休んでいる間も政治・経済・社会の勉強を怠ると、次のチャンスを逃すことになる。本間宗久翁の次の言葉も肝に銘じておきたい。
「相場の世界は孤独、頼れるのは自分の判断力、決断力、資金力だけ。他人に相場観を聞いて失敗すると友情とお金、そして相場を徹底的に勉強するチャンスを失う」(P.285~286)
→戦前・戦後を通して、大きな相場の上がり・下がりは何度も繰り返されてきた。今はグローバリゼーションで世界経済が連動する傾向が強くなっているため、より世界の動向に目を向けておくとよいかもしれない。

【読書41冊目】教養としての「会計」入門 金子智朗

【株式会社の起源】
世界初の株式会社は、1600年にイギリスが香辛料などの東方貿易のために設立した東インド会社です。ヨーロッパから東南アジアまでの長距離にわたる航海は、当時は非常にリスクが高く、無事帰って来られる可能性は決して高いものではありませんでした。一方で、航海に必要な資金は多額に上りますが、そんなリスクの高いビジネスに1人で多額の資金を出す人などいません。
そこで東インド会社では、それまで一致しているのが当たり前だった所有と経営を分離し、出資額を小口化し、経営に携わらない人が少額の出資をできるようにしました。そうすれば、仮に航海が失敗しても、個々の出資者が被る被害は最小限で済みますから、資金を出しやすくなります。1人の出資額は少額でも、多数の人から資金を調達できるので、多額の資金調達が可能です。こうして、東方貿易というリスクの高いビジネスにおいて多額の資金を調達することを可能にしたのです。まさに、現在の株式会社の原型です。(P.21)
 
【貴族が出入金の報告=会計を求めた】
リスクは分散されたとはいえ、出資者となるのは貴族などのそれ相応の人たちが多かったと思います。お金を出した貴族たちは、乗組員たちが東方貿易を成功させ、出資額以上のお金を返してもらうことを期待しています。
しかし、港を出てしまえば乗組員たちは出資者である貴族の目の届かないところに行ってしまいます。長い航海です。もしかしたら、寄る港寄る港で酒を買いあさり、ギャンブルに明け暮れているかもしれません。
それでは困るので、貴族たちは乗組員たちに航海中のお金の出入りを記録させ、港に戻ってきたら貴族に報告させる仕組みをつくり、乗組員たちに課しました。
これが、財務会計です。(P.21~22)
 
財務会計は貴族=株主のための会計】
現在も、行われていることは基本的に全く同じです。現在の会社に置き換えれば、貴族が株主、船長が社長、乗組員が従業員、乗っている船が会社です。
会計期間は航海期間です。イギリスが設立した東インド会社は航海ごとに清算する方式を取っていましたので、実際に航海期間が会計期間になっていました。その後、オランダがイギリスに対抗して1602年に設立した東インド会社では、いちいち清算することをせず、企業は継続することを前提にしました。現在のゴーイング・コンサーンの原型です。これによって、人為的な会計期間である年度という概念が誕生したわけです。
そして、港に戻ってきたときに貴族に対して行う報告が、現在の定時株主総会です。定時株主総会のメインイベントは、決算報告に加えて、剰余金の分配に関して株主の承認を得ることです。剰余金の分配とは、いわゆる配当です。配当とは、今までの航海で稼いだ利益を貴族間で山分けすることです。
このために使われる会計が、財務会計なのです。ということは、財務会計は誰のための会計かと言うと、港で待っている貴族のための会計なのです。(P.22)
→歴史的な成り立ちを確認すると、物事の本質が見えてくる。会計も同様だ。
 
管理会計は乗組員=会社のための会計】
一方、乗組員たちは、そんな貴族たちとは置かれている立場がまるで違います。乗組員たちはヨーロッパから東アジアまでの長い道中、大海原で戦い続けている人たちです。たとえば嵐がやって来たら進路を変えるのか、航海そのものを止めるのか、判断しなければなりません。もしくは見知らぬ船が近寄ってきたら真っ向勝負で一戦交えるのか、逃げるのか、仲良くするのか、そういうことも判断しなければなりません。
嵐がやってくるというのはマクロ的外部環境の変化です。見知らぬ船が近寄ってくるというのは、思いもよらなかったライバル企業が出現したようなことです。
そういう変化に常にさらされていて、逐次判断をしなければならないのが乗組員の置かれている立場です。
そういう乗組員にとって有用な情報と、安全な港で結果を待っていればいい貴族にとっての情報が同じでいいわけがありません。乗組員には乗組員ならではの情報が必要なはずです。
それが、管理会計です。
ですから、管理会計は、乗組員のための会計です。乗組員にとって、海図や羅針盤となる会計なのです。(P.23)
 
【3桁ごとの数値の読み方】
日本の単位は4桁ごとに変わるのに、カンマは3桁ごとに打つということは、そこに1桁のズレが生じます。その結果、図表1-1(b)のように、カンマの左隣は千→万→億→兆と単位が1つずつ上がっていくのと同時に、ズレの分だけその頭に付く数は千→百→十→一と1つずつ下がっていくのです。このように考えると、少しは覚えやすくなるかもしれません。(P.31)
 
