ねこみんの投資生活

ふつうの塾講師が適応障害をきっかけに投資を勉強していくブログです

【読書34冊目】年間100万円の配当金が入ってくる 最高の株式投資 配当太郎

【配当株投資は株式投資の王道】
株式投資をしている人の多くは、株価上昇による利益を「主産物」と考えて、配当金は単なる「副産物」や「おまけ」のように考えていますが、私はまったく逆の見方をしています。
株式投資の「王道」は配当株投資であり、配当金がその「主産物」だということです。
株式投資の本来の趣旨は「多くの人からお金を集めて、それを元に企業が頑張って成果を出し、その利益の一部を株主に還元する」ということにあります。
これが株式投資の本筋ですから、配当株投資を王道と考えて、配当金を主な目的にすることは、極めて合理的な投資活動だと思っています。(P.30~31)
 
【企業が株主重視の姿勢を強める背景】
日本企業が「株主重視」に動き始めた理由は、企業側にとっても、そうせざるを得ない事情があるということです。
現在は誰でも気軽に投資ができる時代ですから、日本人が海外企業の株を簡単に買えるのと同じように、海外の人も手軽に日本企業の株を買うことができます。
企業としては、ある程度の株価を維持して、時価総額を高めておかなければ、簡単に外資系企業などに買収されてしまう危険性があるのです。
きちんと株主に還元している企業であれば、個人投資家たちが一斉に「やめて!」と声を上げ、その阻止に力を貸してくれることも期待できます。
もう一歩踏み込めば、企業があまりにも内部留保ばかりを溜め込んでしまうと、「それを従業員に出した方がいいんじゃないの?」という議論が出てきてしまう可能性があるため、それを回避するために、「それなら株主に還元しておこう」と考える企業が増えているように思えます。(P.43~44)
→企業が抱えるお金が増えているのに給料が増えないなら、自分で取りに行くまで。資本主義の仕組みを利用する側に回ればよい。
 
【配当金ダルマを育てるには時間がかかる】
「年間12万円の配当金」を受け取るためには、投資金額が300万円から400万円くらいになっている必要がありますから、この第2ステージに無理なく到達するためには、10年近くの時間が必要になることが予想されます。
例えば、月々の給料の中から、毎月2万円を投資に回すとします。
2万円×12ヵ月=24万円
夏と冬の2回のボーナスで5万円ずつ投資できれば、1年間の投資金額は合計で34万円となります。
これを10年間続けると、総額で340万円の原資ができる…くらいのゆったりとしたペースであれば、十分に実現が可能なのではないでしょうか。(P.63)
→配当金ダルマを育てるには、10年単位の時間をかける覚悟が必要。投資金額が1000万円を越えると複利効果が如実に表れる。それまでは目標を刻んで、コツコツ買い増していく計画を立ててみよう。
 
【増配率を高める2つの自助努力】
私たち一般投資家は、2つの「自助努力」によって、増配率を高めることができます。
ひとつは、給料などの労働収入の中から追加資金を投入すること。もうひとつは、手に入れた配当金の一部や全額を再投入することです。
新たに株を買って、持ち株数を増やしていけば、受け取る配当金を増やすことができるのです。
これに企業の増配という「企業努力」が上手く噛み合えば、増配率10%が実現可能になり、場合によっては、それ以上の成長を手に入れることができます。(P.82)
 
【価格の軸を持つ】
「買った時の株価」を基準にすれば、今の株価が「割高か、割安か」で悩む必要がなくなります。
自分が買った時よりも株価が1~2割下がっていれば、「今は積極的に買う時だな」と、すぐに判断できます。
それが1~2割上がっている状況であれば、「今はもう少し様子を見るべきだな」と考えることができます。
これが「価格の軸」を持つということです。
(P.91)
 