財産の増減を知るためには財産一覧表をつくる必要があります。ある時点で財産一覧表をつくり、一定時間経過後にまた財産一覧表をつくってみる。その2つを比べれば、財産が増えたのか減ったのかがわかります。
この財産一覧表が貸借対照表です。そして、正味財産が増えた状態が「儲かった」状態です。正味財産の増加分が利益です。
これで利益がわかりますから、財産一覧表である貸借対照表さえあれば良さそうなものです。では、なぜ損益計算書というもう1つの表が必要なのでしょうか。
ある一時点で作成する財産一覧表は、人間で言えば身長や体重などの体格を表す情報です。ある子供が身体測定で身長を測ったところ100cmだったとしましょう。その子が翌年の身体測定では身長が120cmになっていたとします。この2つの情報から、この子の身長が20cm伸びたことはわかります。その子は1年間でそれだけ成長したということであり、会社であれば、これが利益に相当します。
その子の身長が1年間で20cm伸びたことはわかりますが、これだけだと、なぜそれだけ伸びたのかがわかりません。その理由を知るためには、どのような食事をどれだけして、どのような運動をどれだけしてきたのかという、1年間の生活記録が必要です。
この生活記録に相当する情報が損益計算書です。損益計算書は、財産が増減するに至った一定期間のプロセスを記録したものなのです。(P.38~39)
損益計算書は売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益当期純利益と、利益を段階に分けて計算していくため、どこで利益が生まれ、どこで減ったかが分かるようになっている。
 
【ストック情報とフロー情報】
財産一覧表である貸借対照表の情報は、ある一時点の瞬間情報を表しています。それはある瞬間に会社をカメラで撮影した、言わば静止画情報です。
それに対して、損益計算書は一定期間の幅を持った情報です。損益計算書は生活記録ですから、これは一定期間をビデオカメラで撮影した動画情報と言えます。
前者の静止画情報のことをストック情報と言い、後者の動画情報のことをフロー情報と言います。(P.40)
 
キャッシュ・フロー計算書は現金の増減プロセス】
「主要3表」と言われる財務諸表の最後の1つはキャッシュ・フロー計算書ですが、この「キャッシュ・フロー」とは何でしょうか。「キャッシュ」という言葉もありますが、なぜわざわざ「フロー」という言葉をつけているのでしょうか。
このフローは、先ほど説明したフロー概念のフローです。それに対して、「キャッシュ」はストック概念です。わかりやすく言えば、ある一時点における残高です。
キャッシュ・フロー計算書とは、キャッシュという特定財産の増減プロセスを見ているものということです。
ということは、財務諸表におけるキャッシュ・フロー計算書のポジションは、損益計算書と同じポジションになります。損益計算書が全財産の増減プロセスを表すものであるのに対して、キャッシュ・フロー計算書は、その中のキャッシュという特定の財産だけの増減プロセスを見ているという関係にあります。(P.41~42)
→キャッシュは現金預金のこと。
 
貸借対照表の左右の情報】
会社の資金調達先は、このように会社に出資してくれる人とお金を貸してくれる人に大きく分けられます。出資してくれた人が株主です。お金を貸してくれた人は一般的に債権者と言います。
債権者と株主のそれぞれから調達した資金の大きな違いは、会社から見て返済義務があるかないかです。債権者から調達した資金には返済義務があります。これを総称して、負債と言います。一方、株主から調達した資金には返済義務がありません。これを総称して、純資産と言います。
これらが、貸借対照表の右側の情報です。貸借対照表の右側は、会社が元手資金をどこから調達したかという資金の調達源泉を表しています。それを返済義務の有無に応じて負債と純資産とに上下に分けています。
起業の話の続きをしましょう。資金調達が終わると、会社は調達した資金を使ってビジネスに必要なものを買い揃えます。たとえば製造業ならば、土地、工業、設備、原材料などが必要でしょう。
これらが、貸借対照表の左側の情報です。貸借対照表の左側を総称して資産と言います。言わば、ビジネスに必要な"仕組み"です。貸借対照表の左側は、調達した資金を何に使っているかという、資金の運用方法を表しています。簡単に言えば、「調達資金の使途」ということです。(P.48~49)
 
貸借対照表が左右一対の理由】
現在の企業、特に上場企業の数多くの株主から資金を調達し、さらに銀行という債権者からも資金を調達するのは、特定の人の資金力に頼っていては到底できないビッグビジネスを可能にするためです。要するに、人様のお金を使ってビジネスをやっているということです。
株主と銀行から資金を出してもらううえでの約束は次の通りです。
●銀行に対して:期日になったら借りた資金は返済するまた、所定の利息を支払う
●株主に対して:調達資金は基本的に返済しない代わりに、正味財産が出資額を上回ったら配当として分配する
右記の「正味財産が出資額を上回った分」が利益です。つまり、利益とはあくまでも株主にとってのものであり、それは債権者に返済すべき分を控除した後の正味財産が、株主の出資額を上回った分だということです。それが明確にわかるようにするために、貸借対照表は左右一対の形をしているのです。(P.50)
→左側の資産が1000、右側の借り入れが600だとすると、400が会社の正味財産となる。株主の出資額(資本金)が300だとすると、利益が100となり、これが株主に配当として還元される。(内部留保=利益剰余金に回されるものもある)。これらを左右一対で分かるように表示したのが貸借対照表ということ。
 
【借方・貸方】
貸借対照表がそうであるように、会計は左右一対で情報を整理するのが好きです。左右はそれぞれ「左側」、「右側」と言えば十分なのですが、会計では左側のことを借方、右側のことを貸方と言います。
この不思議な日本語は、福沢諭吉によるものです。これは、資金提供者目線の言い方です。
福沢諭吉の時代、資金を提供する主役は銀行でした。ですから、決算書を主に利用するのも銀行でした。銀行からすれば、貸借対照表の右側は自分たちのお金を「貸している方」です。それに対して、貸借対照表の左側は「そのお金を借りてビジネスをやっている方」です。
これが、借方・貸方の由来です。そして、だから「貸借対照表」と言うのです。
貸借対照表の本質は財産一覧表ですが、その構造が「借方」と「貸方」を対比できる形をしているので、「貸」「借」を音読みして「貸借対照表」と言うのです。
英語で言えば、左右が常にバランスしていることから「バランス・シート(Balance Sheet)」と呼ばれるわけです。頭文字を取ってB/Sとも言われます。
貸借対照表という言葉もバランス・シートという言葉も、その構造上の特徴に由来しているのです。(P.51~52)
 
【資産と負債】
資産:将来、企業の経済的価値を増加させるポテンシャル
負債:将来、企業の経済的価値を減少させるポテンシャル
ここでの「経済的価値」は必ずしもキャッシュとは限りませんが、細かいことを抜きにすれば、ほぼキャッシュと読み替えて差し支えないでしょう。ということは、ざっくり言えば、資産とは、将来においてキャッシュを増加させる"正のポテンシャル"であり、負債はその逆の"負のポテンシャル"ということです。(P.52~53)
ロバート・キヨサキが「家は負債」と言うのは、個人の場合、家を購入してもキャッシュを増加させるどころか減少させるから。
 
【ワン・イヤー・ルール】
貸借対照表は左右とも、上から下に向かって流動性の順番で並んでいるのです。
流動性とは、換金性ということです。すなわち、どれだけ容易にキャッシュとして企業に入ってくるか、または出て行くかということです。
では、何をもって「容易」と言うのでしょうか。最も基本となる判断基準は、1年基準です。ワン・イヤー・ルールとも言います。すなわち、1年以内にキャッシュとして流出入が起こるものを「流動」、1年を超えてキャッシュとして流出入が起こるものを「固定」と言うのです。(P.55~56)
 
【資本と純資産】
会社を設立したときや増資をしたときは、株主が拠出した資金によって資産が形成されますから、このような場合は「資本」という言葉を使ったほうが実態に即しています。
一方、事業が回り始めた後は、知りたいのは資産から負債を控除した正味財産がどれだけになったかということですから、事業が回り始めた後は「純資産」という言葉を使ったほうが実態に即しています。(P.60)
 
【粗利=売上総利益=売上高-売上原価】
たとえば、ある企業が商品を70円で仕入れ、100円で販売したとします。100円がこの企業にとっての売上高であり、仕入の70円が売上原価です。その差額である30円が最初に出てくる利益です。この利益を売上総利益と言います。俗に、粗利とも言われます。
「粗利」は「そり」と読まないように気をつけてください。また、「あらり」という音に引きずられて「荒利」と書かないようにも注意してください。「荒っぽい利益」ではなく、まだすべての費用を引いていない「粗削りな利益」という意味です。(P.69)
 
【日本で経常利益が重視される理由】
日本では、伝統的に経常利益が非常に重視される風潮がありますが、実はこの経常利益、日本特有の利益概念です。IFRS(国際会計基準)にも、米国基準にもありません。
日本で経常利益が重視されてきたのは、日本における資金調達が長年、銀行からの借り入れが中心だったことが理由の1つとして挙げられます。株式を発行して株式市場から資金調達をするのがそれほど特別なことではなくなったのは、上場を目指すベンチャー企業が日本でも増え始めた2000年頃からではないでしょうか。それでも大企業においては、現在でも新株発行をして資金調達をするのは極めて稀であり、相変わらず銀行からの借り入れが主体です。
そうなると、無借金経営をしているごく一部の企業を除いて、銀行に対する利息の支払いは恒常的に発生する費用ということになります。ある意味では本業に係わる販管費(販売費及び一般管理費)に準ずるような費用ということになります。ですから、支払利息を控除した後の利益を見なければ、企業の利益の程度の本当のところが見えてきません。それで、支払利息控除後の経常利益が重視される傾向があるのです。(P.76)
小室直樹氏が日本は本当の意味で資本主義社会にまだなっていない旨の主張をしていたが、それはこのような実態が背景にあったのかもしれない。
 
【子会社とは】
子会社の定義を一言で言うならば、「ある会社が他の会社の意思決定を支配している場合の当該他の会社」となります。キーワードは「意思決定の支配」です。議決権を50%超、すなわち過半数保有していれば、最高意思決定機関を支配していることになりますから、この場合は無条件に子会社になります。
これに対して、議決権の保有比率が50%以下であっても、意思決定を支配していると言えば子会社になります。典型的な具体例は、取締役の過半数を派遣しているような場合です。株主総会という最高意思決定機関を支配し切れていなくても、取締役の過半数を派遣していれば、実務上の意思決定機関である取締役会は支配できます。ですから、こういう場合も子会社になります。(P.88)
 
【連結財務諸表】
連結財務諸表は、親会社と子会社の財務情報をあたかも同一の会社のように統合したもので、子会社は一部門のように見えます。
連結ベースでないと実態が見えない例として、たとえば情報システムに関する業務があります。
情報システムに関する業務を実現するためには、社内に情報システム部門をつくって実現する方法もあれば、専門の子会社をつくって実現する方法もあります。
後者の場合、連結ベースで見ないと、親会社の資産には高額のハードウエアもソフトウエアも計上されず、損益計算書にはそれに伴う減価償却費もランニングコストも計上されません。それなのに、高度な情報システムが実現されていることになります。これでは社内に情報システム部門を持つ会社と公平な比較ができません。(P.89~90)
 