【株数を増やすことを優先する】
「株価が下がったら買おう」の思ってタイミングを待っていたのでは、いつまで経っても、なかなか思い通りにはいきません。
株価が下がるタイミングを指をくわえてジッと待つのではなく、仮に横ばいであっても、高値であったとしても、それが「適正水準」であれば買い進めることが重要です。
わざわざ割高な株を買う必要はありませんが、「1株当たり利益」が上がったことで注目が集まり、その結果として株価が上昇したのであれば、そこが適正水準ということがわかります。
目先の株価だけで判断していると、「足踏み」のフリーズ状態が長く続くことになります。
ある程度の資産が増えるまでは、株価の動向はあまり気にせずに、自分が買える状態にあるならば躊躇なく買う…というクセを身につけることが大切です。(P.94)
→75日線など、テクニカルの指標も利用して、「下降傾向なのかどうか」を見極めて買いを入れるのもありだろう。大事なのは、自分の基準を持つということ。
 
【参入障壁が高い4業種】
新規参入が難しい4業種の中でも、とくに「稼ぐチカラ」のある企業を選ぶ基準は、極めてわかりやすいと思います。
その業界の中から、最も利益を挙げている企業を選べばいいのです。
参入障壁が高い4業種のラインナップは、次のようになります。
①「銀行・金融」
第1位 三菱USJフィナンシャル・グループ(8306)
②「商社」
第1位 三菱商事(8058)
第2位 伊藤忠商事(8001)
③「保険」
④「通信キャリア」
第1位 NTT(日本電信電話・9432)
第2位 KDDI(9433)
第3位 ソフトバンク(9434)
(P.108~109)
→銀行・金融、保険、通信キャリアは、契約したら継続して「ストック収入」が得られるビジネスモデルのため、収益が安定する傾向にある。
 
【商社は権益が参入障壁】
「商社」の場合は、必ずしも「ストック型ビジネス」のカテゴリーには入りませんが、先に商品やサービスを作らないとか、在庫を抱える必要がないという意味では、他の3業種と共通した強みを持っています。
世界各国で地下資源の「権益」を所有するなど、商社特有の「権益ビジネス」も注目ポイントです。
地下資源は世界レベル手間利益を生み続ける可能性がありますから、今後の成長が大いに期待できると考えています。(P.114)
→あのバフェットが日本の商社の株を購入したことが話題になった。
 
【大型株も増配している】
株式投資をやっている人の中には、「今さら大型株を買ったところで、伸びシロは期待できそうもないから、儲かるはずがない」と否定的に見ている人たちがいますが、私はまったく違う見方をしています。
日本を代表するような大企業ほど、安定的に配当金を分配していると考えています。
その具体例を、通信キャリア大手のKDDIのケースで紹介します。
KDDIは2003年3月期から20年連続で増配をしています。
直近の2023年3月期でも、配当金は125円から135円に10円の増配をしており、1株当たり利益は300円を超える状態になっています。
現在のように利益を積み重ねていけば、1株当たり利益が400円前後になった時には、配当金は200円を超える可能性があります。
KDDIは人気の高い企業ですから、配当金が200円を超えることになれば、さらに多くの人が株を買うことになって、株価も上昇することになります。
1株当たり利益の増加率や増配の姿勢、それによって株価がどうなるのか…などを総合的に考えれば、KDDIのような大型株にも十分に買う価値があることがわかるのではないでしょうか。(P.120~121)
 
【過去10年の業績を見る】
1株当たり利益のこれまでの推移を見る場合は、リーマン・ショックの頃まで遡るのが一番いいと思います。
ありとあらゆる産業が影響を受けたのが、リーマン・ショックからの流れです。
リーマン・ショックのような世界規模の金融危機が起こった時、その企業が「どんな影響を受けたのか?」、「そこからどのように頑張って利益を上げて、株主にいくらの配当金を出してきたのか?」について知るということです。
危機的な状況にあっても、減配はせず、横ばいであったり増配している企業もありますから、リーマン・ショックの頃まで遡ることによって、その企業の稼ぐチカラや基礎体力を推し計ることができます。
各企業のホームページを見れば、そうした情報がアップされていることもありますが、株式情報サイト「IR BANK」をチェックすれば、企業の長期的な業績がわかります。(P.144)
→過去5年間だと企業の業績に影響を与える出来事としてコロナ禍があるが、リーマン・ショックに比べるとその影響は限定的だという。
 