また、親会社が純粋持株会社の場合は、親会社単体を見てもほとんど意味がありません。
純粋持株会社とは、自らは事業を行わず、子会社を束ねるだけの会社です。「××ホールディングス」という会社は大体が純粋持株会社です。
このような会社における貸借対照表の資産は、子会社の株式がほとんどというイメージです。
また、損益計算書の収益は、ほとんどが子会社からの配当金です。自ら事業は行いませんので売上高は基本的にありません。その結果、利益はマイナスであることがほとんどです。
このような場合も連結ベースで見ないと意味がありません。純粋持株会社である親会社の財務諸表には、事業の実態が何も計上されていないからです。(P.90)
→立ち上げた別会社(子会社ではない)に製品を売って売上高を計上し、連結外しをすることで黒字にするケースの粉飾が発覚したことがある。
 
【関連会社】
関連会社の定義は、「ある会社が他の会社の意思決定に重要な影響を与える場合の当該他の会社」です。子会社のように「支配」はしていないので好きにできるわけではありませんが、それ相応の影響を与えるということです。
具体的な判定は、やはり保有議決権比率が基本となります。議決権の保有比率が20%以上の場合、無条件に関連会社になります(50%超になると子会社になるので、50%以下であることが前提です)。
(中略)
関連会社の判定も実質基準で行いますから、保有議決権比率が20%未満であっても、たとえば代表取締役を派遣している場合などは関連会社になります。取締役会における意思決定はあくまでも多数決によりますから、代表取締役1人を派遣しているからといって、それだけでどうにかできるわけではありませんが、仮にも代表取締役ですから、少なくとも重要な影響は及ぼすわけです。(P.94)
任天堂から見た株式会社ポケモンが好例。任天堂は当該会社の株式を約32%保有している。また、子会社と関連会社をまとめて関係会社という。
 
【持分法】
関連会社の財務情報は、持分法という手続きによって取り込みます。
実務上は、関連会社についても「連結」という言葉が使われることがありますが、「連結」というのは子会社の財務諸表を統合するための手続き名ですので、関連会社について「連結」という言葉を使うのは厳密には誤りです。
持分法が連結と決定的に違うのは、持分法では財務諸表の合算を行わないことです。関連会社は、子会社のように支配はしていませんから、あたかも同一の会社のようにするわけにはいかないからです。
では、どうするかと言うと、総額に影響を与えない形で、持分比率相当分だけを財務諸表に取り込みます。具体的には、関連会社の利益の持分比率相当額を損益計算書に計上し、それと同額だけ保有している関連会社の株式を増加させます。(P.95)
 
【収益=売上高、営業外収益、特別利益】
「収益」は、損益計算書のプラスの総称です。日常用語の「収益」と何が違うかわかりましたか?まだ何も引かれていないのです。ここが日常用語における「収益」と決定的に違うところです。プラスの総称ですから、具体的には売上高、営業外収益、特別利益の総称です。収益を、その性質に応じて、売上高、営業外収益、特別利益に分けて計上しているとも言えます。
損益計算書のマイナスの総称は「費用」と言います。これは日常用語のイメージ通りだと思います。具体的には、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失の総称です。
これも、費用をその性質に応じて売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失に分けて計上しているとも言えます。
収益と費用の差額が「利益」です。(P.120)
→収益-費用=利益という関係。
 
【収入=キャッシュ・イン】
さて、では「収入」はどういう意味でしょうか。
まず、「収入」は何に関する言葉かというと、キャッシュに関する言葉です。ですから、「収入」という言葉を使った時点で話題はキャッシュです。
「収入」とは、キャッシュが入ってくることです。キャッシュ・インということです。キャッシュが出て行くことは「支出」と言います。キャッシュ・アウトということです。
収入と支出の差額は「収支」と言います。(P.121)
→収入-支出=収支という関係。
 
【発生主義】
発生主義とは、「収益と費用は、収入と支出ではなく、その発生の事実に基づき計上する」というものです。
この1文は、先ほど説明した言葉の意味がわかっていなければ理解できません。
「収益と費用」は、「損益計算書のプラスとマイナス」という意味です。もっと簡単に言えば、「損益計算書の情報」ということです。
「収入と支出」は、「キャッシュ・インとキャッシュ・アウト」という意味です。
つまり、「損益計算書の情報は、キャッシュの動きと切り離されている」ということです。
お金をもらったときに売上高を計上するわけでもなければ、お金を払ったときに費用を計上するわけでもないということです。この点は、かなり勘違いしている人が多いように思います。
では、何に基づき計上するかというと、事実の発生です。「事実」とは、たとえば売上高だったら「商品の出荷」という経済的事実です。事実の発生に基づいて計上するので、「発生主義」と言います。
ちなみに、発生主義の反対は、現金主義と言います。現金の授受に基づいて収益・費用を計上するという考え方です。(P.121~122)
損益計算書が発生主義に基づくのに対して、キャッシュ・フロー計算書が現金主義に基づくと言える。
発生主義の考え方があるから、クレジットカードのような商品も成立する。
 
【黒字でも倒産⁉】
収益と収入、費用と支出が違うということは、当然、利益と収支も違います。つまり、利益があるからといって、現金があるとは限らないということです。
利益が黒字でもキャッシュがなくなることはいくらでもあり得ます。キャッシュがなくなれば倒産です。利益が黒字のままキャッシュがなくなって倒産することを黒字倒産と言います。シャレにもならない話ですが、そういう事例は山ほどあります。
逆に、利益がどんなに赤字でも、誰かがキャッシュを補填してくれれば、会社は倒産しません。キャッシュを補填してくれるのは一般的に取引銀行です。ということは、倒産の引き金を引くのも、多くの場合は取引銀行だということです。融資先の業績回復が見込めなければ、さすがの取引銀行も融資を打ち切ります。今まで貸したお金の返済も迫られるでしょう。それで資金ショートを起こして倒産するのです。(P.125)
 
【会計の諸原則】
・継続性の原則とは、「正当な理由がない限り、採用する会計処理方法等を変更してはならない」という原則である。利益操作防止の観点から重要である。
・資本取引・損益取引区分の原則とは、「株主との直接的な取引によって純資産が変動する『資本取引』と、日常業務の中で発生する『損益取引』とを明確に区別し、両者を混同してはならない」という原則である。株主から拠出された部分と、その運用部分を明確に分けるうえで重要である。
保守主義の原則とは、「バッド・ニュースこそ積極的に開示せよ」という原則である。多くの個別基準の理論的根拠となっている。
・重要性の原則とは、重要性の乏しい取引については簡便的な会計処理を容認する原則である。経理業務を過度に煩雑にさせないという実務上の観点から重要である。
・実現主義とは、「収益は、①第三者への商品・サービスの提供、②その対価として現金または現金同等物の受領、という2つの要件が満たされたときに計上できる」という原則である。
・費用収益対応原則とは、「費用は収益獲得の経済的犠牲であるため、収益獲得に貢献した部分を費用として収益と対応づけて計上する」という原則である。
・取得原価主義とは、「資産・負債の貸借対照表への計上額は、取得時の支出額に基づき計上し、資産・負債の保有中は、時価の変動があっても評価替えしない」という原則である。
(P.138)
→発生主義は収益と費用の両方に関わるが、実現主義は収益だけに関する原則。収益については「より確実性が増してから計上を認める」という考え方。
 
【費用収益対応原則】
棚卸資産に関して是非知っておいてほしい論点は費用との関係です。
次の例を考えてみてください。
1個100円の商品100個を10000円支払って仕入れました。このうち、期中に80個売れた結果、期末には20個が在庫として残りました。当期の費用になるのはいくらでしょうか。
これに対して、非常に多い答えは10000円という答えです。理由は「既に10000円支払ったから」です。
感覚的にはごもっともな答えです。ところが、会計上はそうではないのです。会計上、費用になるのは販売された80個分の8000円だけです。これが売上原価という費用になります。その理論的根拠は、第3章の3-3節の費用収益対応原則です。
費用収益対応原則とは、「費用は収益獲得の経済的犠牲である。したがって、収益獲得に貢献した部分を費用として収益と対応づけて計上する」というものです。
先ほどの例では、確かにキャッシュは10000円支払っていますが、このうち売上高という収益に貢献したのは実際に販売された80個分だけです。ですから、この販売された80個分に相当する8000円だけを売上原価という費用にするのです。(P.142~143)
→そして残った20個は将来的に売れればキャッシュになる資産=棚卸資産と呼ばれる。
もし売れずに廃棄処分となれば、そこで初めて費用として計上される。過剰在庫になると怖いのは、後々になって費用化されキャッシュが減ってしまうこと。
 
減価償却で長期的視点に立ったビジネスが成立】
18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命は、工業を中心とする産業構造へ社会を変える歴史的なターニングポイントでしたが、会計においても産業革命は重要なターニングポイントとなりました。
それまでのビジネスは人手が中心ですから、製造業だとしても費用の中心は仕入れる原材料と人件費です。ところが、産業革命において蒸気機関が発明されると、蒸気機関を用いた機械や装置を使ったビジネスが誕生するようになりました。
その皮切りが蒸気機関車を使った鉄道事業です。ただ、鉄道事業を行ううえでちょっと困ったことが起きました。鉄道事業を行うためには、蒸気機関車はもちろんのこと、レールや駅舎などの多額の初期投資が必要となりますから、株主や銀行から多額の資金を調達しなければなりません。
ところが、設備投資に使った資金をそのまま費用としてしまうと、投資をした年は利益が大幅な赤字となってしまいます。そうなると、会社の業績は悪いように見えます。そんな事業計画書を見せられてお金を出す株主も銀行もいません。これでは多額の資金を調達できません。
このような状況を打開するために、産業革命の時代に新たな会計処理方法が考え出されました。それは、設備投資に支払った金額を、その設備を使用する年数にわたって費用を分割計上するという方法です。そうすれば計上される費用が平準化されますから、設備投資した年が大赤字になることがなくなります。
こうして減価償却という会計処理が生まれたわけです。もし減価償却という考え方がなかったら、毎年のキャッシュの増減に一喜一憂することになりますから、どうしてもその年限りの短期的な視点になってしまいます。それでは多額の設備投資を長期的に回収する設備産業や装置産業はできません。減価償却というものが考え出されたおかげで、長期的視点に立ったビジネスモデルが初めて可能になったのです。(P.153~154)
減価償却がなかったら、新たなアトラクションへの投資を繰り返すあのDisneylandも生まれていないかもしれない。
 
減価償却の効果】
減価償却に関して経営上重要な性質は、キャッシュを社内に留保する効果があることです。
P/L(損益計算書)に減価償却費という費用が計上されているとき、キャッシュには何の動きもありません。すなわち、費用でありながらキャッシュ・アウトが起こらないのです。
一方で、減価償却費は会計上の費用ではあるので、その分、利益を減少させます。
利益が減少するということは、その分、税金がかからないということです。
つまり、減価償却費は費用でありながらキャッシュ・アウトを伴わないので、キャッシュ・フロー的には節税効果というプラスの効果だけが働き、その分だけキャッシュの流出を食い止めてくれるのです。具体的には、減価償却費の税率相当分(=減価償却費×税率)のキャッシュの流出が食い止められます。(P.163)
 