【配当株投資≠「高配当株」投資】
すでに配当株投資を始めている人の中には「配当株投資というのは、要するに高配当株を買えばいいのだろう」と決めつけている人が意外と多くいるようです。
Yahoo!ファイナンス」などにアップされる配当利回りのデータを見て、その上位から順番に買っていくという人も決して少なくないのです。
それを全否定するつもりはありませんが、そのアプローチでは、なかなかいい結果が得られないのではないかと思っています。
上手く成長が続いてくれれば何の問題もありませんが、その時点でいくら高配当であっても、それがマックスの状態で、その後は減配するだけということがあります。
減配になれば株価も下がりますから、二重のダメージを受けることになるのです。
こうした事態を避けるためには、現時点の配当利回りだけで判断するのではなく、一度立ち止まって、「この企業はなぜ高配当になっているのか?」という理由について、その背景を含めて理解しておく必要があります。(P.166)
 
【取得利回り】
配当利回りが「現在の株価に対する配当金の割合」であるのに対して、取得利回りは、「買った時の株価に対する配当金の割合」を示しています。
増配によって得られる利益を判断する際には、この2つの観点で考える必要があります。
現在の株価が「1000円」で、「100円」の配当金が得られる株を持っていると仮定します。
現時点の配当利回りは「100円÷1000円×100」で「10%」です。
この株の株価が上昇して、「2000円」になった時に買ったとしたら、配当利回りは「100円÷2000円×100」で「5%」と半分になります。
株価が2000円になっても、配当金が「200円」に上がれば、配当利回りは「200円÷2000円×100」で「10%」に戻ります。
配当金が「200円」になった時、株価「1000円」で買っていた株は「200円÷1000円×100」で「20%」の配当利回りを上げていますから、現時点の2倍も稼いでくれていることがわかります。
現時点の配当利回りと、株を買ったときの取得利回りを比較すれば、その株が「どのくらいの利率で利益を上げているか?」を、客観的に判断できるのです。(P.184)
 
【取得利回りの平均】
「取得利回り」は株を購入した時の株価が基準になりますから、株を買い増していく場合には、新たに買った株価を含めて、「平均単価」で考える必要があります。
ある株を高い株価で買っていた人でも、株価の安い時に買い足せば、平均単価が下がることで、取得利回りは上がります。
その株を安い株価で買っていた人が、株価が高い時に買い足せば、平均単価が上がることによって、取得利回りは下がります。(P.185)
→増配株をなるべく安く買い足していくことで、取得利回りは上がっていく。
 
【恩株】
恩株とは、「元本を回収して、利益を生み出すだけの株」をいいます。
具体的には、次のような段階で、恩株が生まれます。
例えば、株価が500円の株を買って、毎年50円の配当金を受け取ったとします。
10年すれば配当金の合計は500円となって、取得コストはゼロとなります。
すでに元本の500円は回収済みですから、持っている株は何もしなくても配当金という利益をもたらしてくれる「カネのなる木」となります。
この株は投資コストを負担する必要がなく、ただ恩恵を受けるだけの株となるため、恩株と呼ばれているのです。
所有している株が恩株になれば、コストゼロで配当金がもらえます。
その配当金は自由に遣うことができますが、それを再投資すれば、新たな恩株作りに一歩踏み出すことになります。(P.187)
→買い足していく前提なら、購入金額の合計をペイした時点で恩株になる。
 
【配当で地盤を固めると成長株にも挑戦できる】
その昔、成長株に投資していた頃は、自分が稼いだ給料の中から投資資金を捻出して、迷いながら株を買って痛い思いをしていましたが、現在は投資先の企業から振り込まれる配当金を原資にしていますから、軽い気持ちで「痛い目を見にいける」という感じです。
自分が「応援したい」とか、「経営者の考え方が好きだな」と思える企業の株を買って、株価が上がったり、配当金が得られれば、それもよし。
仮にダメでも、その資金はもともとが不労所得であって、来年になればまた配当金が入ってきますから、「あぁ、面白かったけど、ダメだったな」くらいの軽いダメージで済みます。
どちらに転んでもいろいろな経験ができる…と思って楽しくやっているのです。(P.235)
→増配株で地盤を固めたら、成長株を探して投資していくという楽しみ方もあるということ。