三菱商事株式会社と三井物産株式会社は2016年3月期に、同社が連結財務諸表を作成して以来初となる連結最終赤字に陥りました。いずれも原因は、資源安に伴い、保有権益という無形固定資産から多額の減損損失を出したからです。
減損損失三菱商事が4300億円、三井物産が2600億円に上りました。資源安の影響はすべての商社に及び、大手商社5社の減損額は合計1兆円近くに達しました。
三菱商事は、直後の6月に予定していた全役員の賞与支給を取りやめ、社長は賞与を含めた報酬の5割、資源分野の担当役員は3割を削減することを発表しました。
このニュースは日本経済新聞のトップ記事として大きく取り上げられました。大手商社が初の連結赤字に陥ったということで、記事もかなり深刻なトーンでした。
投資が失敗したことは確かに事実です。それが初の連結赤字で、しかも大赤字となれば、一定の経営責任を取るのもやむを得なかったかもしれません。
しかし、「初の連結最終赤字」というセンセーショナルな活字ほどの深刻さがあったのかと言うと、必ずしもそうではありません。
まず、多額の減損損失が出たからといって、経営上それほどのダメージはありません。減損処理によって会計上は多額の費用が発生しますが、新たなキャッシュの流出は何も起こらないからです。キャッシュの流出は投資の時点で済んでいます。減損損失は、「既に支払った額を回収するだけの十分なキャッシュの流入が今後見込めないことがわかった」ということです。その見込み違いの額を一気に損失として計上するので、費用は多額になるのです。(P.170~171)
減損損失を計上したからこそ、投資の失敗に気づいて次のアクションが迅速に取れるというメリットもある。実際に三菱商事は翌年度早々に権益の一部を売却している。
 
【のれんの由来】
教科書的には、のれんは「超過収益力」などと言われます。その意味するところは、「超過的に収益を生み出すと思われる何らかの力」ということですが、わかりやすく言えば、「買い手が企業に対して主観的に感じた魅力」ということです。
のれんとは、飲食店等の入り口にかかっている布のことです。従業員が元のお店の許しを得て新たに出店することを「のれん分け」と言いますが、その由来は、元のお店と同じか、それに近い店名の入ったのれんの使用を認めたことにあります。今風に言えば、ブランド名の使用を許可されるようなものです。
三者にとっては何の価値もないただの布切れですが、新たに出店する当事者にとっては無形の価値があります。まさに、当事者のみが主観的に感じる魅力です。(P.177)
→数値に表れないこの何とも言えない魅力があるところから、のれんと呼んでいる。
 
東芝の失敗】
2016年12月、株式会社東芝は約5000億円の損失を出し、それにより債務超過に陥りました。その原因となったのは、東芝の米国子会社が行った買収に伴うのれんから発生した多額の減損損失です。その額は6200億円を超えるものでした。
各メディアは「買収先の会社でコストが想定よりも大きく膨らんだために、のれんで多額の減損が発生した」という論調でしたが、事実はそんな単純な話ではありません。
買収は2015年12月に行われました。その際に東芝から発表されたのれんの額は105億円です。その全額が減損となっても、6200億円もの減損損失は発生しようがありません。
なぜ、そんな多額の減損損失が発生したかというと、のれんの額が105億円から6200億円超に修正されたのです。買収当初に発表されたのれんの額は暫定的なものであって、その後、約1年をかけて評価した結果、のれんは6200億円超になることが判明し、その全額が減損となったのです。
のれんの額を確定するのにそれだけの時間をかけることは制度的に認められてはいますが、それにしても修正額が大きすぎます。
なぜ、それほどの修正が起こったのでしょうか。
のれんとは、買収額が買収先企業の純資産額を上回る額です。買収額は客観的な取引事実ですから、変わりようがありません。そうなると、変更されたのは買収先の純資産しかありません。実は、買収先企業の決算が大幅に修正されたのです。
買収時には、デュー・デリジェンスと呼ばれる通常の監査よりも詳細かつ多面的な監査を行いますが、このケースではそれが十分に行われなかったと考えざるを得ません。
(P.181~182)
東芝は稼ぎ頭のメモリ事業を売却までして何とか上場廃止を逃れようと奮闘してきたが、その甲斐なく先日遂に廃止が決定した。
東芝 12月20日上場廃止決定 経営の安定化へ2023年11月22日 13時01分」
 
負債を大きくするとROEが大きくなる効果を、レバレッジ効果と言います。
レバレッジ(leverage)とは「てこの原理」のことです。レバー(lever)は、これと密接に関係のある言葉です。そもそも、レバーがてこの原理を用いています。
レバレッジ効果とは、株主は手元ではそれほど力を出していないのに、言わば債権者を踏み台にして、てこの原理を使って株主にとってのリターンを大きくするということです。
負債はいずれ返さなければいけないものですから、高すぎると資金繰りを圧迫します。支払利息も増えます。利益も圧迫します。したがって、「負債は少ないほうがいい」というのが普通の感覚だと思います。
実際、「有利子負債」と言えば、ほとんど脊髄反射のように「圧縮」と言う人が今でも多いと思います。
しかしその一方で、ROEを重視するならば負債比率は高いほうがいいということも広く知られるようになりました。その結果、ROEを重視する企業の中には、意図的に負債比率を高める企業も出てきています。(P.201~202)
ROE当期純利益×100/純資産=当期純利益×100/総資産(ROA)×総資産/純資産(財務レバレッジ)
ROEの式を分解すると、ROA×財務レバレッジとなる。負債は総資産に入るため、負債の「比率」が大きいほど総資産が大きくなり、相対的に純資産は小さくなる、つまり財務レバレッジが大きくなる。したがって、負債が大きいほうが、ROEの数値は高くなる。
実際にソフトバンクROEは30%台に達するが、その分負債額が大きいことが知られている。

【読書40冊目】2000億円超を運用した伝説のファンドマネージャーの株トレ 窪田真之

【三角もちあい】
株価チャートをよく見ると、あちこちに三角形ができていることに気づきます。出題したのは、超特大三角もちあい。他にも、1週間や数日単位で作られる三角もちあいをよく見ます。1日の値動きの中にも、小さな三角形がよくできます。
三角形ができる理由はシンプルです。
(1)相場はいつでも行き過ぎる
(2)行きつ戻りつしながら収束点を探す
(3)それが三角形の形成につながる
(P.29)
→触れが小さくなったところが収束点。そこから飛び出して大きく上がれば上昇トレンド、大きく下がれば下降トレンド。
 
【売買高の急増】
私が最も信頼している買いシグナルは「急騰の初動」です。長らく売買高が少なく値動きが乏しかった銘柄で、突然、売買高が急増して急騰したところが、最も信頼できる買い場です。(P.34)
 
短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下から上へ抜けていくところを、ゴールデンクロスと言います。株価が徐々に上昇基調を強めるところで出ることが多いので、「買いシグナル」となることもあります。ただし、ゴールデンクロスには「だまし」も多く、私はそれだけでは信頼しません。(P.51)
 
【日柄整理】
急落後、日数が浅い状態を「日柄整理ができていない」と言います。Q社がそうです。高値で買い付けた投資家から処分売り(購入時より価格が下落した株を売ること)が出やすく、上値が抑えられます。
R社は急落からかなり時間が経っていて「日柄整理ができている」状態です。戻り売り(値下がりした株価が上昇に転じて、値を戻したところで売ること)圧力は小さいと考えられます。(P.58)
 
【急落でも売買増加】
売買高増加が人気上昇を示すのは、株価が急騰している時だけです。急いで買いたいという投資家が多いと、売買高増加を伴って株価が急騰します。
反対に、売買増加を伴いながら、高値圏から株価が急落する時は、悪材料をつかんだ投資家が大急ぎで売っていることを示します。今後、売りが広がってくる可能性もあるので、こういう時は売ったほうが良いと言えます。
(P.64)
→悪材料が会社が直接関わるような不祥事や経営判断の失敗等であれば、戻すには時間がかかると考えられ、最悪の場合は倒産もあり得る。このような時は意地になって持たずに売ってしまった方がよいのだろう。
 
指値注文でよくある勘違い】
「803円で買い指値したら、803円で買えてしまう」と勘違いしている人もいます。803円の買い指値注文とは、正確に言うと、「803円以下の最も有利な価格で買う」注文です。801円に売り指値があれば、801円で買えます。801円に買い指値するのと、結果は同じです。
それでは、801円ではなく、あえて803円に買い指値する意味は何でしょう?一瞬先に801円や802円の売り指値を買われてしまった時でも、803円で買うことができるということです。(P.123)
 
(1)ボリンジャーバンドは、「13週移動平均+2標準偏差」と「13週移動平均-2標準偏差」の2本の線のこと。
(2)過去13週間の株価が正規分布していれば、株価が2本のボリンジャーバンドの中に収まる確率は約95%。
(3)株価がボリンジャーバンドの外に出たということは、過去13週間になかった新しい変動が起こった(ボラが高まった)ことを意味します。
(P.140)
 
【株単で銘柄比較】
「株探」(http://kabutan.jp/)の銘柄サーチ機能をぜひ使ってみてください。株式市場で気になるテーマ名を入力してサーチすると、関連銘柄がいろいろ出ます。株価チャートは1つだけ見ていてもわからないのとが多いものの、同テーマのチャートを複数同時に見ると、テーマごとの株価の動きがわかります。個々の銘柄もテーマの流れに沿って動くことが多いです。(P.174)

【読書39冊目】先行き不透明な時代の自己防衛術 副業ライターのはじめ方 しげぞう

【副業ライターの種類】
副業ライターの仕事として考えられるのは、インターネット上でサイドビジネスとして受注できる、すべてのライティング作業です。
例えば、以下のような種類があります。
ブログライティング、新製品モニターのレビュー投稿、テクニカルライティング、会社案内や製品説明、書籍のブックライティング、雑誌の記事執筆、ウェブマガジンのコラム執筆、ニュース解説記事、相場解説記事、リライト、メールマガジンの執筆、コピーライティング、テープ起こし、ウェブサイト原稿執筆などです。(P.23~24)
 
クラウドソーシング】
クラウドコンピューティングクラウドが「雲」であるのに対し、クラウドソーシングのクラウドは「群衆」の意味。企業が業務の多くを外部委託するアウトソーシングが普及してきたが、インターネット上のサービスを利用することで、不特定多数の企業や個人に業務を委託できる。主に知的生産に関する業務が中心だが、インターネットが企業と個人の協力関係を容易にしつつあり、今後の個人の働き方にも影響を与えると注目されている。(P.37)
→主なクラウドソーシングのサービスは、「ランサーズ」「クラウドワークス」「ココナラ」。
 
【コッソリ副業はやりにくくなりつつある】
昨今では、普通徴収を選んだだけでは、副業が会社にバレないという保証がなくなりつつあります。それは、全国的に特別徴収を推進することが推奨されており、自治体によっては特別な理由がない限り、普通徴収を認めない場合が増えつつあるためです。
また、副業でアルバイトなどの給与所得がある場合は、原則として特別徴収が適用されるので、確定申告で普通徴収を選んでも、会社に住民税の額が報告されます。
その他、住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税などの控除を受けたり、株式投資をしている場合にも、副収入があることが会社に知られてしまう可能性があるようです。
そのため、確定申告で普通徴収を選べば副収入が会社に知られないということは、保証されなくなってきました。これらのことは自治体ごとに対応が異なるので、各自治体で確認してください。(P.48)
 
【インターネット副業は楽天銀行の口座が便利】
ウェブライターの仕事に対する報酬は、銀行口座への振り込みで行われます。その際、発注者側に比較的好まれるのが楽天銀行です。楽天銀行の口座であれば振込手数料を差し引くことはしません、という発注者も多いのです。
また楽天銀行であれば、報酬が振り込まれた際にはすぐにメールで報告が届くので、振り込み予定日に振り込まれたかどうかということも、パソコンの前に居ながらにして確認できます。ウェブライターに限らず、アフィリエイトなどのインターネットを利用した副業を行う場合は、楽天銀行の口座を持っていると便利でしょう。(P.57)
 
ブログライターとプロブロガーの違い】
同じ広告を掲載しているのですが、ブログライターはスポンサーが要求する記事を投稿して広告を掲載しただけで収益が発生するのに対し、プロブロガーの場合は広告がクリックされたり、広告経由で商品やサービスが売れるなどしなければ収益が発生しません。
ただし、掲載料という定額収入を受け取ることもできます。
そのため、ブログライターではアクセス数や広告の収入に関係なく収益が発生しますが、その金額は非常に小さくなります。
一方、プロブロガーの場合はアクセス数や広告の効果により収益が変わりますので、まったく収益が発生しないリスクがあると同時に、労力をはるかに上回る収益を得られる可能性もあります。(P.83)
ブログライターの場合は、記事にURLを貼っていることが必要。被リンク数が検索した場合に上位に入る条件になると言われているため。
 
【ブックライト代行】
次のような方法で書き上げるブックライターの仕事であれば、チャンスはあります。それは、表向きの執筆者が著者となっている既存の出版物複数を元ネタとして、新しいタイトルの本を出す、という場合です。この手の案件も募集されているので、腕に自信がある人は、こまめに募集サイトをチェックしておきましょう。この方法であれば、元ネタの書籍を与えられるだけで取材は不要、という場合があるので、副業ライターでも参入する余地はあります。
また、表向きの執筆者がこれまでに講演した内容を本にまとめる、という仕事もあります。この場合も、講演で使用した資料や講演内容の記録、あるいは音声情報を元に執筆でき、文章力と編集力があれば、決してできない仕事ではありません。
報酬は、原稿料として買い取りの場合がほとんどですが、まれに印税として支払われる場合もあります。その場合、表向きの著者が得る印税の何割かが割り当てられるのですが、増刷がかかった場合は不労所得になるので、売れ行きの良い書籍のブックライターの受注に恵まれた場合、思わぬ副収入が発生することになります。(P.114)
 
【参考書籍は与えられることも】
ウェブサイトのライティングの仕事では、参考資料として書籍を購入した時、書籍代を発注者に請求できる場合があるので、受注時の条件を確認しておくとよいでしょう。この場合、購入した書籍は発注者に渡すことはまずなく、そのまま執筆者の所有物となることが多いので、稼ぎながら書籍や知識も手に入るのだと考えると、得をした気分になれますね。(P.131)
 
【身に着けたいHTMLの知識】
今後、より単価の高い仕事を受注するために副業ライターとしての仕事の幅を広げていくのであれば、前述した通り増加傾向にあるWordPressへの直接投稿方式にも対応できるようになっておくと有利です。そのためにはHTMLの知識を得ておいた方が有利ですが、それほど構える必要はありません。WordPressへの投稿と編集でライターに求められるHTMLの知識は、非常に基礎的なことだからです。
ですから副業ライターとしては、HTMLの入門書(本当に簡単な物で構いません)を1冊だけでも通読しておくことをお勧めします。中でも、簡単なホームページの作成練習ができるタイプの本がお勧めです。実際にHTMLを記述してみないと、なかなか理解できない部分もあるからです。(P.145)
 
【記事が蓄積されると収益につながる】
ブログを立ち上げた当初は、記事を投稿すると一時的にアクセスが増えますが、それらは新着情報などから集まったものなので、収入には結びつきにくいアクセスです。ところが記事が300を超えた頃からは、投稿しなくても常時一定のアクセスが集まるようになりました。
これは、検索サイトを通して集まったアクセスなので、収入に結びつきやすくなります。
つまり、知りたいことを調べている人たちが検索サイトを経て訪問しているので、そこに表示された関連広告をクリックする可能性が高まるのです。
ですから、ブログなどで好きなことを書いてアフィリエイトをする場合には、ある程度記事が蓄積されるまでは、収入が発生しなくても、気長に更新を続ける必要があります。その代わり、いったん検索サイト経由でアクセスが集まるようになると、しばらく(たとえば1ヵ月くらい)更新しなくても、毎日一定のアクセスが維持されるようになります。この状態になると、副業ライターでは味わえなかった不労所得を得ている状態になるので、非常に楽しくなってきます。(P.201~202)
→つまり、ブログ記事が「資産」になる。
特に閲覧回数が多かった内容を集めて電子書籍にする方法もある。
サイエンスに関わる話題の投稿をすれば、本業のための蓄積にもなるし、一石二鳥。